馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

今週(2012.41)と最近のジャンプ感想 【新連載「烈!!! 伊達先パイ」】

4月に大阪に来て以来、漫画に飢えている。真面目な本だけを持ってきてしまい部屋に漫画が1冊も存在しない状況にそろそろ耐えられなくなってきたので、、3週ほど前からジャンプを久々に買うようになった。ちょうど、大学のサークル時代の先輩が以前に読み切りを掲載したのだが、なんと今度は連載になってしまった。驚天動地だ。この錚々たる連載陣の一角を占めるなど、そんな栄誉を得ることのできた漫画家はほんの一握りでしかない。まして、見知った人がというのは、そうあることではない。抱いた夢はいつも、、投げ捨てるか、諦めてきた人間にとっては眩しく見える限り。

さて、以下感想をだらだら書き連ねていきます。

家庭教師ヒットマンREBORN!

400話&40巻とは。自嘲気味に「今はりぼんよりリボーンなのさ」という冗談を言っていた頃、いや、リボーンがギャグ漫画だった頃、そして私の中学時代はもう遠い昔なのか。先述の言葉は、少女漫画を何ら話題にすらあげない少女漫画研究会に対する駄洒落兼揶揄だったけど、別にリボーンも嫌いなわけじゃない。むしろ現連載陣の中では好きな部類に入る。たしかに設定やら能力バトルがややこしい面もあるけれども、登場人物同士の関係や、週刊連載とは思えぬ絵の描き込みといった美点があるのでけっこう好き。腐女子向けと巷間言われるが、その実虚心坦懐に読むならば、むしろ「魁!!男塾」の系譜を引く、ジャンプの正統派バトル漫画だと、個人的には高く評価している。

にしても、イェーガーさん、強すぎぃ!強いとはいっても、ショートワープと手刀という、能力バトル的にはある意味ものすごく地味なのになんだか戦闘シーンが面白いぞ。そして天野先生の画力ぱねえっす!デ・パルマタッチで刹那の動きを残像のように描いていて、描線もまた芸が細かい。

ダイの大冒険がなんとなくフラッシュバックするのはなぜだろう。ラーハルトの動き+カラミティエンドみたいな。
居並ぶ超豪華メンバーを圧倒し次々に倒していくさまは、大魔王バーンの天地魔闘の構えの一幕を想起させる。XANXUSの右腕をバッサリ、スクアーロを正面から貫き、白蘭を背後からグサリ、ディーノに斬撃一閃。ヴェルデは見せ場を作れたのは良かったけど、両腕を切断されるモスカにジェットイカロスを思い出した。おいおいマジでどうすんだよ状態に颯爽と駆けつけたツナに、歴代ジャンプの主人公たちの姿がコマの奥に一瞬見えたのは私だけではあるまい。
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BLEACH
「卍解させてはならぬという情報(ダーテン)は来ていた 。奴の卍解は星章化(メダライズ)できぬ。何故やつは完聖体(フォルシュテンディッヒ)となりあの化物までも吸収したこの私をこうも易々と凌駕してくる!?静血装(ブルートヴェーネ)を常に全開にしていなければあの斬撃速度には対応できん!だが静血装を全開にしている状態では動血装(ブルートアルテリエ)に回す事ができん!」

何を言ってるんだwくそっ、なぜか笑いがこみ上げてしまうw
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そんなこんなで、白哉まさかの死亡に、剣八は戦闘シーンが一コマもなしに敗北という衝撃展開の中、囚われの身となった主人公をさしおき、山本総隊長無双!!3週連続で迫力のドアップが普通にかっこいいぞ。

それにしても久保先生の描き込み具合がすごい。大ゴマ乱用でもこんだけ描き込んでくれたら大満足だ。
絵がたとえどれだけ大味でも、その味だけで十分納得がいってしまうところが久保先生のいいところ。ド迫力!
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トリコ

なんかベルセルクみたいなことになっててびっくりした。それはともかく四天王ェ……

暗殺教室

カラー扉が実に素晴らしい。まるで昔のりぼん作家の扉絵のようだ。この色調は、色鉛筆?クレヨン?アナログの良さだねぇ……と思った矢先、アオリ文が「日本よ!これが触手だ!史上最強学園触手漫画、ついに10話目!」

