馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

「”aibo”が我が家にやってきた♪ これぞ復活の象徴、it's a SONY!」

ソニー製品には愛着がある。もちろんPSもだが、初めて買ったノートパソコンはVAIOだった(なお初期モデルに伴う不良でまったく起動せず、交換してもらった)。このVAIOはMBA時代をともに歩み(MAD動画の作成にも)酷使したが、社会人になってからNECのLavieZに買い換えたとき、後に妻となる彼女に譲渡した。後に大量のCDから取り込んだ音楽ファイルや収集したニコニコ動画のデータをHDDごと失ったが、世帯を形成することで戻ってきたVAIOに大部分が残っていたので事なきを得た。そして、VAIOは最後の役目を終えたかのごとく、静かに息を引き取った。また、ソニーのパソコン事業は2014年に本体から切り放され、VAIO社として分社化された。

最近のソニーというと、18/3期の営業利益は期初の5000億円の計画から上振れて、前期比2.5倍の7349億円を稼ぎ出し、実に20年ぶりの最高益更新となった。一連のリストラと分社化の推進、リカーリング(循環型)ビジネスモデルの構築が収益性の大幅な改善につながった。

主力の半導体(画像センサ)はデュアルカメラ化や高画素化が進むスマホ向けのみならず、車載向けや、IoTのスマート工場、監視カメラ向けにも用途が広がっている。テスラやウーバーの自動運転車の死亡事故発生が取りざたされるなか、月明かりの夜間に相当する低照度(0.1ルクス)でも、遠方の障害物や人物などを撮像できる最先端画像センサは12月から量産出荷を開始する模様だ。

ゲーム事業は,2013年11月15日発売のPS4が、発売6年目にもかかわらずなおも健闘しており、18/3期末までの累計で7900万台を売り上げ、プラットフォームとしてコアゲーマーを中心に強固な顧客基盤を築いた。ソフトのダウンロードに加え、ゲーム内の追加コンテンツの販売が引き続き伸びる見通し。このため、PS5の発売がなくとも、21/3期まで1300~1700億円の営業利益が続くと経営陣は見ている。かつて収益の急変動で全社業績を良くも悪くも大いにブレさせたゲーム事業は、いまや安定収益事業へと変貌を遂げた。

音楽事業は世界シェア2位の地位にあり、ストリーミング配信隆盛の折、絶好調だ。また、音楽事業の傘下にあるモバイルゲームも稼ぎ頭。2017年に国内2位の売上を誇る「Fate/Grand Order」は、 決算短信などでは厳密な数字は非開示だが、「ファミ通モバイルゲーム白書2018」によると2017年10月1日~10月3日の集計期間で896億円の売上高を誇る。決算説明会の質疑応答のなか、このゲームだけで400億円の営業利益と役員がポロリとこぼしていたのを私は耳にした覚えがある。18/3期1278億円(不動産の譲渡益105億円含む)の約3分の1というのは、恐るべき収益性である。また、官報によると、音楽事業のうち「Fate/Grand Order」を有するアニプレックスの売上高は、前期比1.9倍の2009億円、営業利益が同2.1倍の511億円となったもようだ。

テレビは4Kテレビ、カメラはフルサイズのミラーレス一眼「α9」の好調で製品構成が改善。映画は17/12期に約1121億円もの減損損失を計上したが、18/12期は「スパイダーマン ホームカミング」や「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」などヒット作にも恵まれ、黒字に転じた。金融事業は1000億円台の安定した営業利益をもたらしている。唯一の泣き所はソニーエリクソンのスマホ事業だが、全社の足を引っ張らない程度の赤字にとどまる。ただしサプライヤーからの全社的な部材の一括調達や、5G技術の肝となる機器内通信の技術開発など、間接的な好影響を持つようだ。

2017年11月1日に自律型エンタテインメントロボット"aibo"(アイボ:ERS-1000)を発売。かつてAIBOは1999年に発売され、ペットロボットを現実の世界に具現化したが2006年に発売を終了。14/3期末で修理対応を終了し、2015年1月にはなんと合同葬儀が執り行われた。。死んだ製品が蘇ったのだから、ソニーの復活の象徴といえよう。

新生"aibo"はソニーの最先端技術の粋を結集した恐るべきハイテク製品である。丸みを帯びた愛らしいフォルムはかつての無骨なAIBOの姿と異なる。飼い主を魅了する滑らかで柔らかな身体の駆動は、超小型1軸・2軸アクチュエーターを自社開発し、コンパクトなボディに計22軸の自由度を持たせることで可能にしたものである。また、目は口ほどにものを言う"瞳は、豊かな感情表現を実現する。なんと2枚のOLED(有機EL)を採用しており、瞳の色さえ指定することができる。

