オンライン婚活サービス戦国時代！―日本人の意識変化とマッチングアプリの普及の現状を整理してみる―

本日はバレンタインデーだ。そこで、結婚や恋愛に関わるテクノロジーとビジネスについて、今日はまとめてみたい。すなわち、マッチングアプリである。

マッチングアプリ経由で結婚した友人の結婚式で、スピーチを請け負ってから、1年近くが経った。小型株相場の一角は、すでに18年6月くらいからガタが来ていたが、その後も一部の婚活アプリ関連銘柄は局所的に活躍する場面もあった。

オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は2018年に374億円。大手事業者が提供するサービスを筆頭に高い水準で成長し、2023年には約2.3倍の852億円に拡大する見通しだ。サイバーエージェント連結子会社でマッチングサービス「タップル誕生」を運営するマッチングエージェントの調査によるため、業界筋の分析とあっては、ポジショントークの観点から、このような楽観的な予測はやや割り引いて考える必要はある。

しかし、テクノロジーが進歩した現在において、重要な手段としてすっかり定着しているのは事実だろう。デジタル・ネイティブの世代がこれから結婚適齢期を迎えることを考慮すれば、ペースは、四半期ではでこぼこはあれど、しばらく拡大基調は維持できるだろう。ただ、市場の成熟に従って、企業・サービス間で優勝劣敗は生じるとみられる。

私は恋愛を経てその恋愛が結んだ縁により無事に良い伴侶を得た。友達は長い付き合いがあるので、結婚においても安定的な関係が見込めるとの観点から決めたことだった。だが、それは多分に偶然に依拠している。

先回りして考えておきたい、結婚相手に求める条件、不安要素で述べたように、十分な時間を過ごして、相手のパーソナリティを見極めておきたいものだが、なかなか難しい面もある。一部の属性について、マッチングアプリによって入り口のところでフィットできるのは、成り行き任せよりは良いのかもしれない。また、出会いは「職場や仕事」「友人・兄弟姉妹を通じて」「学校で」の3つでだいたい7割を占めるので、それに加えて、有力な手段が台頭するのは可能性が広がることでもある。「恋愛は面倒だが結婚はしたい」というこの時代にあっては、同じく結婚を目的とした人と事を進めるのは、つまるところ話は早い。

もちろん、この種のアプリを悪用しようとする不届きな輩も中にはいるだろう。アプリを使うのは人間だからだ。但し、インターネット婚活マッチングサービス事業7社はユーザーが安心・安全に利用できるサービス環境を目指し、自主規制ガイドライン「ＭＳＰＪ 7つの約束」を策定するなど、改善には努めているようだ。とはいえ、最終的に相手を見極めるのはあなた自身の審美眼や勘、思慮にかかっている。

リクルートブライダル総研「婚活実態調査2018」によると、婚活サービスを利用して結婚した人の割合は2015年は8.3%、2016年は11.3%、2017年は10.4%と2年連続で二桁超えとなった。うち、婚活・恋活サイト・アプリの比率は3.4%、4.6%、5.0%と年々上昇している。また、婚活サービス利用者に限ると、結婚できた人の割合は27.6%、39.4%、38.1%と2年連続で4割近い水準となっている。

さて、結婚に関する日本人の意識変化とマッチングアプリの普及の現状について、ここまでまとめてきた。ここからはマッチングアプリ・サービスを提供する企業について整理していこう。株式投資と結婚は似ている。投資をしないと（＝結婚をしないと）その結果はわからない。様々な事前の見込みがその通りにいくとは限らないし、何よりリスクを取らねばリターンはない。そして、どちらも自己責任だ。したがって、始めるにしても、何があるかくらいは知ってから、始めよう。（なお、本稿では特定のサービスや株式投資を推奨するものではない。上記の通り、自己責任だからだ。あくまで参考情報としてお読みいただきたい。）

日本における業界最大手は、サイバーエージェント（4751）が提供する「タップル誕生」。マッチングアプリとして消費支出金額ベースで国内最大であり、非ゲームアプリのなかでも4位となっている。
14年5月に提供開始、18年5月に累計会員数350万人突破とユーザーベースも大きい。趣味でつながる恋活サービスを標榜し、20－24歳の若い世代が利用者の半数を占める点が特徴だ。

