馬車郎の私邸

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雪丸もえ「ひよ恋」 第1巻、集英社

cover (5)_SS500__SS500_光っている男は表紙にしたい!……じゃなかった、光っている新人は表紙にしたい!
というわけで、2号連続で表紙になった雪丸もえ先生。りぼんの王道を感じさせる良い表紙です。うん、これだよこれ。

近頃のりぼんの表紙事情ですが、2号連続も種村先生や松本先生が何度かやってます。昔は主力5、6人がローテーションを組んでましたよね。一例を挙げるなら、吉住→小花→椎名→高須賀→種村みたいな感じで。なんだか野球のローテーションに似てますね。斎藤雅→桑田→槙原→ガルベス→宮本とかねf^^;

「夢色パティシエール」や「MOMO」が表紙だとちゃおやなかよしっぽいし、種村先生は種村先生だし、槙先生は派手で、藤原先生は表紙に複数人物を描くので、相対的に昔のりぼんの表紙に近いのは春田なな先生かな?

その春田先生も、今の連載から色のつけ方をかなり変えたので、雪丸もえ先生の表紙を見てなんだかとても懐かしい気分になりました。
色が濃く派手な表紙が多い中で、昔のりぼんを思い出す表紙。
普通に見えるかもしれませんが、その普通がいいんです。
201003202228000020100320222900002010032022290001201003202230000020100320223100002010032022320000201003202232000120100320223300002010032022340000そして雪丸先生の作風は、少女マンガらしい少女マンガであり、「学校を舞台にした恋愛もの」だ。1年前のりぼん感想に書いたとおり、最近のりぼんの陣容には、男女の恋愛がメインで描かれるマンガが少ないのです。「ちゃお」「なかよし」と、「りぼん」の違いはファンタジー要素のある作品の多寡でしたが、近頃はそうもいえない。

今のりぼんはファンタジー要素のある作品(「夢色パティシエール」「桜姫華伝」など)が多く、学校が出てきても特殊なギミックが設定されている場合(「MOMO」「Kiss meホスト組」「ハートのダイヤ」など)が多々ある。特異な設定が存在しないのは春田先生の「スターダスト・ウィンク」くらいか。

大魔王もいないし、ホスト組はないし、世界中の男から心と体を狙われることも無い普通の学校(笑)
そう、学校を舞台に恋物語を展開する、王道少女マンガ。
それが雪丸先生の「ひよ恋」です。
第1話 試し読み

3回連載の「アイからはじまる」のあとに「ひよ恋」は始まって、今や連載5回。増刊号には面白い作品を描く人が実はたくさんいるので、誰が頭角を現すか楽しみにしていました。その中できっちりチャンスをものにして、雪丸先生は新しい風を吹き込んでくれました。

簡単にあらすじを紹介したいと思います:
高校入学早々に交通事故にあった主人公、西山ひよりは、12月になってやっと学校に通えることになった。
不安な初登校。となりの席の広瀬結心(ゆうしん)はなんと慎重190cm。対してひよりは140cm。
ひよりはひよこに似ていると笑われてしまう。
しかし50cm差だけれども、明るく快活な結心のおかげで、内気なひよりはクラスになじんでいく。
卵から生まれたてのひよこのような、ひよりの恋が始まった…


と、身長差以外は、特に奇矯な設定はありませんが、それでも実に読ませるいい作品になっています。トーンを多用する人が多いなか、込由野先生同様、白と黒とトーンのバランスが良く読みやすい絵柄。人物の表情も様々な場面で、豊かに変わり、気持ちが伝わってきます。右の画像の通り、特にひよりは、愛くるしさがあふれんばかりです^^

また、学校生活が描けていて、この点が逆に新鮮です。前述の通り、最近のりぼんには学校が出てこないですから(極端な例だが、種村先生の「紳士同盟+」には記憶にある限り、1回も授業風景が出てこなかった)。三谷美代子先生が、毎回小言を色々言ってるのが面白いです。日常性をしっかり節々に入れてあるので、自然さがあるのもいい。

ひよりの心情が出来事や人物を通して変わっていく様は、慈しむ対象として不足なし。友人の助力を得ながらも、内気な心や自分の嫌なところと戦い、自分の見えている世界を変えて、近づくための一歩を踏み出したとき、その背中をポンと押してあげたくなるような――作中の人物だけではなく、読者だって応援したくなるんです。そんなひよりのひよ恋と雪丸先生の「ひよ恋」の行く末をこれからも暖かく見守ろうと思います。

懐かしい少女漫画の世界がここにある。



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