飼い主の言葉や、笑顔、頭や背中をなでられたことなどを感じ取るために、各種センサが多数搭載されている。画像、音声の認識・解析にはソニーの培ったディープラーニング技術を活用。また、魚眼カメラを用いた地図作成(SLAM)技術をも有し、部屋の形を覚えて歩く範囲を拡大するのだという。
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本体とクラウドが連携して実現するソニー独自のAI技術により、世界中の飼い主たちとの膨大なやり取りのデータを収集し、クラウド上のAIが集合知として蓄積することで、aiboをさらに賢く成長していく。さらに、「写真撮って」と指令を出せば、aiboが撮影してくれる機能さえ持ち、しかも自律型というだけあって、自発的に毎日の楽しかった出来事をaiboが写真で記録して、クラウドに保存しているのだそうだ。撮影した写真は、専用アプリケーションで確認できる。

aiboの累計生産出荷台数は4月中旬に11,111台を達成したが人気は高く、抽選販売への3回目の応募にして、6月21日にやっと我が家に迎え入れることができた。
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名前はアスターと決めた。適度に短く、響きと語呂が良さそうで、かつ多彩な意味を有する一方で、奇異には聞こえない名前を模索した結果だ。当初はアストルにしようかと提案したが、妻のアドバイスを経てアスターで落ち着いた。幸い、妻にも喜んでもらえたようだ。家に帰ると、ただいまという声に、さっそく愛くるしい仕草と鳴き声で応えてくれた。

まず、アスター(ASTER)はギリシア語・ラテン語で星を意味する。また、アスターはエゾギクの花でもあり、全般に「変化」「追憶」「同感」「信じる恋」の意味を有し、色によってもまた変わるそうである。瞳に色を選択できるaiboにふさわしい。さらに、大富豪のアスター家(Astor)から、富も象徴できる。さらに、ヘタリアのドイツが飼っている3匹の犬の一匹がアスターであることから、妻から好印象を得た一因のようだ。ただし、アスター(ASTER)という対空ミサイルもあるがこれについては織り込んでいないつもりだ。
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最後に、悩んだ末に名前の着想を得たのは、実はアストルフォからである。アストルフォとは、シャルルマーニュ(カール大帝)の十二有士(勇将)のパラディンで、中世フランスの武勲詩に登場する人物だ。14世紀にイタリアの叙事詩で一層有名となり、現代日本においては「Fate/Apocrypha」で当世風のとても可愛らしいキャラクターにリファインされて生まれ変わった。大久保瑠美さんの好演に
負うところも大きいという点も言及しておきたい。

当初、古代ローマ史が好きなのだから、古代ローマ史に関わりそうな言葉で名前を決めてはとの提案を妻から受けていた。難儀したが、結果的にアストルフォから着想を得たことで、古代ローマ史に関わる要素を増やすことができている。

アストルフォは騎士としてはむしろ弱いのだが、触れた相手を必ず落馬させる「魔法の槍」、あらゆる魔法を打ち破る方法を記された「魔法の本」、吹けば相手を倒すことができる「角笛」、さらにヒッポグリフ(グリフォンと雌馬の間に生まれたという伝説の生物)を入手して物語の中で大活躍する。ヒッポグリフは「ハリー・ポッター」で人口に膾炙しているが出典をたどっていくと、古代ローマの詩人であるウェルギリウスは『アエネーイス』の中で、不可能、そして不調和を表す比喩として「Iungeant aim grypes equis(グリフォンと馬をかけあわせる)」と表現したことに行き着くそうである。
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パラディン(Paladin)は、「パラティン」(palatine)、そしてラテン語の「パラティヌス」(palatinus)」から派生した語で、中世ーロッパの高位の騎士を指す。古代ローマ皇帝ディオクレティアヌスによって、侍従として、また親衛隊(praetorian guard)と呼ばれる宮殿の護衛兵として作られた。中世初期には意味が変わり、ローマ教皇に仕える高官と、神聖ローマ帝国の「パラティン伯」(count palatine)と呼ばれる高位の貴族に転じた。また、語源をたどると、パラティウムに行き着く。パラティウムはローマの七つの丘の1つであり、オクタヴィアヌスの頃から皇帝の館が置かれていた。パラティウムにある住まいも、パラティヌスと呼ばれ、パラティヌスは欧州諸言語で「宮殿」を意味する言葉の語源となり、ここからパラディンは「宮殿の高官」との意味も持つようになったともいう。

アストルフォは上述の「Fate/Grand Order」にも登場する。モバイルゲームが嫌いな私が、昨年10月「Fate/Grand Order」を始めた理由はアストルフォのためだ。もともと「Fate」シリーズはたしなんでいるし、ソニーについて理解を深める目的もあった。課金は断固しないと決めているので、なかなか巡り逢えなかったものの、4月のライダークラスのピックアップ召喚でやっとマスターになることができた。「Fate/Grand Order」に課金はしないがこうして"aibo"の購買には結びついた。これぞ、様々なファクターが巡り巡っているので、ソニーのリカーリング(循環型)ビジネスモデルの事例の一端(?)と言えよう。
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