馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

21年秋アニメも松岡禎丞、日野聡、茅野愛衣、佐藤聡美、悠木碧でスクリーニング!【60→8】

10月~放送の2021年秋アニメはアニメイトタイムズによると、60作品の放映が予定されている。いつもどおり、松岡禎丞、日野聡、茅野愛衣、佐藤聡美、悠木碧(敬称略、以下同)の出演を軸にスクリーニングし、10作品にまで厳選した。原作や前評判などの情報など定性的な判断を加えて、上記5名主演予定作では、5作品を視聴予定とした。さらに、その他の作品から3作品をチョイスし、合計は8。結果、放映本数に対して約6分の1となった。順に見ていこう。 

 

吸血鬼すぐ死ぬ(吸死)

チャンピオンの看板マンガ。大学時代からの友人がハマっているのと松岡禎丞出演により視聴決定。

ドラルク:福山潤
ロナルド:古川慎
ジョン:田村睦心
ヒナイチ:日岡なつみ
半田 桃:松岡禎丞
サテツ:細谷佳正
ショット:田丸篤志
フクマ:土岐隼一
ヒヨシ:小野大輔
カメ谷:近藤孝行


月曜日のたわわ2

茅野愛衣出演だが、2とあるのでひとまずパス。

アイちゃん:原田彩楓
後輩ちゃん:茅野愛衣
前髪ちゃん:高橋李依
バレー部ちゃん:石上静香
妹ちゃん:井口裕香
お母さん:井上喜久子
お兄さん:間島淳司
先輩:内匠靖明
先生:柳田淳一

最果てのパラディン

悠木碧出演だが、ひとまず敬遠。

ウィル(ウィリアム):河瀬茉希
ブラッド:小西克幸
マリー:堀江由衣
ガス(オーガスタス):飛田展男
メネル(メネルドール):村瀬歩
ビィ(ロビィナ・グッドフェロー):鈴木絵理
トニオ(アントニオ):遊佐浩二
グレイスフィール:悠木碧
スタグネイト:高橋広樹


終末のワルキューレ

話題作で松岡禎丞出演だが、最初の方を読んでみた限りではピンとこなかったため、保留。

ブリュンヒルデ:沢城みゆき
ゲル:黒沢ともよ
呂布奉先:関智一
アダム:斉藤壮馬
佐々木小次郎:山路和弘
トール:緑川光
ゼウス:高木渉
ポセイドン:櫻井孝宏
ヘルメス:諏訪部順一
ヘイムダル:野津山幸宏
オーディン:速水奨
シヴァ:鈴木達央
アフロディテ:田中理恵
ロキ:松岡禎丞
アレス:田所陽向
フギン:中野泰佑
ムニン:山口智広
ランドグリーズ:川上彩
レギンレイヴ:川口莉奈
フリスト:小林ゆう
ナレーション:石井康嗣

 

takt op.Destiny

日野聡出演だが、ひとまず保留。

朝雛タクト:内山昂輝
運命:若山詩音
アンナ・シュナイダー:本渡楓
巨人:伊藤美来
レニー:日野聡
天国:水瀬いのり
地獄:上田麗奈
シントラー:浪川大輔
ザーガン:花輪英司

月とライカと吸血姫


原作は牧野圭祐(小学館「ガガガ文庫」刊)のライトノベルとのこと。吸血鬼モチーフ2作品目とのことでどうか…と思ったが、日野聡出演かつ、林原めぐみ主演は気になる。まずは見てみよう。


イリナ・ルミネスク:林原めぐみ
レフ・レプス:内山昂輝
アーニャ・シモニャン:木野日菜
ミハイル・ヤシン:日野聡
ローザ・プレヴィツカヤ:小松未可子
スラヴァ・コローヴィン:土師孝也
ヴィクトール中将:てらそままさき
ナタリア:井上喜久子
フョードル・ゲルギエフ:緒方賢一
リュドミラ・ハルロヴァ:M・A・O
ナレーション:東地宏樹


プラチナエンド

茅野愛衣出演に加え、大場つぐみ・小畑健のデスノートタッグで面白さは担保されているみる。視聴決定。

 架橋明日:入野自由
ナッセ:小倉唯
花籠咲:M・A・O
ルベル:花江夏樹
六階堂七斗:森川智之
バレ:茅野愛衣
生流奏:石川界人
メイザ:井上喜久子
底谷一: 前野智昭
バルタ:緑川光
山田美々々:前田佳織里
南河水清:千葉翔也


無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 第2クール

茅野愛衣出演だが、2クール目には出番はないのだろうか?杉田智和の語りを聞くため、2クール目も継続視聴する。

ルーデウス・グレイラット:内山夕実
前世の男:杉田智和
エリス・ボレアス・グレイラット:加隈亜衣
ロキシー・ミグルディア:小原好美
ルイジェルド・スペルディア:浪川大輔
エリナリーゼ・ドラゴンロード:田中理恵
タルハンド:大塚芳忠
キシリカ・キシリス:井口裕香
オルステッド:津田健次郎
ヒトガミ:くじら

