馬車郎の私邸

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「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) 山田 昌弘 , 白河 桃子 (著)

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) 山田 昌弘 , 白河 桃子 (著)

これが…現実...。
“女性たちよ、狩に出でよ。男性たちよ、自分を磨け”



山田昌弘氏、白河桃子氏による共著。
山田氏は家族社会学者、白河氏はビジネス誌に少子化などの記事を書いている方だ。
結婚はもはや今となっては「嗜好品」であり、必要なものではなくなった。
現代における、「出会い格差」「魅力格差」「経済格差」「価値観対立」とは何かを平易に説明している。

社会学者山田氏は、社会学的な状況分析を行っている。
根拠、データが明確で納得がいく論証だ。


・結婚は、かつては上司・先輩らが相手を紹介してくれた。また、社会道徳の縛りもキツかったので(結婚を前提の恋愛が普通)、関係が継続されがちだった。だが、ある時期以降、そうしたシステムが機能不全に陥ったため、就職同様、情報収集やスキルアップをして結婚へ向けて自分を売り込まなければならなくなった。

・よって「就活」同様今は「婚活」も必要な時代になった。

・1975年あたりを境に未婚率が急激に上昇したり、見合い結婚と恋愛結婚の比重が逆転したりと、環境に大きな変化が起こっている。

・いわば「結婚自由化時代」が訪れるたのだが、「出会い」「相互選択」「結婚の決断」の各ステップで不確定要素が増大する。「出会い」のためには、その場を探し、競争しなくてはならない。また、出会うことができても、ライフスタイルが多様化した現在にあっては、男女互いの生活習慣・美学を「すり合わせる」必要がでてくる。そして、決断においても社会道徳がユルくなって、「恋愛したんだから結婚しろ」とは言われなくなったためなどの理由から、結婚へ進む要素がなくなってきている。

・「結婚自由化時代」は、競争社会であるため、勝者・敗者が生まれる。。さらには、「コミュニケーション能力」、「経済力」、「ルックス」など、恋愛における個人資産が多いものは、ますますモテ、これが少ないものはますますモテなくなっていく。。

・経済面の「格差社会化」の影響もあり、結婚したくてもお金がないので結婚できない層も増大している。

・以上のような社会状況であるため、「未婚化」「晩婚化」が、現在急速に進行しているという。


一方では、白河氏の意見は、昨今の男性を猛烈に断罪し、喝を入れている

そのうえで女性の積極性をさらに推進する考え方のようだ。
取材に基づいているとはいえ、説明に客観データがあまり出てこないため、信憑性は疑問の余地は残されているが、だいたい今の状況を大枠で捉えているとは、思う。
これから論証の精査は進むだろう。
とりあえず、現状の指摘という点では、なかなか面白かった。
問題は方策である。


・「自由市場」の到来にもかかわらず、時代の変化に意識がついていけていない層が男女ともに存在している。だから、この本を書いた。

・女子なら「自分の年収×2倍」希望層、男子なら「ルックス大重視」層が代表的。

・また、男子側で「経済力」「性的魅力」「コミュニケーション能力」に「富める」層と、「貧しき」層の2極化が激しい。
その結果「富める」男子には、どんどん女子が集中。「貧しき」男子はますますモテなくなる。

・「結婚自由化市場」の到来もあり、女子たちは自分磨きに精を出すが、男子は意識改革が進んでおらず、そうでもない。すると、「自分を磨けば磨くほどつりあう男子がいなくなる」というパラドックスが起こる。そのため「未婚化」「晩婚化」に拍車がかかってしまっている。

・昨今の男子は「ガラスのハート」。傷つくのを恐れ、自分から女子を狩りにいかず、「待ちの王子様」化している。これも「未婚化」「晩婚化」の大要因。


・従来の恋愛に加えて、「結婚相談所」「花婿学校」「ネット恋愛(SNSなど)」「親子見合い」「ゴルフ合コン」などの選択肢にも目を向ける。

・恋愛対象も「年下(逆スペック)」「過去縁(学生時代の恋愛相手)」「熟年再婚市場」まで広げる、といった対処が今後の「婚活」には必要。

・よって女子よ「狩りに出ろ」!男子よ「自分を磨け」!

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