馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

サイバーエージェント、20/9期第4四半期決算のポイント

サイバーエージェントの本決算の日、10/28後楽園大会で新たなNOAHジュニア戦士・矢野安崇(やの やすたか)選手が産声を上げた。かつての秋山を思わせるブルーのショートタイツでデビューを飾ったとのことだ。また、鈴木鼓太郎選手に憧れているそうで楽しみである。
ただ、その鈴木鼓太郎選手は、小川・HAYATAによりスティンガーを追放されるという衝撃的な知らせが飛び込んできた。同日のGHCジュニアタッグは、原田・小峠の復活・ももの青春タッグが吉岡・YO-HEY組のスピードタッグを下して防衛したが、試合後に疲労困憊の両者を小川・HAYATAが急襲し、KO。ベルト挑戦をアピールした。ますます混沌を含めるノアジュニア戦線の勢いに目が離せない。

ヘビー戦線にも動きがあった。清宮が6人タッグで拳王からピンフォールを奪いGHCナショナル王座への挑戦をアピール。さらには若手急成長株の稲村と握手を交わし、反体制ユニットの金剛から正規軍に加わる可能性が濃厚になった。潮崎と中嶋はさらに遺恨を深め、GHCヘビー王座をめぐり激しい前哨戦を展開した模様だ。GHCタッグ王者チーム杉浦貴&桜庭和志組が、反骨の奮闘タッグのマサ北宮・征矢学組を退け、初防衛を果たした。試合後は丸藤が挑戦を表明。「桜庭さん!もっとプロレスを楽しみませんか?個人的にも見たいのは杉浦vs船木!桜庭vs船木!M's alliance 丸藤正道と船木誠勝で、そのベルト挑戦させてもらえませんか?」しかもタッグパートナーは船木誠勝!杉浦・桜庭組だけでも夢見心地なのに、夢の続きをまだ見せてくれるというのか!

以上で今日の大会を総括したが、今の老いも若きも躍動するNOAHのリング、ABEMAおよびWRESTLE UNIVERSE配信を支えるのは、新・親会社のサイバーエージェントである。コロナ禍はあるものの、世界の中銀の大規模な金融緩和のなか、デジタル娯楽・IT関連企業の物色の波に乗り、今年のサイバーエージェントの株価は堅調に推移した。本日発表の20/9期第4四半期決算は本決算にあたる。いつもどおりわかりやすく解説していこう(過去記事:サイバーエージェントってどんな会社?講座、21/9期第1四半期及び買収記者会見第2四半期第3四半期

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20/9期はコロナ禍に抗い、順調な売上・利益成長を堅持

売上高は4785億円(前期比5.5%増)と過去最高を更新した。営業利益は338億円(同9.9%増)になった。計画の280億円~320億円のレンジ予想を上回る内容でこの点はポジティブだ。但し、アナリストコンセンサス(12社)366億円に対して下振れとなった点は、物足りない着地となった。。

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ネット広告事業:コロナ禍でも底堅い収益をキープした

20/9期売上高は2693億円(前期比5.0%増)、営業利益は210億円(前期比7.3%)となった。3Qの前年同期比増収率は0.01%増、4Qは2.5%増と持ち直しが確認された。3Qを底にした回復局面入りへ向かう見通しで(ネット広告事業業績はもともと2Q偏重)、一定の安心感があろう。

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ゲーム事業:多様な新作投入が奏功、旧作も手堅い

20/9期売上高は1558億円(前期比2.4%増)、営業利益は303億円(前期比16.5%)となった。1Qに投入した「この素晴らしい世界に祝福を ファンタスティックデイズ」が好調な収益モメンタムを維持しており(私は未だ課金をしていないがプレイを続けている)、「グランブルーファンタジー」「プリンセスコネクト」などの定番タイトルも引き続き収益を支えた。
新作はリズム&アドベンチャー「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」が9月30日にリリースされ、リリース後3週間で200万ユーザーを突破するので好調となった。さらに、 RPG「NieR Re[in]carnation」が9月24日に事前登録を開始し、北米・欧州版のリリースを決定した。この2作品が新年度21/9期に上乗せになる点は楽しみな材料だ。

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メディア事業:ABEMAは順調な業容拡大、先行投資はまだ続く

売上高は571億円(前期比22.6%増)。営業損失は183億円の赤字(前年同期比14億円悪化)。堅調な売上拡大が続くなか、40~50億円の四半期営業赤字が続く構図に変化なく、引き続き先行投資と業容拡大に取り組んでいる。ウィークリー・アクティブ・ユーザーは1000~1500万人のレンジで推移し、下値を着実に切り上げながら拡大が続いている。ABEMAプレミアムの9月末の有料会員数 は84.4万人となり、12月末までの100万人突破に向けて順調に推移している。

こうしたABEMAの広告・課金収入の拡大を進めるなか、周辺事業の成長も立ち上がりつつあるようだ。公営ギャンブルのネット投票「WINTICKET」 、ABEMA公式通販「ABEMA Shopping」に加え、PPV(ペイ・パー・ビュー、1本の視聴ごとに課金されるビデオサービス)サービスも伸長しており、今後の動向が注目されよう。

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新年度21/9期も順調な業績拡大を見込む、事業の構図は変わらず

新年度の21/9期は売上高 5,000億円 (前期比4.5%増)を見込む。また、営業利益 300~350億円 (前期比 11.5%減~3.3%増)のレンジ予想を提示した。期初段階ゆえ保守的な業績予想は致し方ないが、アナリストコンセンサス(12社)は412億円であり、期待値からは物足りないように移る。メディア事業(ABEMA)への投資を継続し、ネット広告とゲーム事業で稼ぐ構図には大きな変化はない模様だ。

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秋冬を迎え、欧米や新興国で新型コロナウイルスの再拡大が見られるなか、日本は幸いにも感染者数・死者数ともに極めて低位である。しかし、プロレス興行はフルキャパシティでの開催は未だ出来ず、おそらくは来年も一定の制限を受けるだろう。ABEMAにおける配信は引き続き生命線である。一コンテンツとしてのプロレスの命運は、ブシロード/新日本プロレスだけでなく、サイバーエージェント/NOAH・DDT連合にもかかっている。チケットをなかなか買えない場合はグッズ通販や配信サービスへの継続課金が、具体的な支援の方法であることに変わりはない。プロレスという文化の灯を絶やさないために、私にできるのはこの文章を書くこととそれくらいだ。

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(ABEMAプレミアムは1ヶ月間無料、解約も好きな時に可能)

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