MUTEKING THE Dancing HERO

日野聡出演かつ、他にも気になるキャストが見えるが、ひとまずは敬遠。

ムテキ:真白健太朗
DJ:江口拓也
セオ:日野聡
アイダさん:高橋李依
アン:米澤円
ナオミ:田所あずさ
サラ:愛河里花子
ヴィヴィ:興津和幸
ハル:京雅
サマー:木村隼人
アキ:田中美海
ウィンター:西山宏太朗
ステキング:KENN
マット:青山穣
トミー:松山鷹志
ジョージ:羽多野渉
オーウェン:鈴村健一


メガトン級ムサシ

悠木碧出演かつ、武内駿輔のイケボを聞きたくなった。クソデカ羅生門みたいなタイトルも気になるので視聴決定。

一大寺大和:増田俊樹
浅海輝:斉藤壮馬
土方龍吾:武内駿輔
神崎明日菜:黒沢ともよ
雨宮零士:内山昂輝
霧島ジュン:諸星すみれ
早乙女萌々香:潘めぐみ
金田一巧:梶裕貴
芥川康太:村瀬歩
西野清夏:竹達彩奈
南沙也加:伊瀬茉莉也
天堂初音:伊沢磨紀
北根陽葵:花守ゆみり
星野あおい:悠木碧
伊伏銀太:山路和弘

 

鬼滅の刃 無限列車編/遊郭編

説明不要。

 

竈門炭治郎:花江夏樹
竈門禰豆子:鬼頭明里
我妻善逸:下野紘
嘴平伊之助:松岡禎丞

煉獄杏寿郎:日野聡
魘夢(下弦の壱):平川大輔
猗窩座:石田彰

宇髄天元:小西克幸
堕姫(上弦の陸)(だき):沢城みゆき

 

異世界食堂2

1が面白かったので継続視聴する。

店主:諏訪部順一
アレッタ:上坂すみれ
クロ:大西沙織
サラ:安野希世乃
ヒルダ:東山奈央


王様ランキング

前評判の高い作品ゆえ、まずは見たい。

ボッジ:日向未南
カゲ:村瀬歩
ダイダ:梶裕貴
ヒリング:佐藤利奈
ドーマス:江口拓也
ベビン:上田燿司
アピス:安元洋貴
ドルーシ:田所陽向
ホクロ:山下大輝
ボッス:三宅健太
シーナ:本田貴子
魔法の鏡:坂本真綾
デスハ―:下山吉光
デスパー:櫻井孝宏

 

大正オトメ御伽話

原作読了済みかつ妻も好きな作品なので視聴予定。高梨康治氏が音楽を手掛けるようなので、その点も期待だ。

原作:桐丘さな『大正処女御伽話』(集英社 ジャンプコミックス刊)
監督:羽鳥潤
シリーズ構成・脚本:福田裕子
キャラクターデザイン:渡辺まゆみ
音楽:高梨康治(Team-MAX)

志磨珠彦:小林裕介
立花夕月:会沢紗弥
志磨珠子:宮本侑芽
渥美綾:安済知佳
白鳥ことり:伊藤彩沙
白鳥策:土岐隼一

 

上記のとおり、放映60作品を8作品にまで絞り込んだ。12月には「呪術廻戦0」の劇場公開も楽しみだ。目先はなんといっても「鬼滅の刃」が21年秋・冬の最大の話題作だろう。これまで書いた記事をまとめたので、お読みいただけるとありがたい🔽

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「思い出にもなれない」金月真美(as藤崎詩織)&菊池志穂(as館林見晴):二大ヒロインがときめきメモリアルを全否定する理由とは?【名曲紹介75】

藤崎詩織と館林見晴の二大ヒロインがそろって「ときめきメモリアル」のタイトルもコンセプトも全否定する。な…何を言っているのか わからねーと思うが、そんなキャラソン「思い出にもなれない」が、ときめきメモリアル ボーカルコレクション ~また逢えるねには存在している。しかも菅原祥子(敬称略、以下同じ)の「思い出がいっぱい」と連番で収録されているから、ますます驚きである。

 

しかし、「思い出にもなれない」はときメモキャラソンの懐の深さを示している。なぜなら、恋のほろ苦い現実にも目を向けているからだ。

恋愛においては、実際には自分の気持ちが言い出せないケースが大半であり、それだからこそ、告白する価値があるのだ。「ときめきメモリアル」において、クライマックスのイベントとして告白が位置づけられるのは重要な意味がある。

だが、それにもかかわらず、なぜ藤崎詩織と館林見晴のデュエットソングで、「ときめきメモリアル」というタイトルとコンセプトをあえて全否定するキャラソンがあるのか?その理由は、藤崎詩織と館林見晴の両人こそ、システム上、プレイヤーと「ときめきメモリアル」をしにくいキャラクターだからである。

つまり、藤崎詩織は要求する高ステータスゆえに、館林見晴は隠しキャラクターであるがゆえに、主人公と結ばれない確率が高い。プレイヤー(あなた)には身に覚えがあるはずだ。フレンドリーでとっつきやすい虹野さんや片桐さんにころっといったことないがないとは言わせない。

