雨に感情はない。しかし、雨の降る様子や雨音に、人間は心情を投影する。
中西保志「最後の雨」、森高千里「雨」、ニール・セダカ「雨に微笑みを」、ショパン前奏曲 作品28の15「雨だれ」など雨をモチーフにした曲は枚挙にいとまがない。
だが、今回紹介する「雨」を知っている人は只者ではない。アルバム未収録曲だからだ。フォロワーさんからのリクエストで言われた時、一瞬思い出せずフォルダ検索をPCでかけてしまった。この曲をあえて、というのは相当な"通"と見える。
実はこっそり「ときめきメモリアル ― OVA オリジナル・サウンドトラック」に収録されている。トラック名は「雨-vol.1挿入歌-」だ。静かにひっそり収録されているが、曲自体も静かで存在感は薄い。ただし、レア曲ならではの良さがあり、聴き応えがある。
アコースティックギターのループ調のイントロが印象的な冒頭。ほぼ同じ旋律が、伴奏へと様変わりして、メロ・サビ・間奏で繰り返される。キーボードやストリングスは、スーッとした雨の日を思わせる音を少しだけ味付けしている。薄味が何とも心地よいのだ。
菊池志穂さんの声といえば、持ち味は透明感・清涼感・爽快感だ。しっとりとした雨の日の涼やかな肌感覚をボーカルで表現している。ともすると淡々と歌っているように聞こえるが、絶妙な分量の感情を乗せて歌っているところが、職人芸だ。
何気ない雨の情景や雨音を「恋の中で聴いている」時、あなたは何を見出すだろうか。
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