馬車郎の私邸

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韻を踏んだ名前について

自分は好きな人と結婚した場合、自分の名前の中に、相手の名前が入るという妙なかぶり方をする事態に陥ることになる。この種の偶然な悩みは他に人にも有るようで、ある友人が、彼氏と結婚した場合に名前が「ありのありさ」になってしまうのがなんか嫌だと言っていた。苗字と名前が韻を踏んでいて、繰り返しの音が発生してしまっているのである。しかし、そうした韻律がよい響きになっている場合もあるのではないか?少し考えてみたい。

韻を踏んだ名前ということで、まず思い出したのは「ガンダム」に登場する人物である。Zガンダムに出てくるカクリコン・カクーラー中尉や、ジャマイカン・ダニンガン少佐といった名脇役の名前は一度聴いたら忘れられない。ZZのうほうにも、ラカン・ダカランとかエロ・メロエなんて奴もいた。こうした韻を踏んだ名前というのは、その響きのよさによって視聴者の記憶に残るだろう。

さて、実際の日本人で、このような韻を踏んだ名前の人物は誰がいたか、思い起こしてみたところ、2人の人物を思い出した。すなわち、麻生太郎元首相と、佐藤聡美さんである。麻生元首相は説明不用の人物だが、佐藤聡美さんについてはご存じない方もおられるかと思う。この方は、私の贔屓の声優であり、技巧に優れた実力派だ。以前ご紹介したとおりだ。ちなみに佐藤聡美さんのラジオ番組は「ラジオ☆聡美はっけん伝!」といい、南総里見八犬伝と掛けているのも面白い。エクセルの単純作業のときの、作業用BGMとして楽しく拝聴している。

以上、カクリコン・カクーラー、ジャマイカン・ダニンガン、ラカン・ダカラン、エロ・メロエ、麻生太郎、佐藤聡美と、韻を踏んだ名前ををあげてきた。ここで、気づくのは頭韻脚韻の両方があることだ。頭韻というのは、たとえば「ファイナル・ファンタジー」のように、頭の音をそろえること。脚韻というのは、ユリウス・カエサルの「Veni vidi vici. 」(来た、見た、勝った)のように、語尾の音をそろえることだ。今回、頭韻を踏んでいるのはカクリコン・カクーラー、エロ・メロエ、佐藤聡美の3人、それに対して脚韻を踏んでいるのがジャマイカン・ダニンガン、ラカン・ダカラン、麻生太郎ということになる。

だが、名前に使うのが頭韻と脚韻のどちらがいいかということとなると、にわかには判じがたい。サマセット・モームが文体について述べている文章で、「The statue will stand.」と「The statue will be placed.」のどちらがよいか悩んだという話があった。「The statue will stand.」だとstaの音が重なるので、モームはこれを避けて「The statue will be placed.」書いたのだが、アドバイスをくれた人は音の均衡だけではなく概念の均衡をとるべきであるということから、「The statue will stand.」がいいのだと言う。他方、我が国においても頭韻については、和歌の世界では議論になってきたという。なんとも悩ましい問題である。

結局のところ、韻を踏むことについては、個別の事例で考えていくしか無いようだ。わが子の名前が、吉田義男(阪神の名遊撃手!)だとか、岩田岩男になる可能性があるというなら、口に出して唱えて、響きがいいかどうかを夫婦で確認するのがよかろう。