EUV(極端紫外線)露光の実用化により、最先端ロジック半導体の回路線幅がナノメートルに突入しているこの時代、「ゼロセンチメートル」、「1ミリ Symphony」ときて、「君への100センチメートル」と拡大するのは一体どういう了見か?と思われるかもしれない。だが、「恋する2人の834km」よりも、想い人たる「君への100センチメートル」のほうが遠いのだ。
「ときめきメモリアル」における情報通の友人・早乙女好雄として歌うバッドエンディングテーマ「女々しい野郎どもの詩」は名曲だが、キャラクターイメージソングの「君への100センチメートル」もなかなかのものだ。
早乙女好雄の声を担当する上田祐司(うえだゆうじ)といえば、(『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(相楽左之助)、「ポケットモンスターシリーズ」(タケシ)など、多くの人に親しみがある代表作は多い。
その来歴といえば、かなりユニークだ。ざっと列挙するだけでも、たとえばこうだ。料理の腕があ中学時代は生徒会長を務めていた。声優になる前に日本国外での舞踊公演の経験がある。「声優としても最高なのに、料理人としても最高」と、大地丙太郎監督に評され、仕込みの手際良さまで称賛されると言う。役作りの土台として心理学書や哲学書をよく読む。演じている各キャラクターについて、「常日頃から意識の中に並べ持っている感覚を大事にしている」と語っている。
「君への100センチメートル」の布陣はこうだ。
作詞:上田祐司 作曲:地獄車中村 編曲/演奏:三原善隆
…というわけで、歌い手自らが作詞も担当している。歌詞の特長としては、安易なカタカナ言葉に頼らず、歌詞の繰り返しも意図的に避けているようだ。前に進んでいくイメージの言葉がふんだんに散りばめられている点も前向きだ。
メロディーはゆったりした感じで展開していゆく。キーボードとストリングス、ドラムスに着実なベースのビートも耳に心地よい。煌めく星々を思わせる装飾音も綺麗だ。バックコーラスも随所で良い仕事をしている。叙情的な歌詞にマッチしたバランスのとれた曲調で上田祐司の歌いぶりも見事。男性ボーカルのキャラソンの中でも随一の出来栄えと言えよう。
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