だから「思い出にもなれない」は、思い出になれなかった藤崎詩織と館林見晴の恨み節なのだ。サビは、1番も2番も自虐的で悲痛だ。

「くちびるが だめね 臆病で だめね 好きですと動かない
 このままで ずっと 友だちを ずっと 続けちゃうのかな」

「まなざしが だめね 照れるから だめね まっすぐに見られない
   このままじゃ そうね 思い出に さえも きっとなれないね」

「思い出にもなれない(作詞:工藤哲雄、作曲:宮島律子、編曲:米光亮、Guitar & All Other Instruments:米光亮、Chorus:広谷順子,河合夕子,木戸やすひろ)」は青春の後ろ暗さに目を向けているが、もちろん音楽芸術作品として円熟した仕上がりを見せている。

まず、耳を引くのはオーボエを基調としたイントロだ。伴奏とバックコーラスも絶妙な渋さを醸し出している。歌詞はたしかにあまりにも暗いのかもしれないが、金月真美の気品ある歌声、菊池志穂の清楚な歌声が奏でているから、切なげで優美な響きとして耳に残る。

 「思い出にもなれない」をふとまた聞きたくなったきっかけは、新たなブログを執筆している際、なぜ少女漫画は読まれるのか?について考えていた時だ。その理由は、大多数の人は青春時代に言えなかった思いを心に抱えているからだ。告白したくてもできない、思いを言えない、伝えられないほうが恋愛のリアルである。

ときめきメモリアルを胸に秘める人よりも、思い出にもなれなかった人のほうが多いのだ。だから、「思い出にもなれない」には歌として価値がある。しかし、「このままじゃそうね 思い出にさえも きっとなれないね」と沈みこむにはまだ早い。沈んだら浮上すべきだ。「ときメモがあなたの人生を変える3つの理由」で書いたとおり、告白する勇気の重要性を、ときメモのゲームもキャラソンも伝えているのだから。

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あなたの音楽体験を豊かにする一品!

【歌詞全文】

きっと言えるわ
強い気持ちで
あなたへかけたテレフォン

なのにどうして
また今日も
世間話だけで
おやすみ…

くちびるが だめね
臆病で だめね
好きですと動かない

このままで ずっと
友だちを ずっと
続けちゃうのかな

いつになっても 出番が来ない
かばんの中の ラブレター

同じ電車で
帰り道
チャンスはもう すごく
あるのに…

まなざしが だめね
照れるから だめね
まっすぐに見られない

このままじゃ そうね
思い出に さえも
きっとなれないね

眠れない毎日に
羊を数えるより
今夜こそは必ず
I can say "I love you"

くちびるが だめね
臆病で だめね
好きですと動かない

このままで ずっと
友だちを ずっと
続けちゃうのかな

まなざしが だめね
照れるから だめね
まっすぐに見られない

このままじゃ そうね
思い出に さえも
きっとなれないね

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NOAH・ウマ娘・呪術廻戦ファンのための、サイバーエージェント、21/9期第3四半期決算のポイント【バクシン!バクシン!】

サイバーエージェントの第3四半期(4-6月)は、フルパワーの「ウマ娘プリティーダービー」により、バクシンバクシンバクシーン!!となった。いつもどおり、本日発表の第3四半期決算についてポイントをかいつまんで、わかりやすく解説していこう(過去記事:サイバーエージェントってどんな会社?講座、20/9期第1四半期及び買収記者会見第2四半期第3四半期第4四半期21/9期第1四半期第2四半期)。なお、株価も日本市場が停滞するなか、底堅い推移だ(21/4/1付で1:4分割されている)。決算数字が良すぎて、株価がピークアウトしないか心配である。知ったらしまい、なのだから。

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21/9期第3四半期累計の営業利益は前年同期比2.7倍の775億円(第3四半期のみでは445億円)。第2四半期の決算で、21/9期営業利益予想レンジを期初の300-350億円から、575-625億円にレンジを上方修正していたが、第3四半期決算ではさらに1000億円(前期比約3倍)に引き上げた。前回の上方修正を受けて予想を引き上げていたアナリストたちのコンセンサス821億円をも凌駕した。通期で1000億円の営業利益というと、半導体検査装置(テスタ)で世界シェアの半分を握るアドバンテストの22/3期営業利益予想と互角だ。とんでもない数字である。

 

ゲーム事業の営業利益は1Qの11億円から、2Qは232億円(前年同期比2.22倍)と凄まじい急拡大となった。「ウマ娘プリティーダービー」が4-6月は3ヶ月フル貢献したため、3Qは445億円(前年同期比5.4倍)と一段の拡大となった。日本最大級のドラッグストアグループ・ウエルシアが今期に見込む額(22/2期営業利益計画443億円)をたった一つの四半期で稼いでしまった計算になる。

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しかし、「ウマ娘」の収益貢献は4-6月がピークになった可能性が高い。Game-iの月次売上推計によれば、2021/02 16.88億(2月)→129.33億(3月)→145.93億(4月)→137.62億(5月)→107.75億(6月)→83.24億(7月)と、4月をピークに減少傾向にある。だから、新機能・新シナリオ・メディアミックスにより、いかに息の長いコンテンツとして維持できるかが重要だ。

