「鬼滅の刃」劇場版を見に行ったので、新ブログで先日呼吸に関する本を紹介した。呼吸をマスターしている職業の例として挙げられるのは、なんといっても声優であると言えよう。
実は初めてライブに行ったのは、菊池志穂さんのバースデイライブだった。30本以上はあろうバースデーケーキのローソクを一瞬で吹き消して見せた様子に、声優さんってすごいんだなと、とても驚いた覚えがある。その後大学生の時に声優養成所に通った経験は人生を変えるうえで役立った（通ったのは菊池志穂さんも出身の日ナレだった）。
さて、菊池志穂さんの伸びやかな歌声を特に堪能できるのは、今日ご紹介する「青になれ！」だ。「青になれ！」は『ボーカル・ベスト・コレクション5』に収録され、アルバム「My Sweet Days」では曲順の先頭に配され、切り込み隊長を務めた。
「青になれ！」も安定の布陣である。歌詞を順に見ていこう。
作詞：くまのきよみ、作曲：宮島律子、編曲：岩崎元是
Guitar：松原正樹、Sax：平原智、Chorus：広谷順子，木戸やすひろ，岩崎元是、Synthesizer：岩崎元是
ひろがる砂浜を 走れば右手のコーク揺れる
あふれちゃうよ わき上がる波しぶきに 負けない速さで
大胆な水着にドキドキッ！視線 気にしたけど
忘れちゃうね 熱すぎる 今年の夏 始まるのよ（始まってる）
空と海と夏の青を抱きしめて
身体中を すベて染めてしまえ
きっとそれはひとときだけの楽園
でも 心に色は残るよ
突然のスコール それさえうれしいハプニング
はしゃいじゃって 飛び込んだ
だって海も 手招きする（呼んでいるよ）
空と海とあなたの事つかまえて
ぜんぶぜんぶ 青に染めてしまえ
きっとそれはひとときだけの楽園
でも かすかな色を残すよ
濡れた髪のせいね あなたいつもと違う
そんな笑顔みせないで
なにもかも 許されてしまうわ
空と海とわたしの事抱きしめて
ぜんぶぜんぶ 青に染めて欲しい
気づけばもう 過ぎ去ってる南風
だから早く ほら青になれ
空と海とわたしの事抱きしめて
ぜんぶぜんぶ 青に染めて欲しい
気づけばもう 過ぎ去ってる南風
だから早く ほら青になれ
ご覧のとおり、往年の80年代のアイドルソングを彷彿とさせるようなコテコテの夏ソングである。曲調と歌声はとにかく爽快感がある。勢いがある。突き抜けていく。「空・海・青」という抽象的なコンセプトを突き詰めて純化した趣きが、「青になれ！」にはある。歌それ自体を楽しむだけではなく、あなたの夏の思い出を重ね合わせてみてもいいいだろう。
海には憧れがあった。海のない県で育ったからだ（河川面積は約4%なのだが…）。九十九里浜にバイト仲間と行った青春時代を思い出す。2番のサビの歌詞のように、空と海と一緒に危うく後輩につかまえられそうになったのだ。
だが、「きっとそれはひとときだけの楽園 でも かすかな色を残すよ」という顛末に、まさしくなった。日常に帰った。そうだ、大サビ歌詞後半が警告するように「気づけばもう過ぎ去ってる南風」で、「だから早くほら青になれ」と言っていたじゃないか。勢いや成り行きに任せたほうが人生はもっと楽しいのかもしれない。だが、心に色を残す青春の一幕にはなった。何にせよ、皆さんには早く青になっていただきたい。
さて、「青になれ！」の魅力は、突き抜けるような 空・海・青への没入感だ。カッコいいサックスのイントロから始まる「青になれ！」は、菊池志穂さんの透明感・清涼感ある歌声が実に映えるメロディーだ。随所で入るバックコーラスも、爽やかな夏風のように耳に心地よい。大サビ前のサックスも実に伸びやかで、アウトロもギターと組み合わさって余韻がある。
この曲は特に、ライブバージョンもぜひ聴いてみてほしい（1997年3月16日渋谷公会堂にて行われたKONAMI ALL STAR FESTA97より）。青い海の空の向こうへと突き抜けていく菊池志穂さんの歌声が堪能できるから。
