馬車郎の私邸

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名曲紹介20:ナイス爆裂!120点 :Machico /「1ミリ Symphony」(「映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」テーマソング)

ゼロセンチメートル」の次は「1ミリ Symphony」とは、はて?と思われるかもしれない。しかし、8/30公開の「映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」のテーマソングであり、最新の曲で最も注目すべきだと考える。

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公開翌日8/31に見た映画版の感想は、一言でいうと「ナイス爆裂!120点」だ。前もって注目点として述べたとおり、会話劇の素晴らしさを堪能させてもらった。劇場音響で聞く声優陣の演技もさることながら、やはり作品の主題の一つである爆裂魔法は実に大迫力だった。アニメのオリジナル展開と原作5巻の再構成も大筋で適切な内容であり、劇場版アニメ映画かくあるべしという内容だったと太鼓判を押したい。KAZUMA

さて、「このすば」が、その辺の有象無象の異世界転生・チート小説と異なる点は、主人公のカズマの苦悩だ。すなわち、とても困るのだが、どうにも憎めない個性的なパーティメンバーたちにまつわる苦悩だ。aqua

そんな愉快な仲間たちは3人。女神にしてアークプリーストなのだが、とことん阿呆なアクア。強力無比な"爆裂魔法"を会得しているが一発放てば全魔力・体力・気力を使い切ってしまい、おんぶしてもらわないと帰れないアークウィザードのめぐみん、有力貴族の令嬢にして鉄壁の防御を誇るが、ちっとも攻撃が当たらないドMなクルセイダーのダクネス。なんとも一癖も二癖もある連中だ。
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肝心のカズマは幸運ではあるが、職業は最弱職の冒険者であり、どうにも器用貧乏だ。使うスキルはいずれもひとつひとつは大したものではない。しかし、機転を利かせて数々の危機を乗り越える地頭の良さ(悪知恵が働く?)がある。勇気と知恵で困難に立ち向かうのは、いかなるタイプの物語でも好感が持てる主人公の要素だと言えよう。

テーマソング「1ミリ Symphony」の歌詞は、今週のジャンプ「鬼滅の刃」における竈門炭治郎のセリフに通じるものがある。
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「一番弱い人が一番可能性を持ってるんだよ。(略)俺が弱かったからこそ状況を変えられた。敵がこちらを警戒できる絶対数は決まってるんだよ。だからあとがそれを敵がどう割り振ってるかなんだ。敵はより強い人をより警戒していて壁が分厚いけど、弱いと思われている人間は、警戒の壁が薄いんだよ。だからその弱い人が予想外の動きで壁を打ち破れたら一気に風向きが変わる。勝利への活路が開く。」
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劇中でのカズマの活躍は、まさにこのようなものだ。愛すべき仲間たちはいずれも一芸に秀でているが、とてつもない欠点も持っている。そんななか、カズマは創意工夫や決死の捨て身戦術により、ここぞという場面で状況を打開するのである。時にぶつかり、時に睦み合う、微笑ましくも仲の良いパーティメンバーがチームワークを発揮する様は、今回の劇場映画でも見どころと言えよう。

「1ミリ Symphony」のキーワード「1ミリ」はこうした点を踏まえたものである。歌の中で登場するのは、1番、2番のサビ、トリの大サビ前のBメロだ。
「ここで解き放つ魔法が 1ミリだけ誰かの今日揺らすんだ」
「ずっと守りたい希望が 1ミリだけ明日をきっと動かす」
「君が描いた軌跡は 1ミリだけ誰かの今日揺らすんだ」

「1ミリだけ」動かす。何かを変えるには、何かを少しでもすることなのだ。営業の基本はL(手紙)、T(電話)、V(訪問)だが、「あと1枚、1本、1件」の頑張りが意外な約定につながるかもしれない。自分がセールス時代に嬉しかった思い出が大口の商いよりも、消し込みの際に「最後の旗を立てる」ことだ。消し込みとは、新しく募集する必達目標がある商品をホワイトボードで残りいくらとか書き込んで、その名の通り消し込むことだ。

一番最後に消し込んでゼロにした時、「残りゼロ」の記載とともに「旗の絵」を書く栄誉も獲得する。これなら少額であっても、若手のセールスも可能性があり、モチベーションにもなる。また、ある時、課長のところでキャンセルが発生し、即座に額は大きくないがその分を(偶々だが)他のお客様に買っていただいたこともあった。この時、支店長が「課長の穴を埋めたんだってな。お前も力をつけてきたな」と褒めてくれてとても嬉しかった。

以上、要するに、苦しい時や行き詰まった時に投げ出すのではなく、「1ミリだけ」動かすつもりで何かをやってみること。それがこの曲が示すキーワードだ。

さて、歌の話に戻ろう。Machicoの曲にしてはやや平板で堅実な曲調だ。とはいえ、「タタタタ タタタタ 」とドラムスがビートを刻むなか、「ポーン、ポーン」という音でキーボードの伴奏がメインの旋律を紡ぎ、単純な感じなのに意外にクセになる。Bメロ後半・サビにはトランペットやストリングスが合流し、大いに盛り上げる。

ボーカルのMachicoの声質は賑やかさを内包しており、じっくりしたアップチューンの割に、CMでもお馴染みだが、サビは着実に盛り上がってくる良曲だ。特にサビ中盤でタイトルをもじって「祝福を!」とファルセットで歌い上げる様に、耳にとても心地よい。
「鮮やかすぎるこの世界に祝福を」
「細やかすぎる あの未来にもっと情熱を」
「晴れやかすぎるこの世界に祝福を」
と、それぞれ歌詞のキーフレーズは韻を踏むようにしている点もポイントだろう。

このように、現代人を励まし、前向きに動かす「1ミリ Symphony」は注目の新曲である。
あなたの音楽体験を豊かにする一品!

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