次の注目点はなんといっても「呪術廻戦ファントムパレード」だろう。私も原作・アニメともに好きで、12月の劇場版アニメも楽しみにしている。とはいえ、他社IPなのでヒットしたとしても「ウマ娘」ほどの利益率はないだろう。「ウマ娘」の収益をうまく高原状態で維持し、「呪術廻戦」で落ち込み分をどの程度和らげられるかといった見方がいいかもしれない。

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「ウマ娘」の影に隠れてはいるが、祖業のインターネット広告も堅調だ。本来、3月は企業の年度末であるから、サイバーエージェントのネット広告事業の2Q(1-3月)は売上高・営業利益が盛り上がりやすく、3Qには反動が出やすい。しかし、3Qの売上高は2Qに続き過去最高となった(営業利益は2Q対比やや減)。企業の広告出稿の回復持続に加え、AIを活用したプロダクトの広告主への導入も奏功している。

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メディア事業は「ABEMA」の先行投資により、営業損失は1Qが39億円、2Qが34億円、3Q38億円と相変わらずだ。WAU(ウィークリー・アクティブ・ユーザー)が再び盛り返した割には売上高の伸びは物足りない内容だ。

広告・課金収入だけでなく、周辺ビジネスの収入も拡大基調だが伸びはやや鈍い。PPV(ペイパービュー)、ABEMA公式通販「ABEMA Shopping」に加え、公営ギャンブルのネット投票「WINTICKET」の取扱高も拡大の勢いがほしいところだ。

7-9月はデルタ株拡大のなか、音楽アーティストのオンラインライブに加え、大谷翔平選手の活躍メジャーリーグの試合の放映、藤井聡太二冠のタイトル戦など「ABEMA」が注目されやすい素地はある。「ABEMA」はいつまでも先行投資期のままではいられない。ゲーム事業が稼いでいるうちに、シェア拡大やオリジナルコンテンツの充実、新規事業への投資など、将来への種蒔きを強化する必要がある。

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自分の場合、「ウマ娘プリティーダービー」は5月に熱心にプレイし、競走馬の歴史にも詳しくなったが、今は落ち着いている。課金累計額も2万円少々にすぎない(FGOの場合でも累計で10万円程度だ、アストルフォと茅野さんにしか課金していない)。育成ゲームとして、事実上のパワプロ・ときメモとも言えるシステムは、私にはとっつきやすかった。

ただし、本気でやろうとすればきっと修羅の道になる。先程、キャンサー杯決勝ではオープンリーグBグループで優勝できた。Bランクまでのウマ娘が出走するグループで、ゆるゆるとプレイするのがちょうどいいように思える。すでに私の関心はスマートフォン移植版のヴァルキリー・プロファイルに移っている。

さて、「ウマ娘」のおかげで親会社の懐事情が潤沢になっていることは、プロレスリング・ノアにとっても喜ばしい。ABEMAプレミアムは月々980円にすぎないが、コンテンツは充実しており、VOD動画配信サービスとテレビ局を兼ね備える立ち位置はユニークだ。

だが、ABEMAプレミアムの価格設定は安すぎるように最近は思えてきた。せめて、NOAHの限定コンテンツや興行の配信をもっとPPVにしてもらえないだろうか。チケットを買っての観戦が再びしづらくなった今では、なおさらそう感じる。

ABEMAの公式サイトはこちらから

(ABEMAプレミアムは2週間無料、解約も好きな時に可能)

 

 

 

「想い...。」野田順子(as陽ノ下光):荒ぶるギターとドラムスは秘めたる熱情の発露【名曲紹介74】

野田順子(敬称略、以下同)の「想い…」は、「ときめきメモリアル2 Substories vol.3 Memories Ringing On 」の オープニングソング。ゲーム自体はその名の通りサブストーリーなのだが、二人の幼馴染ヒロインである陽ノ下光、麻生華澄に、光の友人である水無月琴子の思いが複雑に絡み合う混沌とシナリオは賛否両論を巻き起こした。つまり、良くも悪くも感情を揺さぶる作品だった。

本ゲームの導入として、「想い…」はプレイヤーの心を揺さぶる尖兵だ。秘めた想いが激しく溢れ出る様を、荒ぶるギターとドラムスが見事に表現しているからである。

 

「想い...。」は、作詞:IGA 作曲:メタルユーキ 編曲:米光 亮の布陣。2のソフト展開の閉幕を飾るとあって、プロデューサーのメタルユーキ氏自らが作曲している。迫力ある重低音サウンドがほぼ全編に渡って続いており、シリアスな本編の雰囲気を十二分に伝えている。

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

イメージはこんな感じだ↑
イントロは心が激しく乱れる様をぐわーんと豪快に表現していて、ぐいっと引き込まれる。荒ぶるギター・ドラムスは、秘めたる熱情の発露といえようか。

陽ノ下光は優しく明るいキャラクターであるが、それゆえに彼女自身にとって特別で大切な水無月琴子、麻生華澄の両名の気持ちを考えて心が揺れ動く様は、とても激しい具合となる。野田順子のパワフルなのに憂いを帯びたボーカルは独特だ。光のキャラソンは明るい曲があるが、極めてシリアスな「想い...。」は異彩を放っている。

 

歌詞では1番のサビが秀逸。恋って、そういうもんだ。

傍に居たい ずっと居たい
近づくほど不安になる
傍に居ても あなたの心は
遠くて見えない

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名曲紹介26:「勇気の神様」野田順子:コテコテですか?だが、それがいい
名曲紹介27:「笑顔の決心」野田順子(as陽ノ下光):まさに陽光!キャラソンのお手本
名曲紹介50:「Brilliant」野田順子(as陽ノ下光):海面の光の煌めきを思わせる輝く名曲!