ベルセルクの「なんと!村人は皆触手!」に匹敵するインパクト。また、ベルセルクを引き合いに出すのかと思うかもしれないが、早稲田大学少女漫画研究会の部室の棚で最初に目につくのは、ベルセルクなのだから……仕方ないね。

斉木楠雄のΨ難

ありとあらゆる超能力を持つことでどのような不便があるか、それを描くだけで面白い。そこが一貫していて良い。それでいて、銀魂やスケダンのように、ジャンプをメタ視点でネタにした小ネタをちょいちょい入れてくるのも好き。

銀魂

将軍が絡んでる話は大抵面白いけど、まさか桂との絡みで面白さ倍増とは……今週の銀魂はすごく濃厚だった、もはや言葉では言い表せられないまでに。

SKET DANCE

文字通り体を張るボッスン、誰かを助けるとき、ジャンプ漫画の主人公のようにかっこ良くないところが好きだ。スケット団結成の瞬間は一体どうだったのか、次回が気になる。

ニセコイ

まさかダブルアーツ描いてた人がラブコメに転向するとはな…しかも、80年代りぼんのようなベタベタなやつ!(だがそれがいい)今のりぼんに欠けているのはこういう漫画だよなぁと、半分冗談、半分本気で思う。

小野寺の出番が最近増えてるので嬉しい。この種の"絶対に主人公とはくっつくことはないけど魅力的なもう一人のヒロイン"ポジションのキャラっていいよね。
絵柄については、黒髪キャラの髪ツヤをちゃんと描く作家はたいてい自分好みです。吉住渉先生とか矢吹健太朗先生等々(なぜ例にこの2人を選んだ)。

「烈!!! 伊達先パイ」 表紙&巻頭カラー32P

653565051もちろん、サークルの先輩なのだから、拝読した以上、作品に賛辞を送り、作者にエールを送り、編集部にアンケートを送りと、本来なら筋を通さなければならないところなのだが、……しかし、小2以来ジャンプの立ち読みを続けてきた私は、漫画を愛する者として、社交辞令は一切抜きで、あえて申し上げたい。結論から言うと、残念ながら以前のジャンプNEXTやジャンプ本誌の読み切りのほうが面白かったと言わざるをえない。初見の人の印象がどうなのかわかりませんが、読み切りを先読んでるとどうにもノリと勢いとネタがこぢんまりとしているように感じられるのです。

私見ですが、先輩の漫画の持ち味は会誌の頃から、一言で言うと"はっちゃけてるところ"だと思っていおりました。今回は、話の枠組みは確かにまとまっていても、その一方でギャグの個別のネタも、絵の勢いも、読み切りと比べると、中途半端で元気が無いように見受けられた。仕事をしながら限られた時間の制約の中で、担当さんと喧々諤々の議論の末、連載初回で練りに練って慎重に色々考えてネームを描いたのだと拝察するけれども、その結果、自重が行きすぎて持ち味が生きないのでは実にもったいない。もっと思い切った表現やネタを盛り込んでいいはず。今まで幸いにもジャンプに連載することができた漫画家たちが、はたして"何作品"ジャンプに連載を行うことができたか考えるなら、ちょっとくらいはっちゃけたってハッチャケブッチャケノーノープロブレムですよ!

ギャグ漫画のライバルである「斉木楠雄のΨ難」と「暗殺教室」は持ち味とスタイルを表現できている。伊達先パイもポテンシャルは秘めているとも感じます。もちろんバクマンの作中で描かれているように、あらゆることをしっかり考えて描くのもプロとしての正しい姿勢かもしれませんが、いっそのことラオウのごとく「わが連載に一片の悔いなし!」と言えるくらいに好き勝手やってもいいんじゃないかと思うのです。本来の勢いが2話以降戻ってくることを期待しております。

絵の一枚も描けず、夢の一つも叶えたこともない人間がこのように物申すのは、まったくもって恐縮のいたりではありますが、一介の漫画好きとしてあえて素直な気持ちを申し上げたまでです。全国250万のジャンプ読者、面白い漫画は絶対に評価する目はあるはずです。(巷間言われるアンケート至上主義がどの程度適切かはさておいて)。ジャンプ愛読者として、ジャンプに欠かせない連載作品になることを切に祈っております。

p.s.カラーイラストの兜の色味は金属って感じでとても良かったと思います。