ときめきメモリアル26周年を迎えたこの日に聞きたい曲をご紹介しよう。「風がかわるたび(金月真美as藤崎詩織)」は、爽やかさと切なさが同居した名曲だ。過ぎし日の青春に思いを馳せるにはピッタリと言えよう。
1999年4月2日に発売された3枚目のアルバム『風の扉』に収録されている。ドラマシリーズ第3段のエンディングの一つ「幸せのイメージ」ほか、レベッカの「フレンズ」のカバー、サンプラザ中野が作詞を手掛ける「もう一度キスしよう」などが収録されている。CDアルバムと言う文化が退潮して久しいが、これらの楽曲を差し置いてアルバム『風の扉』の先頭に、切り込み隊長として配備されている。制作陣の自信のほどが伺い知れよう。
曲の紹介に移ろう。「風がかわるたび」はロック・ボサノバからクラシック・邦楽まで多岐にわたる楽曲を手掛ける上畑正和氏を作曲に迎え、編曲は安定の岩崎元是氏。風が吹きすさぶかのような、爽やかながらもどことなく憂いも秘めた曲調は、藤崎詩織のイメージにふさわしい気品を備えていると言えよう。バックコーラスやドラムス、装飾音の類も細やかな活躍がキラリと光る。
作詞はなんと、金月真美さん自らが手掛けている。1番の歌詞を書き起こしてみよう。
あいたいときには目を閉じ 胸のアルバム開く
モノクロームの時が鮮やかに輝く
桜の季節の出会いは ちょっぴりぎこちなくて
挨拶する そんなことでさえ震えた
風か変わるたびに ひとつわかり合って
生まれ始めた 暖かくてかけがえの無い気持ちが
思い出をふり返りながら様々な感情に向き合う歌詞は、集大成ともいうべき時期のキャラソンアルバムの楽曲にふさわしい。「風がかわるたびに、変わるものも、変わらないものもある」のはまさに普遍的な心情で、対象を当該コンテンツの関連以外に置き換えても成り立つ。CD版はあえて単調に歌うところがかえって感情を押さえつつという感じが出ていてよい。スーパーライブの生歌は、金月真美さんのお得意のビブラートを十二分に堪能できる点も魅力だ。
最後になるが、コナミはときメモ26周年の日に風向きをかえるべきだ。2018年末に「5」開発・販売を検討すべきと書いたが1年半が経ってしまった。コロナ禍がスポーツとアミューズメントの両事業を直撃するなか、「ラブプラスEVERY」は1年持たずサービス終了となった。ホームランではなく、堅実なセンター前ヒットを狙い、今こそナンバリングタイトルの続編を、業績回復の号砲にして欲しいところだ。