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21年夏アニメも松岡禎丞、日野聡、茅野愛衣、佐藤聡美、悠木碧でスクリーニング!:全力全開!花江夏樹・松岡禎丞無双!【45→9】

7月~放送の2021年夏アニメはアニメイトタイムズによると、50作品の放映が予定されている(再放送は5作品)。さて、いつもどおり、松岡禎丞、日野聡、茅野愛衣、佐藤聡美、悠木碧(敬称略、以下同)の出演を軸にスクリーニングし、9作品にまで厳選した(花江夏樹の起用が目立つ一方、松岡禎丞の名も多数。「鬼滅の刃」効果も窺われる)、原作や前評判などの情報など定性的な判断を加えさらにそこからふるいにかけ、6作品を視聴予定とした。その他の作品から3作品をチョイスし、合計は9。結果、放映本数に対して約5分の1となった。順に見ていこう。 

アイドリッシュセブン Third BEAT!

佐藤聡美さんが出ているが2期まで未視聴のため保留。

ヴァニタスの手記

月刊「ガンガンJOKER」スクウェア・エニックス刊)

ヴァニタス:花江夏樹、ノエ:石川界人、ジャンヌ:水瀬いのり、ルカ:下地紫野、ドミニク:茅野愛衣、先生:石田彰

 茅野愛衣出演につき、見てみよう。

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X

カタリナ・クラエス:内田真礼、ジオルド・スティアート:蒼井翔太(幼少時代:瀬戸麻沙美)、キース・クラエス :柿原徹也(幼少時代:雨宮天)、アラン・スティアート:鈴木達央(幼少時代:田村睦心)、ニコル・アスカルト:松岡禎丞(幼少時代:M・A・O)

継続視聴。1期はなかなか面白かったので。

Sonny Boy

 長良:市川蒼、希:大西沙織、瑞穂:悠木碧、朝風:小林千晃

悠木碧出演だが、様子見。

ジャヒー様はくじけない!

ジャヒー様:大空直美 、店長:茅野愛衣 、大家:日笠陽子、ドゥルジ:花澤香菜 、サルワ:小松未可子 、魔法少女:上坂すみれ 、こころ:小倉唯

茅野愛衣出演につき。しかも日笠陽子との共演作は鉄板だ。シリーズ構成:横手美智子、アニメーション制作:SILVER LINKという点もポイント高し。。これも、「ガンガンJOKER」なんだね。

精霊幻想記

リオ/天川春人:松岡禎丞、リオ(幼少期):諏訪彩花、セリア=クレール:藤田茜、アイシア:桑原由気、ラティーファ:楠木ともり、綾瀬美春:原田彩楓、クリスティーナ=ベルトラム:鈴代紗弓、フローラ=ベルトラム:本渡楓

前世と現世が交錯する――異世界転生ファンタジー”前世と現世が交錯――、ほほう、また異世界転生か、どうせKADOKWA……じゃない?原作は、山結莉『精霊幻想記』(HJ 文庫/ホビージャパン)ということで、「百錬の覇王と聖約の戦乙女」のように原作がちゃんとしているのに、小説9巻分を強引に1クールアニメにしていかにも上澄みだけ……みたいにならないことを祈る。

探偵はもう、死んでいる。

キャラクター原案:うみぼうず(MF文庫J「探偵はもう、死んでいる。」/KADOKAWA刊)

君塚君彦:長井新、シエスタ:宮下早紀、夏凪渚:竹達彩奈、斎川唯:高尾奏音、シャーロット・有坂・アンダーソン:白砂沙帆、コウモリ:松岡禎丞、カメレオン:子安武人、アリシア:長縄まりあ

迷宮ブラックカンパニー

二ノ宮キンジ:小西克幸、リム:久野美咲ワニベ:下野紘、シア:戸田めぐみ、ランガ:M・A・O、ベルザ:佐藤聡美、ゴブリン上司:高木渉、迷宮アリA:松岡禎丞

佐藤聡美さん、松岡禎丞両名出演につき。原作は、マッグガーデン「月刊コミックガーデン」「MAGCOMI」連載作品。不撓不屈の物語とのことだが、「異世界迷宮」×「ブラック企業」の社畜的ファンタジーとのアイデアはひとまず見ても良さそうに思える。アニメーション制作:SILVER LINKというのも頼もしい。

D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION

織田 龍平:阿座上洋平、毛利 玲菜:伊藤彩沙、伊吹咲 愛莉:高野麻里佳、伏辺 或斗:堀江瞬、ジェシカ・クレイボーン:悠木碧

 悠木碧出演ではあるが、原作:サムザップ、ドリコム、ブシロードとのことで、スマホゲーム関連だろうか?劇伴音楽:田中公平、OP:「獣の理」東京事変は気になるのだが、ひとまず見送りか。

