馬車郎の私邸

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NOAH・ウマ娘・呪術廻戦ファンのための、サイバーエージェント、21/9期第3四半期決算のポイント【バクシン!バクシン!】

サイバーエージェントの第3四半期(4-6月)は、フルパワーの「ウマ娘プリティーダービー」により、バクシンバクシンバクシーン!!となった。いつもどおり、本日発表の第3四半期決算についてポイントをかいつまんで、わかりやすく解説していこう(過去記事:サイバーエージェントってどんな会社?講座、20/9期第1四半期及び買収記者会見第2四半期第3四半期第4四半期21/9期第1四半期第2四半期)。なお、株価も日本市場が停滞するなか、底堅い推移だ(21/4/1付で1:4分割されている)。決算数字が良すぎて、株価がピークアウトしないか心配である。知ったらしまい、なのだから。

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21/9期第3四半期累計の営業利益は前年同期比2.7倍の775億円(第3四半期のみでは445億円)。第2四半期の決算で、21/9期営業利益予想レンジを期初の300-350億円から、575-625億円にレンジを上方修正していたが、第3四半期決算ではさらに1000億円(前期比約3倍)に引き上げた。前回の上方修正を受けて予想を引き上げていたアナリストたちのコンセンサス821億円をも凌駕した。通期で1000億円の営業利益というと、半導体検査装置(テスタ)で世界シェアの半分を握るアドバンテストの22/3期営業利益予想と互角だ。とんでもない数字である。

 

ゲーム事業の営業利益は1Qの11億円から、2Qは232億円(前年同期比2.22倍)と凄まじい急拡大となった。「ウマ娘プリティーダービー」が4-6月は3ヶ月フル貢献したため、3Qは445億円(前年同期比5.4倍)と一段の拡大となった。日本最大級のドラッグストアグループ・ウエルシアが今期に見込む額(22/2期営業利益計画443億円)をたった一つの四半期で稼いでしまった計算になる。

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しかし、「ウマ娘」の収益貢献は4-6月がピークになった可能性が高い。Game-iの月次売上推計によれば、2021/02 16.88億(2月)→129.33億(3月)→145.93億(4月)→137.62億(5月)→107.75億(6月)→83.24億(7月)と、4月をピークに減少傾向にある。だから、新機能・新シナリオ・メディアミックスにより、いかに息の長いコンテンツとして維持できるかが重要だ。

次の注目点はなんといっても「呪術廻戦ファントムパレード」だろう。私も原作・アニメともに好きで、12月の劇場版アニメも楽しみにしている。とはいえ、他社IPなのでヒットしたとしても「ウマ娘」ほどの利益率はないだろう。「ウマ娘」の収益をうまく高原状態で維持し、「呪術廻戦」で落ち込み分をどの程度和らげられるかといった見方がいいかもしれない。

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「ウマ娘」の影に隠れてはいるが、祖業のインターネット広告も堅調だ。本来、3月は企業の年度末であるから、サイバーエージェントのネット広告事業の2Q(1-3月)は売上高・営業利益が盛り上がりやすく、3Qには反動が出やすい。しかし、3Qの売上高は2Qに続き過去最高となった(営業利益は2Q対比やや減)。企業の広告出稿の回復持続に加え、AIを活用したプロダクトの広告主への導入も奏功している。

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メディア事業は「ABEMA」の先行投資により、営業損失は1Qが39億円、2Qが34億円、3Q38億円と相変わらずだ。WAU(ウィークリー・アクティブ・ユーザー)が再び盛り返した割には売上高の伸びは物足りない内容だ。

広告・課金収入だけでなく、周辺ビジネスの収入も拡大基調だが伸びはやや鈍い。PPV(ペイパービュー)、ABEMA公式通販「ABEMA Shopping」に加え、公営ギャンブルのネット投票「WINTICKET」の取扱高も拡大の勢いがほしいところだ。

7-9月はデルタ株拡大のなか、音楽アーティストのオンラインライブに加え、大谷翔平選手の活躍メジャーリーグの試合の放映、藤井聡太二冠のタイトル戦など「ABEMA」が注目されやすい素地はある。「ABEMA」はいつまでも先行投資期のままではいられない。ゲーム事業が稼いでいるうちに、シェア拡大やオリジナルコンテンツの充実、新規事業への投資など、将来への種蒔きを強化する必要がある。

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自分の場合、「ウマ娘プリティーダービー」は5月に熱心にプレイし、競走馬の歴史にも詳しくなったが、今は落ち着いている。課金累計額も2万円少々にすぎない(FGOの場合でも累計で10万円程度だ、アストルフォと茅野さんにしか課金していない)。育成ゲームとして、事実上のパワプロ・ときメモとも言えるシステムは、私にはとっつきやすかった。

ただし、本気でやろうとすればきっと修羅の道になる。先程、キャンサー杯決勝ではオープンリーグBグループで優勝できた。Bランクまでのウマ娘が出走するグループで、ゆるゆるとプレイするのがちょうどいいように思える。すでに私の関心はスマートフォン移植版のヴァルキリー・プロファイルに移っている。

さて、「ウマ娘」のおかげで親会社の懐事情が潤沢になっていることは、プロレスリング・ノアにとっても喜ばしい。ABEMAプレミアムは月々980円にすぎないが、コンテンツは充実しており、VOD動画配信サービスとテレビ局を兼ね備える立ち位置はユニークだ。

だが、ABEMAプレミアムの価格設定は安すぎるように最近は思えてきた。せめて、NOAHの限定コンテンツや興行の配信をもっとPPVにしてもらえないだろうか。チケットを買っての観戦が再びしづらくなった今では、なおさらそう感じる。

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(ABEMAプレミアムは2週間無料、解約も好きな時に可能)