名曲紹介35：「サバンナの風」野村真弓（as一文字茜）：近所の公園は心のサバンナ

赤井ほむらの曲を紹介したので、仲の良い一文字茜の曲も併せて。一文字茜の魅力といえば、匠のようになんたって…と言いたいところだが、なんといっても家庭的な良い子という点だろう。
それにしても今考えてもかなり攻めたキャラクター設定だ。まず、ボクっ子。さらには『クワガタ』と異名を取る独特の髪型が実に特徴的でインパクトがある。もみ上げに相当する部分の髪のボリュームがあり、内巻きになっている。まるで遊戯王シリーズのアニメの主人公のようだ。

要求パラメータは、文系・理系を各80以上に根性150以上。バランスのとれた博学さの裏に、相当な胆力を秘めた人物が、好みのようだ。

hqdefault ただし、運動ステータスは参照パラメータではないが、高くする必要がある（攻撃力の為）。同様に体調も高く保つ必要がある（HP）。雑学は127以上は欲しい（回復魔法の為）。

一体何を言っているんだ、ときめきメモリアルは恋愛シミュレーションゲームではないのか！？答えてみろルドガー！と困惑されるかもしれない。育成ゲームでもあり、RPG風のバトルが発生するゲームでもあるのだ。

以前、ときメモ2の20周年記事で書いたが、2はバトルシステムも進化している（そう、「ときメモ」にバトルはつきものなのだ）。グラフィックはまるでFF8のようだ。前作同様、同じ地域（場所）でのデート3回で不良と、あるいは修学旅行で女の子を守るための戦いはお馴染みだ。さらに、今作では、特定キャラのシナリオで多数の番長との戦い、そのうえ、親友キャラ2人共と展開によっては女の子を巡って戦うことになるのである。

そう、一文字茜の攻略はときめきメモリアルをある意味で最も楽しめる。その理由は、番長たちや総番長との闘いがあるからだ。しかも、展開によっては友人の坂城匠より手強い穂苅純一郎とも戦う羽目になる。

なぜそんな展開になるかというと、兄は総番長なのだ。家庭環境は特異な設定で、格闘家の父は修行の旅に出ており、母もそれに付いていったため彼女が一文字家を切り盛りしている。いい年をして働かない兄（総番長は無職なのか！とは対照的に、家計のため高校に通いながらアルバイトに励む。解説によれば、とはいえかなりの豪邸に住みつつ私学のひびきの高校に通っている事から、彼女が稼いでいるのは食料などの生活費で、家を維持する為の金や学費などは仕送りがあると思われるとのことだ。

そういうわけで、私服は同じ服を様々なパターンで着回しており、制服も1年を通して夏服である。
年初に「コツコツ節約のコツについて―3つの浪費パターンと対策・具体例」を書いたけれども、何もそこまで切り詰めなくてもという感じはしてしまうが、それも個性だ。また、商品券、ハンドクリーム、花柄エプロンなど、生活感あるプレゼントが好まれる。趣味はお菓子作り、カラオケと庶民的なほか、ウインドウショッピングも好きで、デート先はお金がかかる先や遠方は好まれない。

そういうわけで、近所の公園が好まれるデートスポットのひとつなのだが、そのことをうまく利用したキャラソンが「サバンナの風（作詞：田中みほ / 作曲：M Rie / 編曲：鶴由雄 / 」なのだ。『ときめきメモリアル2 Blooming Stories4 一文字茜』、2002年12月25日発売の「ときめきメモリアル2 ボーカルトラックスベスト」にも収録されている。

サバンナのような開放感のある伸びやかな歌声が実に心地よい。野村真弓さんの声はどことなく癖になる。伴奏のエレキギター、ベース、ドラムスも絶好調で、曲のトータルバランスも優れており、実に聴き応えがある。ギターソロも実にかっこよい。歌詞も注目に値するので順に見ていこう。

1番Aメロ
気まぐれな天気予報より　風のにおいを信じて
このまま公園まで走ろう
君に見せたいものがあるんだ　大きな樹の下のベンチ
優しい目のキリンのらくがき

キリンのらくがきから「近所の公園」から作られたキャラソンなのだということがわかる。

Bメロ
長い首を揺らし　風に吹かれてるみたい
なぜか元気が出る　特別の大事な場所

そう、近所の公園は心のサバンナなのだ。

サビ
胸の奥に光る気持ち　グングン広がってる
大切なもの分け合いたい　確かめ合いたい
どんな時も前を向いて　二人で歩いて行こう
サバンナに吹く風のように　強く優しく

ストレートで前向きな歌詞が実にたくましく、優しさも秘められている点が一文字茜の人となりを表しているキャラソンと言えよう。

2番Aメロ
悲しいときはとことんまで落ち込んで立ち直ろう
冴えない顔に幸せは来ない
鏡の中笑ってみたら　急に君に会いたくて
いつものベンチへ駆け出してた
Bメロ
前髪散らす風額にキスされたみたい
思わず手を当てて　振り向けば　君がいるよサビ
言葉よりも形よりも温かい贈り物
いつでもそばに包むような笑顔があるから
どんな時も前を向いて　二人で歩いて行こう
サバンナに吹く風のように　強く優しく

2番のA・Bメロは主人公との関係性を踏まえたものになっており、サビの「二人で」の言葉がより生きたものになってくる。

大サビ1
自分が好きみんなが好き　誰より君が大好き
数えきれない奇跡を超え　こうして出会えた
どんな時もひとりじゃない　怖いものなんてない
満たされていく風の中で

大サビ2
胸の奥に光る気持ち　グングン広がってる
果てしない空　ふたりの未来　映し始めてる
どんな時も前を向いて　二人で歩いて行こう
サバンナに吹く風のように　強く優しく

強く優しく…風のように…it's a wild wind.…

大サビ繰り返しでダメ押しをしてくる点も、力強くて好きな点だ。サン・テグジュペリが言う通り、「愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである。」。Blooming Storiesは総括ともいうべき曲が収録されているが、特に「サバンナの風」は二人の歩む未来への決意をたくましく歌う魅力的な楽曲である。
【参考】・ときメモ関連記事の総まとめ・目次
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・「赤い鼓動」野村真弓（as一文字茜）：チェッカーズ「ギザギザハートの子守唄」のオマージュ・ソング！？【名曲紹介57】