小林さんちのメイドラゴンS

小林さん:田村睦心、トール:桑原由気、カンナ:長縄まりあ、エルマ:高田憂希、ルコア:髙橋ミナミ、イルル:嶺内ともみ、ファフニール:小野大輔、滝谷真:中村悠一、才川リコ:加藤英美里、ジョージー:後藤邑子、真ヶ土翔太:石原夏織

妻も好きなアニメだ。京アニ復活を祝してぜひ2期も見よう。

うらみちお兄さん

表田裏道:神谷浩史、兎原跳吉:杉田智和、熊谷みつ夫:中村悠一、蛇賀池照:宮野真守、多田野詩乃:水樹奈々、木角半兵衛:木村良平、上武裁人:鈴村健一、猫田又彦:小野大輔、出油佐男:三木眞一郎、出⽊⽥適⼈:堀内賢雄、枝泥エディ:花江夏樹、縁ノ下カヨ:髙橋ミナミ、辺雨育⼦:佐藤利奈、カッペリーニ降漬:中井和哉、アモン:津田健次郎、蛇賀眩衣:日笠陽子、小百合:定岡小百合、神の声:大塚芳忠

OP:「ABC体操」いけてるお兄さん(CV.宮野真守)、うたのお姉さん(CV.水樹奈々)

【主題歌】TV うらみちお兄さん OP「ABC体操」/いけてるお兄さん、うたのお姉さん(CV.宮野真守・水樹奈々)、ED:「Dream on」宮野真守

圧倒的声優陣にひれ伏すしかない。予備情報がまったくないが、まず見よう。高橋ミナミは遊戯王SEVENSの重機デュエルのヒロイン、ウマ娘のエルコンドルパサーの役を契機に、最近気になっている。声の波長がどういうわけか、耳に心地よいのだ。

 マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON

いろは:麻倉もも、七海やちよ:雨宮天、由比鶴乃:夏川椎菜、深月フェリシア:佐倉綾音、二葉さな:小倉唯、十咎ももこ:小松未可子、秋野かえで:大橋彩香、水波レナ:石原夏織、黒江:花澤香菜

1期が消化不良だったので、2期を見られるのは楽しみだ。10周年プロジェクトの行方も気になるね。

 劇場公開の映画アニメ含め、コンテンツ制作・公開の交通渋滞期に入っているように見受けられる。総作品数の減少はむしろ歓迎したい。ひとつあたりの資本投下の充実と丁寧な作品作りを通じて、適正な利潤を確保し、サステイナブルなコンテンツ供給が続くことを願う。

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三沢光晴「理想主義者」:13回忌の今日を契機に、読むべき3つの理由とは?:【プロレスファンの必読書】

三沢光晴「理想主義者」を13周忌の今日、紹介する理由は主に3つある。

プロレスにまつわる素朴な疑問に対する答えが満載

人生に対する指針、考え、対処法もたっぷり

死してなお、勇気と活力を与えてくれる

以上の3点から、今一度未読の方も既読の方も、
これからの人生のために、
読む価値ある1冊として紹介したい。

①プロレスにまつわる素朴な疑問に対する答えが満載

本書の最大の魅力は、プロレスにまつわる素朴な疑問に対する答えが、これでもかというくらいに多数書かれている点にある。まさに打てば響く、三沢光晴の試合のようだ。三沢光晴という稀代のレスラーが、技術的な解説を行うのだから、極めて貴重な証言と言えよう。しかも、高度な内容でありながら、説得力あるロジカルな解説をわかりやすく、懇切丁寧に書いている点にも特色がある。

「プロレスは真剣勝負か否か」、「ロープに振られた選手はなぜ、素直に戻ってくるのか」、「なぜレスラーは年に100試合以上もできるのか」といった率直な疑問から、トレーニング、受け身、精神的な駆け引き、関節技、タックル、エルボー、技の痛みや凄さ……テーマは多岐にわたる。しかし、心技体と喜怒哀楽のすべてが詰まった多角的な論題に対して、ことごとく的確な答えを放ってくるのだ。いかにプロレスの攻防が必然性と合理性に満ちたものか、目からウロコである。プロレスファンの"理論武装"のみならず、単純にプロレスを楽しむ役に立つため、一読をおすすめしたい。もちろん、上を目指したいプロレスラーにとっても極めて有益な本と言える。必ずヒントがあるだろう。

②人生に対する指針、考え、対処法もたっぷり

プロレスをあまりに知らない人にも読んでほしい理由は、人生に対する指針、考え、対処法が多数書かれている点にある。三沢光晴という人はレスラーとしてだけではなく、人としてもまさに大人物だ。厳しさと優しさ、視野の広さが同居した率直な指摘の数々は、人生を生きるうえで指針となるし、応用も効くだろう。名言も続出で、書き出しきれないほどだ。いくつかほんの一端を紹介するので、まずはこれだけでも味わってほしい。

