馬車郎の私邸

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HIGH SCOREアニメ化と、4コマ漫画アニメ化の潮流について

書店で「HIGH SCORE」の最新刊が出ているのを見て、何気なく手に取ると帯にアニメ化とあった。今のりぼんでアニメ化しうる作品というと、「ひよ恋」か「HIGH SCORE」であろうと思っていたので、別段驚きはしなかった。また、以前から友人とりぼんのテコ入れ策について議論する際には、「HIGH SCORE」をアニメ化するのがいいだろうと言っていたのは、正直なところ「やっとか」という思いがある。とはいえ、大仰に言うなら、私は「HIGH SCORE」6ページ分のために今なおりぼんを買っているのだから、連載も16年目になろうかという、慣れ親しんできたこの作品がアニメ化するのはとてもうれしいことは間違いない。

今の時期になってこの作品がアニメ化したのは、主に2つの状況によると思える。1つ目は、アニメの放映期間の短期化と放映本数の増加に伴う、原作の大量消費の潮流である。この点については、これまで他に書いた小品でちょくちょく指摘してきたのでここであえて述べることはしない。原作の大量消費のサイクルが回り続ければ、いずれ「HIGH SCORE」にお鉢が回ってくるだろうと、安直に予期していた。

2つ目は、4コマ漫画のアニメ化が昨今定着してきたことだ。おそらく90年代までは、4コマ漫画のアニメ化の事例はなかったのではないか。聞いたことがない。しかし、最近になって4コマ漫画のアニメ化が成功している。お察しの通り、「らき☆すた」「けいおん!」「陽だまりスケッチ」「日常」の4作品である。このうち「陽だまりスケッチ」はシャフト製作だったと思うが、それ以外の3作品は、いずれも京アニが手掛けている。こうした成功事例が、「HIGH SCORE」のアニメ化の下地を整えたとみなすのは、まんざらおかしな類推ではあるまい。

さて、問題は「HIGH SCORE」が"どのように”アニメ化されるかだ。放映期間、放映枠、ターゲット層の問題である。まず原作の蓄積は10巻分あるので、長いぶんには問題はない。だが、昨今の潮流として、1クール、2クールが主流となっていることがあげられる。しかし、そのような短期間の放映ではもったいないように思える。また、原作をどのように取捨選択してアニメにするのかというシリーズ構成も重要であろう。

放映枠については、ターゲット層や製作会社などにもよるので、これも難しい問題だ。りぼんの本来的な読者層は、小学生から中学生女子である。だが、以前取り上げたように、いまやりぼんの発行部数は21万7500部でしかない。この数字は、私が小学生だった頃の公称発行部数の10分の1以下である。したがって、ターゲット層としてはいかにも少ない。そこで、「HIGH SCORE」は長寿作品であること考えると、元りぼんっ子もターゲット層に含めてよいのではないか。20代の女性は反応するだろう。

ここで、放映枠の問題が出てくる。仮に深夜枠ということになれば(昨今の潮流を考えるとこの可能性は高いのではないかとも思える)、いかに日本は録画機器が発達しているとはいえ、本来的なターゲット層にふさわしい時間帯ではないだろう。だから、おそらくは6時代の時間帯が好ましいと思う。

しかし、その一方で、製作会社が京アニやシャフトになれば、放映枠は深夜帯になるにしても、上記のターゲット層に加えて男性のアニメファンも狙える。仮に京アニが製作するとなれば「らき☆すた」「けいおん」「日常」の流れで、ある程度の成功は見込めるであろうし、「HIGH SCORE」のあのカオスさというのは、この3作品の比ではないので、案外男性ファンにも受けるのではないか。また、シャフトが製作するとしても、「陽だまりスケッチ」を作ったことによる4コマ漫画アニメ化のノウハウがあり、最近では「魔法少女まどか☆マギカ」というたいへんな名作を手掛けているので、話題性という面でも面白いだろう。とはいえ、京アニやシャフトが製作した4コマ4作品の原作は、角川書店と芳文社だから、集英社の作品である「HIGH SCORE」の製作を請け負うのは、京アニや芳文社になる可能性はあまり高いとはいえない。この点が実に惜しい。「HIGH SCORE」という作品は、世のアニメファンに知られるふさわしいと思うからだ。

そういうわけで、一体どのように「HIGH SCORE」のアニメ化がなされるのかよくわからないのであるが、なんにせよ、この機会を最大限に活用してほしいし、ただ一つ言えることは、りぼんっ子として、一アニメファンとして、今回のアニメ化はたいへん喜ばしいことであり、実に楽しみだということである。