馬車郎の私邸

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「絶対覚醒天使ミストレス☆フォーチュン」1巻 種村有菜

作品自体の内容については、7月号の感想8月号の感想等で言及したので割愛。

とにかくハチャメチャで読んでて楽しかったです。

ただ、何のための3回連載だったか?
それを考えるとまた別のことを考えないといけない。
わざわざ第1話を、7月号に「紳士同盟+」の最終回との同時掲載という離れ業をやってのけたのだから、それに見合った意義がほしかった。

確かに、次の8月号で酒井まゆの「ロッキン★ヘブン」が終了するので、種村先生の名前がなくなるのを避けたかったのは分かる。
だが、そこまでする必要があったか?

おかげで、逆に12月号で春田先生と種村先生の名前が同時に消える事態になってしまった。
3回連載と2つの番外編が裏目に出たかっこうだ。
これではなぜ、「紳士同盟+」の最終回との同時掲載をしてまで、種村先生が欠けない号を作ろうとしたかわからない。

さらに、第一話の「紳士同盟+」の最終回との同時掲載という仕掛けをしておきながら、あえて3回の連載にしたか?ということである。
大げさなギミックを使ったのだから、普段「りぼん」を買ってない人がまた買うようになったり、興味を持った新規の読者が増えることはあったのだろう。
では、それを生かしたか?というのは疑問である。
もし、このような大仰なキャンペーンをするのであれば、長期連載になるような作品のために使うべきだったのではないだろうか。
種村有菜といえば、長期連載の作品に定評があるからだ。

とすれば、ちゃんと種村先生には1ヶ月のお休みをしっかりとってもらい、そのうえで次回作に臨んでもらうのが、妥当だったのでは?
8月号には「ロッキン★ヘブン」の最終回があったのだから、種村有菜の名前が消えるダメージは、いくらか軽減されたはずである。
9月号から酒井先生は休みなしで「MOMO」の連載を始めたのだから、この号から種村先生の新連載と同時に、ということになれば特に問題は無かっただろう。

と長々といっても、要するに全ては「りぼん」の台所事情が苦しいということに起因しているわけだ。
つまりは、種村有菜、酒井まゆ、春田ななの3人を休ませられないのだ。
90年代の「りぼん」では長期連載が終わると、3ヶ月から6ヶ月くらい、次の連載まで間があったと思う。
今と昔では、層の厚さが違いすぎる。

だから結論としては、「絶対覚醒天使ミストレス☆フォーチュン」をめぐる一連の編集部の企画は、中途半端な賭けだったし、種村有菜という資源を有効活用したとはいえない。
しかし、作品自体はそれほど悪いものではないし、肩肘張らずに愉快に読めば、それでいいのである。

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