「今の自分は、過去の自分よりも自身を持っていると確信を持って言えることが大切なだと思う」
「プロレスには危険ではない技などひとつもない」
「楽をして要領だけで成功できる世界などひとつも存在しない。幻想だけを追い求めていても、あとに残るのは虚しさと絶望だけではないか。成功とは、苦しみの積み重ねによって持たされる報酬であることを忘れてはならない。」

「信念だけでは成功できない難しさは、どんな業種にも当てはまるだろう。だが信念やこだわりを捨ててしまえば、個性の薄っぺらいものしか人々には提供できない。私が物事を貫きとおす信念にプラスして、その対極にある柔軟性をノアの選手に求める理由がわかってもらえただろうか」

「作り手の気持ちになれば、ほかの業種からもたくさんのことを学ぶことができる」

「気持ちを一旦リセットして次の戦いに臨むことも重要だと考えている」

「私は「がんばります」や「がんばったんですけど……」が聞きたいのではない。自身に満ちた顔で発せられる、「がんばりました」が聞きたいのだ。」

「悔いを残すほど悲しいものはない。チャレンジしてかりに失敗しても、笑って頭を掻いているくらいでいい。前向きな失敗は成功への過程なのだ。」

③死してなお、勇気と活力を与えてくれる

あれから13年。2009年6月13日、試合中の事故(私はこの言い方が好きではない。精神が肉体を凌駕してしまった結果なのだから)により他界した著者が残した最後のメッセージには耳を傾ける価値がある。プロレスを楽しむための最高の技術書にして娯楽書であると同時に、あなたの人生にも応用できる言葉が満載なのだから。しかも、値段600円程度の文庫本で手に入る。最高のコストパフォーマンスだ。三沢光晴は、死してなお、わたしたちに勇気と活力を与えてくれる。

三沢光晴「理想主義者」

【ノア観戦記】「自由と信念」が息づく「​明るく、楽しく、激しいプロレス」が令和に蘇った日:CyberFight Festival 2021/6/6

「 ​明るく、楽しく、激しいプロレス」。6/6開催の「CyberFight Festival 2021|サイバーファイトフェスティバル2021」は、かつての全日本プロレスのキャッチコピーを彷彿とさせる興行だったように感じた。DDT主導の大会である印象はあったものの、NOAHのなかにもDDTはあり、DDTのなかにもNOAHがあったように見えた。「自由と信念」のもと、生き生きと大会を彩ったのは、特にDDTの選手たちだった。とはいえ、NOAHの選手たちがDDTに対応した点は見逃せないポイントだ。

 

ダークマッチのバトルロイヤルでは、ファンキー勢、特に井上雅央は違和感はない。得意のダンスに興じる平田一喜をスイクルデスで一刀両断した齋藤彰俊の怖さ、ヨネの打撃とアフロ、谷口のかつてのパートナー火野裕士との邂逅と他レスラーをちぎっては投げの意地の張り合いは一定の存在感を残した。

 

杉浦と桜庭、ササダンゴとディーノのタッグマッチは、ササダンゴマシンがプレゼンでSDGsの概念を体よく盛り込んだように、NOAHがDDTの領域に踏み込み、多様性を見せた。パンストを被せられても全く動じずにオリンピック予選スラムを見舞った杉浦、常盤貴子の写真集にまんまとおびき寄せられる桜庭の様子はたしかに滑稽で愉快だった。

一方で、杉浦・桜庭の間合いに入り込めず、男色ディーノがお得意の男色殺法をほぼ繰り出せなかったのは想定外だ。とはいえ、NOAHは10数年前に試合で絡んだこともありディーノに無縁ではない。試合後のマイクで「しょっぱい試合してすみません!」と、杉浦がS・S・マシンのネタを盛り込むあたり、プロレスのパロディとしての愉快で楽しい試合となった。下記の試合後のコメントはまさにそのとおりと感じる。

ササダンゴ「杉浦軍は、ノアは大きかった。でも、わかんない。ホントに真っ向から価値観が真逆なんじゃなくて、わかんない。違うこともない部分が自分たちの中にもちっちゃくワンポイントがあって、ノアの中にもちっちゃくDDTっぽいってことがある。そういうとこかな。」
ディーノ 「ま、ひょっとしたらDDTとノアはほんの少し隣なだけかもしれないね。」

 

拳王率いる金剛と高木三四郎率いるDDT軍の12人タッグマッチでは、ちょっとだけ互いを認めあう部分が示された。週刊プロレス上のコラムとSNS上の舌戦が話題になったが、拳王という選手は、NOAHファンの総論の代弁者ではなく、多数派ではないが一部において予想されるであろうファンの声を先回りして、あえて代弁する傾向がある。

高木大社長は、エゲツない内出血ができるほど、拳王の張り手と気持ちを受け止めた。男気を見せた。拳王はドラマティックドリーム号を奪取して騎乗(もっとも、大社長を轢いたあとは徹底的に破壊したが)、DDTの領域に踏み込んだ(みちのくプロレス出身の拳王が対応できないはずもない)。小さな歩み寄りだ。

 

ハイライトは、グロッキー状態の高木大社長が覇王をなんとかシットダウン式ひまわりボムに抑え込むなか、坂口選手とヨシヒコ選手が合体式スリーパーホールドで救援に入ろうとする拳王を捕獲したシーンだ。これほど強烈な絵面を私は見たことがない。

