馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

プロレスとサッカーを融合した韓国式ハイブリッド悪質プレーについて

去年の今頃は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦、浦和レッズと済州ユナイテッド(韓国)の第2戦で後頭部へのバックハンド式のランニングエルボーバットが炸裂するという前代未聞の珍事があった。驚くべきことに、下手人のペク・ドンギュ選手は控えメンバーでありながらピッチに乱入し、たっぷりと助走をつけた上で、往年の三沢光晴ばりのエルボーを人間の急所である首に一撃したのである。そのうえ、被害者は阿部勇樹選手は当事者どころかもみ合いを仲裁に入ったのにこのような仕打ちを受けるのだからもはや言葉もない。

さらに信じられないことに、試合終了後には済州の選手だけでなくスタッフまでが浦和レッズの選手やスタッフに襲い掛かり、大混乱の状況に陥った。槙野智章選手をターゲットに追い回すクォン・ハンジン選手は、間に入った浦和スタッフに飛び膝蹴りを食らわせ、試合終了後にも関わらずレッドカードを提示されている。プレーの流れで不可抗力で起きたことではなく、純粋に自制心の無さが現れているだけであり、イギリス、イタリア、スイス、中国などの各国のメディアはおぞましい蛮行に恐れ慄いた。

たしかに(飛び)膝蹴りは、体格差に関係がないのでプロレスにおいて有効な手段だ。プロレスリング・ノアでは、丸藤正道、杉浦貴、原田大輔といった選手が愛用しており、全日本プロレスでは秋山準、宮原健斗、新日本プロレスではケニー・オメガ、飯伏幸太、WWEに行った中邑真輔など多数の選手がバリエーションは違えど、膝蹴りの使い手として挙げられよう。フィニッシャーに使う選手もいれば、フィニッシャーにつなげる重要な技として流れを取り戻すために使う選手もいる。何にせよ、膝蹴りはとても危険な技だ。そして、それはサッカーではなくプロレスの話だ。

本邦でも日大の悪質タックル問題が話題になったが、このような蛮行をしておきながらも、選手、チームがサッカーを続けており、韓国代表がワールドカップに出場することも咎められてはいない。14日からロシアワールドカップが開催されているが、韓国代表は、18日に行われたロシア・ワールドカップ グループF初戦のスウェーデン戦を0-1で落としたもようだ。

しかし、そこでも露骨なラフプレー、というよりも故意の暴力は行われていた。第1に、サッカーボールキックである。人間はサッカーボールではないのだが、プロレスにおいては人間をサッカーボールに見立てて、思い切り背中を蹴る技をサッカーボールキックという。古くは川田利明など、様々な選手が攻防のなかで使うことがある。総合格闘技のPRIDEではたしか禁止技だったはずだ。そして、それはサッカーではなくプロレスや総合格闘技の話だ。



第2に、スライディングタックルだ。正面からのスライディングタックルはボールを狙う限りにおいては反則ではない。小学生の頃、サッカーチームで守りの要であるセンターバックを務めていた私は、よく愛用していた。しかし、これは横や後ろからやったら反則だし、直接相手の足に食らわせてはいけない。しかも、この選手のプレイを見ると、むしろ両足で相手の足を挟んでいるので「カニばさみ」という技だ。

カニばさみというと、使い手としてはまず小川良成が思い浮かぶ。タッグマッチで小川良成がカニばさみで相手を倒し、うつ伏せになった相手に、すかさず三沢光晴が走り込んでジャンピングエルボードロップを決める連携は惚れ惚れするほどに美しい。また、柔道においてはカニばさみは禁止技である。そして、私が述べていることはサッカーではなく、プロレスや柔道の技のことなのである。



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