ブルータス、お前もか！　高須賀由枝「グッドモーニング・キス」クッキー本誌掲載第1回　感想

高須賀由枝「グッドモーニング・キス」第3巻感想

クッキー本誌についにお引越しです。
この作品、1997年9月号から2002年4月号まで「りぼん」に連載された「グッドモーニング・コール」の続編です。
「りぼん」がまだ100万部以上を売れていたころの主要作品の一つで、コミックスは500万部のベストセラー。
まさしく我々の世代にとっては、昔読んでいた懐かしいマンガです。
能天気でのほほんとした菜緒と、頑張り屋の上原君の同居生活の日常を描いたこの作品は毎号楽しみにしていました。

2009020813460000

クッキーボックスで「グッドモーニング・キス」として、続編が開始されたとき、菜緒や上原くんも大学生になっており、いつしか私たちの年齢も追いついていました。

そして迎えた大学3年生の冬、ついに本誌にお引越しとなった「グッドモーニング・キス」本誌掲載第1回のお話は…
就職活動についてでした。

「ブルータス、お前もか！」

菜緒たちも大学3年、就活です。
そして、この未曾有の経済危機のさなかです。
沈み込むのも無理はありません。
私たちとてそうです。
ビジネス書や新聞に雑誌を読めば読むほど鬱になります。

しかし、本誌掲載の第1回目、扉絵の次がこんなでは、悲しいです。
そうか、君たちも…

阿部っちも、まりなも、お気楽な菜緒でさえも沈み込んでます。
特に、新キャラの太田さんの台詞が生々しいです。
「どこでもいい…
なんでもいい…
正社員になりたい…」

思えば、今週の週刊ダイヤモンドの表紙のアオリ文句は「正社員vsハケン」でした。
東洋経済も「雇用壊滅！」とショッキングな一言メッセージ。
このごろの両誌は、過激なアオリ文句が目立ちます。
最近2ヶ月だけでも、「金融・証券氷結！」「自動車全滅」「百貨店・スーパー総崩れ」「新興市場の断末魔」等、見ただけで暗澹となるような文句の数々です。
近頃の、行動経済学への関心の高まりも、厳しい現実という心理的要因の前には無力であるかのように思えます。
「経済は感情で動く」という題名の本のとおりです。、
これでは、大前研一が個人金融資産1500兆円を使えと言っても、誰も使う気がしないでしょう。
まして、定額給付金を配ることが景気を刺激する役割を果たすとは思えません。

今週のダイヤモンド誌によれば、大卒男性正社員の生涯賃金は2億7千万との試算があります。
一方で、生涯派遣社員だと9000万だそうです。
産業構造全体についてあれこれと言うつもりはありませんが、単純に正社員とそれ以外にはこれだけの差があると言うことです。
しかも、正社員だからといって安泰でもなく…
と、これ以上、論を深めたならば、限りない闇へと進んでいくのです。

というわけで、太田さんの「どこでもいい…なんでもいい…正社員になりたい…」の台詞は、まさに就職活動中である我々の学年の代弁者といえるでしょう。
菜緒がエントリーシートを書いてますが、まあ自分もこんな感じですＦ＾＾；
今のところ書類選考に通ってるのが分かってるのは一番早かったGoogleだけ。
他はまだ不明です。
で、今書いてる中で、明日提出の集英社が妙に手ごわい難敵。
他の企業とは毛色が違い、分量が多く、ユニークな質問を浴びせてくる集英社のエントリーシートの前に、頭を抱えて悩むばかりです。
早朝書き進めるも、アイディアが思い浮かばないので、気分転換に大前研一の本を2冊読んだのですが、当然気分転換になるような内容ではなく、クッキー3月号を手にとってみると就活で、今週のダイヤモンドの特集を読むとなんとしても正社員にならねばと思い、内定を取るためにはエントリーシートを書いて…いや、そもそも自分は集英社を受けるべきなのか…
という思考のサイクルなのですＦ＾＾；

ともあれ、私たちの世代が昔読んだ漫画の主人公たちが、自分たちと同じ悩みや困難を抱えている様子を見るのは、なんとも言えない哀惜の念にかられる他ないのです。
本当は楽しいマンガなんですよ＾＾
ああ世知辛い…
エントリーシートを書かねば…
だが、写真を使って自分の強みを表現するなんてどうしたらいいんだ！
ぬぁぁぁっ！

槙ようこ新連載「勝利の悪魔」　りぼん2009年3月号感想その１
種村有菜「桜姫華伝」第3回　　りぼん2009年3月号感想その2
春田なな「スターダスト☆ウィンク」第２話　りぼん2009年3月号感想その3
お雛様と今昔　りぼん2009年3月号感想その４
りぼん2009年3月号感想その5