「ときめきメモリアル2」の20周年記事に続いて、OPテーマ「勇気の神様」を紹介したので、満を持してキャラクターソングを紹介させていただこう。まずはもちろん、メインヒロイン陽ノ下光からだ。
大学時代の先輩に「陽光」と書いて「あきみつ」と読む名前の先輩がいらっしゃったが、全身漆黒のコーディネイトを好んでいた。なお、娘さんの名前は「詩織」だそうで、「ときメモ1」のメインヒロイン・藤崎詩織が影響を与えていたかは定かではない。
「ときメモ2」のメインヒロインもまた幼馴染だ。陽ノ下光という名前を絵にかいたような、健気で一途、快活で健康的な優しい女の子だ。苗字と名前が縁語や掛詞になっているのは「ときメモ」の面白い点である。
ショートカットの髪型がトレードマークで、陸上部に所属しており、運動が得意だ。跡部様ばりに左目下の泣きぼくろがチャームポイントだ。好きな物は夏・海・太陽、ガラスの小物。嫌いな物は暗闇・地震・雷、ホラー映画。主人公に最初から好意を抱いている点も特徴的。要求ステータス水準は低めで、前作で"ラスボス"のような扱いを受けていた藤崎詩織ともまた違っている。
良いことばかりのようだが。ときめき易さ・パラメータ補正の感受性・思考ロジックといった攻略しやすさが、他のキャラクターに心惹かれた際に仇となる。光が"火ノ元"となり、恋愛から一転、爆弾処理班の特殊部隊のシミュレーションゲームと化すのである。それはまさに、「ときメモ」のゲームシステムが牙をむく瞬間といえよう。こうした魅力的なヒロインを袖にするならば、プレイヤーは良心の呵責に苛まれるというわけだ。よくできている。
さて、横道にそれたが、画面登場時のテーマ曲「真夏に“DIVE!”」は爽やかな陽ノ下光という好人物にピッタリの曲だ。さらに、この曲をキャラクターソングに一段昇華したのが、「笑顔の決心」である。
「笑顔の決心（作詞：竹広将史・くまのきよみ / 作曲：メタルユーキ / 編曲：岩崎元是） 」は1999年12月23日発売の「ときめきメモリアル2 ボーカルトラックス」でアルバムの先頭を務め、切り込み隊長の役割を果たしている。また、野田順子さんのアルバム『SPARKLE』にも収録されている。
作詞には竹広将史さんに加え、この醜くも美しい世界OP「metamorphose 」など多数の著名な楽曲に関わっているくまのきよみさんも連名で参加している。そのクオリティは極めて高く、この曲が「2」のキャラソンの方向性と良質さを決定づけたといって過言ではない。順に歌詞を見てみよう。
【1番】日曜の早起き気持ちいいね 夏の香り
太陽のシャワー浴びて ハンドル強く握り
今頃君は まだ夢の中なんでしょ？
風をからませ自転車（バイク）で 景色飛ばして
走り出す 高鳴るこの胸がドキドキしている
また逢えたときめき まっすぐな気持ち
ただ君へと向かってる
陽ノ下光という向日葵のようなまっすぐな女の子を象徴するかのような内容だ。劇中のありそうなシチュエーションから、堂々と気持ちを歌い上げている。直球勝負だ。
【2番】幼い日 わたしにくれた指輪（リング）憶えている？
泣きじゃくり見送った サヨナラとちいさな恋
君の前ではいつも笑顔でいたい
泣き虫はもうやめたの 強くなりたい
走り出す サドルに弾ませて 坂道のぼって
また逢えた奇跡を 大切にしたい
もう君へと進んでる
1番が外の風景と外へ向かう気持ちを歌っているのに対して、2番は本編の内容を踏まえて内省的な感情とそこから来る「笑顔の決心」を歌っている。キャラクターソングの歌詞として満点であり、的確で過不足なく語呂も整っていて、御見それしましたと言うほかない。
【大サビ】はじまるよ 恋してる すべてがキラキラしている
向かい風がきても 乗り越えられるの
わたしらしくいるために
走り出す 高鳴るこの胸がドキドキしている
また逢えたときめき まっすぐな気持ち
ただ君へと向かってる
大サビ2連発はダメ押しだ。参りました。とはいえ、トータル3分半でなんら無駄がない。筋肉質な曲である点も、もしかしたらキャラクターを象徴しているのかもしれない。音が上がっていく前向きなイメージの原曲を生かしたアップテンポな曲調もまた、野田順子さんの可愛さと力強さを両立した稀有な歌声をいっそう引き立てており、出色の出来栄えだ。この曲はキャラクターソングの白眉にして好例である。
さて、明日はメインヒロイン陽ノ下光の親友・水無月琴子のキャラソンを紹介しよう。
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