サイバーエージェントは他にも「CROSS ME」（2016年8月提供開始　位置情報を利用したすれ違いきっかけにするサービス）、「mimi」（2016年12月提供開始　顔認証システムを活用して好みのタイプを探す）、「トルテ」（2017年8月提供開始　女性からのアクションで始まる恋活サービス）など、個性を持ったサービスを提供しているようだ。

「タップル誕生」は、サイバーエージェントの収益柱として、インターネット広告、ゲーム事業に次ぐ規模だ。しかし、AbemaTVへの先行投資が膨らんで、全社の利益が伸び悩む局面を迎えている。19/9期の業績見通しは、第1四半期時点でいきなりの下方修正と、失望を呼んだ。コストや投資のコントロールの変化や収益の回復を見極める局面か。

その他にもマッチングアプリを提供する企業はしのぎを削っており、まさに戦国時代の様相だ。IBJ社の決算資料によると、アプリの個性をマトリクス図にした場合、以下のようになる。必ずしも婚活を目的にしたものだけでなく、その前段階をサポートしようとするほうが、アプリの種類は多いようだ。その他の事業者についても簡単に述べてみよう。

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ネットマーケティング（6175）は、Facebook連動型マッチングサービス「Omiai」を展開していたが、18/4/25から全ネットユーザーへ拡大対応。18/3末に累計会員数は294万人に達している。うち有料会員数は約64500人（18年9月末）だ。

パートナーエージェント（6181）はその名の通り、専任のコンシェルジュが婚活を支援するサービスを行う「パートナーエージェント」事業を展開する。また、ファスト婚活事業として、婚活パーティ「OTOCON」も手がける。

リンクバル（6046）は「街コンジャパン」がなんといっても有名だ。また、恋活マッチングアプリ「Couplink」と連動するなどデジタル化を推進している。

IBJ（6071）は日本結婚相談所連盟の会員向けアプリ「IBJお見合いシステム」など、婚活サイト、お見合い・婚活パーティー、合コン、結婚相談所などを運営する。成婚にこだわった婚活サービスに定評がある。約60万組のうちIBJが創出する成婚数は約6000組と、約1%を創出。中期経営計画は3%を目標としている。

株式会社エウレカ（非上場）は恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」を運営するほか、カップル向けコミュニケーションアプリ「Couples」、デーティングアプリ「Qoon」なども展開している。

また、やや変わったところではオタク婚活のアエルラというのがあった。昔お付き合いしていた人に「君のせいで婚期を逃した」と言われたので、どうしたものか困って、最近はこんなのもあると紹介したことがあった。現在、ナゲット社は婚活パーティー事業アエルラを無期限休業し、関連サービスであるネット婚活事業「アエルネ」に注力しているようだ。

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海外では、フェイスブックに加えて、マッチ・グループの台頭が著しい。「ティンダー」などを傘下に持つマッチ・グループの株価は、フェイスブックが独自サービスの展開により株価も脅かされる場面があった。しかし、マッチ・グループの売上高の約95％は広告ではなく会費が占めており、フェイスブックは広告収入に依存しているばかりかユーザーのデータ流出の問題を引き起こしたこともあり、マッチ・グループの地位は揺るがなかったようだ。

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また、18年の8/31付フィナンシャル・タイムズ紙によると、欧米で展開されている同性愛者向けマッチングアプリ「グラインダー」は株式を新規上場する計画だ。マス向けは、業界でも淘汰が進むと見られるなか、多様化するニーズに応え特定の顧客層をがっしり掴むアプリは生き残るだろう。

株式投資に使うのは自分自身の労力と判断、お金だが、マッチングアプリに賭けるチップは自分自身そのものだ。そこには当然、時間、労力、お金なども含まれる。テクノロジーは素晴らしいが、慎重さも求められるだろう。それは手段の一つでしかない。何をどう使うかは、結局使う人間次第だ。身も蓋もない言い方をすれば、良縁は結局のところ、運に依存する。だが、マッチングアプリはそれをちょっぴりだけ手助けしてくれるのかもしれない。