馬車郎の私邸

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ここが「ニセコイ」の正念場-「お前今 小野寺と桐崎さん、どっちが好きなんだ?」-

「お前今 小野寺と桐崎さん、どっちが好きなんだ?」
ジャンプで連載中の「ニセコイ」は妻とともに毎週楽しみにしているラブコメだ。
先述の友人から主人公への問いは、蓋しこの作品において本質的な問いである。作者の「見えざる手」によって、主人公が誰と結ばれるかがラブコメ作品の結末だからである。以下のあらすじのとおり、ラブコメの宿命によりマンネリ防止のために、「ニセコイ」は主人公を好きな新たな登場人物を増やしてきた。

<ニセコイ ~あらすじ~>
10年前、一条楽は一人の少女と出会う。短い時間だったが、2人の間には幼いながらも愛情のようなものが芽生えていた。そして少女との別れの時、彼女は「ザクシャ イン ラブ Zawsze in love」(愛を永遠に)の言葉と共に彼に錠を渡す。彼女は言う。「いつか私達が大きくなって再会したらこの『鍵』でその中の物を取り出すから、そしたら――結婚しよう」と。

錠が開かないまま時が過ぎて10年後、高校生になった楽は転校生の少女・桐崎千棘と出会う。最悪な出会いの後、親のいいつけで「千棘と3年間、恋人同士になってもらう」ことになり、驚愕する楽。こうして2人の「ニセコイ」生活が始まった。しかし千棘との付き合いの中で「もしかしたら、彼女が『約束の女の子』なのでは?」と感じるようになるのだが、楽のクラスメート・小野寺小咲もかつて知り合った少年との間に「約束の鍵」を持っており、彼女にとっての「約束の男の子=楽」かもしれないと感じるようになる。途中からは、鍵を持つ三人目の少女・橘万里花が、さらにこれまでの三人と同じく鍵を持つ、楽の幼なじみ・奏倉羽も登場する。更に、2年生に進級すると、小咲の妹である春、誠士郎の旧友ポーラなどが加わる。

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メインヒロインの桐崎千棘と主人公:一条楽の関係は、タイトルの「ニセコイ」が本当の恋へと、すなわち「嘘から出た真」へと変化しつつある。その一方で、作中で一貫してむず痒いほどに描かれてきたのは、一条楽ともう一人のヒロインである小野寺小咲がいかに両思いであるかということだ。この作品の結末を決めるのは、ひとえに主人公:一条楽が桐崎千棘と小野寺小咲のどちらを選ぶかどうかにかかっている。

さて、ここで一条楽の返答を予想してみよう。

大方の可能性としては、
・「小野寺がずっと大好きだったけど、千棘への本当の気持ちに気づいたんだ」というパターン
これはタイトルのコンセプトをそのままなぞり、ここまで描いてきた内容どおりなので、この作品を終わらせる方向に持って行くには一番妥当である。「ベタ」で面白くないけれども、多くの人に受け入れられやすいからこそ「ベタ」は「ベタ」たりうる。それはもちろん千棘の人気を考えるなら「やむを得ない」という感じで受け入れられるだろう。しかし、作品として最も収まりの良い着地点であるので、客観的に見てこのような展開を堂々と作者がやったとしても、非難するべきではない。

・「小野寺が好きだ。そのことは今も昔も変わらない。」というパターン
ここまで断言できればたいしたもんだ。この展開が続いて、本当に小野寺と結ばれれば、メタ的な制約に対する大いなる反逆である。私を始め、全国の小野寺党は感涙にむせび泣くであろう。幸いにも、「いちご100%」において、メインヒロインの東城 綾ではなく、もう一人の西野つかさと主人公がくっついたという先例があるので、意外と反発はされない可能性すらある。何より、彼を漫画の登場人物ではなく一人の人間と考えるなら、彼にとっては元々一番望んでいた結末ではないか。とはいえ人の心は移ろいゆくものなので、今は違うのかもしれないけれども。

・「集、本当はお前のことが好きだった。」というパターン。
「君は○○のことが好きなのか?」と聞かれて、すかさず「私の好きな人はあなたです!」と私は答えたことがある。したがって、好きな人を聞いてきた相手に対してむしろあなたが好きと言ってしまう可能性が全くないとは言い切れない。しかしながら、天下のジャンプで公然とBL展開へ舵を切るのは豪胆すぎる。BLはあくまで妄想されたファンタジーであって、公式はあくまでその素材を提供するだけで十分なのだ。

・「その他のキャラを好きと言う」パターン
あえて作者が過剰な奇策に走る動機付けはないと思われるので、メタ的にはまずありえない。しかしながら、そのような展開を願い想像することはあらゆる読者に許された権利であり、私も例えば鶫誠士郎や橘万里花の幸せを祈っている。妻は、鶫に幸せになってほしいと切に願っている。

・「分からない」というパターン
これも案外にありうるだろう。というのも、4月からテレビアニメの二期が開始されるので、現状を維持しながら作品の継続を図るには無難だからである。もちろん「黒子のバスケ」のように本誌連載終了後にアニメの次の気が始まるという例外はあるものの、リメイクを除くならば、大方においてアニメの放送期間は原作の連載期間内というのが一般的だ。マンネリになったとしても、私はもう少し「ニセコイ」を長く読みたいのだ。また、近頃の一条楽のどうにも煮え切らない感じの描写を見ると、本気で悩んでおり「正直いってわからない」と集に答えたとしても展開上不自然ではない。自分自身の恋心の分からなさ加減もまた難しい問題であるから、この点をもし「ニセコイ」が上手いこと描くならば、恋愛漫画としてのクオリティを大いに高めることになるであろう。

「キスしてもいい?」→「キムチでもいい?」の悪名高き聞き違えをふまえれば、今度ばかりは「お前今 小野寺と桐崎さん、どっちが好きなんだ?」をたとえば「お前今 エクレアと焼きそばパン、どっちが好きなんだ?」と聞き違えるなどということもあるまい。
さあ、明日のジャンプが楽しみだ。
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