 

熱い打撃の応酬から、NOAHの試合に十分対応できる選手もDDTはたくさんいるようだ。この試合は始まりに過ぎない。NOAHの選手が時折DDTに顔を出してもいいし、DDTの選手がNOAHのリーグ戦やビッグマッチに顔を出してもいい。試合後の坂口選手の懐の深いコメントは印象的だ。

 

 坂口 「いいんじゃない。この間の会見で言った通り、同じグループかもしれないけど、一つ一つの畑が違う。俺らはDDTっていう畑を耕して成長させて見に来てくれたお客さんを満足させる。拳王、お前らもノアを耕して成長させてお客さんを満足させる。それでいいと思う。お互い切磋琢磨して上に上がっていく。俺はそういう感覚。DDTはDDT。お前らはお前ら。でも言っとく。たまに刺激が足りなくなったら顔出せばいいんだよ。ヨシヒコ先輩が待ってるから。」

 

さて、若手たちはどうか。大会の試合の序盤では、NOAHの選手が打撃や体の分厚さといったフィジカルな部分でDDTの若手に優位性を見せた。しかしながら、東京女子・ガンプロ含め「​明るく、楽しく、激しいプロレス」の試合が多数提供された中で、清宮選手は「悩めるプロレス」を見せてしまった。

スランプにはあまり見えなかったが、追い込んでおきながら、敗北を喫したのは不甲斐ないと言わざるを得ないだろう。また、フォールを取られたあとでヘラヘラと退場するのはどうにもよくない(『有田と週刊プロレスと』が指摘するように長州力もそうしたケースはあったが…)。たしかに、悩むのも人生だ。清宮選手は今後の言動と試合でファンに悩みの先にあるものを見せる義務がある。

 

スポーツ競技と格闘技としてのプロレス、すなわち「激しいプロレス」では3大タイトルマッチはどれも熱いものだった。

 

東京女子のプリンセス・オブ・プリンセス選手権試合(山下実優VS坂崎ユカ 16分36秒 クラッシュ・ラビットヒート→片エビ固め、※第9代王者が初防衛に成功)では、ハードヒットな打撃が飛び交う激しさが印象的だった。

私は一度だけスターダムを見に行ったが、あまりに女子プロレスには馴染みがない。しかし、女子プロレスの華やかさは独特な魅力がある一方、正調の堂々とした選手権試合の激しい試合の魅力は、決して男子に劣るものではないと再確認できたのは収穫だった。

 

KO-D無差別級選手権試合(秋山準VS HARASHIMA 18分53秒 フロント・ネックロック→レフェリーストップ 第76代王者が3度目の防衛に成功)は、私にとってはどちらも馴染み深い選手同士の対決だった。HARASHIMAはさすがで、リストクラッチ式エクスプロイダーのフォールを2回も返したのは驚愕しか言いようがない。

だが、HARASHIMAの攻撃を全て受け止めたうえで、きっちりフロントネックロックで仕留めた秋山の技量には脱帽だ。ディーノ戦も驚きだったが、王道がDDTのなかに息づいている選手権試合にこれからも目が話せない。この日の私的ベストバウトだった。

 

GHCヘビー級選手権試合(武藤敬司VS丸藤正道 23分30秒 虎王・零→体固め、※第34代王者が3度目の防衛に失敗、丸藤が第35代王者となる)は、丸藤選手が武藤選手の大ファンであるからこその試合になったと思える。

シャイニングウィザードの連発で、粘る丸藤選手を追い込んだ武藤選手が決め手を欠いて、禁断のムーンサルトプレス敢行に行き着いたのはやむを得ない。フランケンシュタイナーは流れの中で出す技だし、腕ひしぎやドラスク→足4の字にいける間合いでもなく、すでに連発しているシャイニングウィザードを更に連発するのは引き算のプロレスにそぐわない。だが、そのおかげで二度と見られないはずのものをファンは見ることができた。
トラースキックと各種の虎王を凄まじいコンボで見舞い、久々のGHCヘビー戴冠となった丸藤選手は見事だが、負けても魅せる武藤敬司から漂う色気が、存在感と話題性で印象としてどうしても残るのは仕方ないだろう。ここからは、この価値あるベルトでどのような防衛ロードを歩むかが正念場だ。

 

 3王者揃い踏みの集合写真は、秋山がヨシヒコ選手と戯れている映像があまりにも衝撃的すぎた(良い意味で)。馬場全日本の系譜を汲むNOAHに、武藤全日本~WRESTLE-1、秋山全日本が合流して、そこに自主独立のDDT・東京女子・ガンプロも加わる。しかも今のNOAHには、ブシロード体制以前の新日本プロレス、Uの系譜・総合格闘技、各種インディーの流れまでもが溶け込んでいる。まさに方舟だ。

総括してみると、Cyberfightは、試合ごとに濃淡は異なるが大会全体として「​明るく、楽しく、激しいプロレス」を示した大会と言えよう。選手やスタッフたちの「自由と信念」が息づき、努力が実った結果だ。これからの展開がより楽しみになった。

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