馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

【観戦記】プロレスリング・ノア 2018/9/1丸藤正道20周年記念大会『飛翔』 #noah_ghc #飛翔

両国国技館の近くに住んでいるのに、意外にも今まで両国国技館でプロレス観戦をしたことがなかった。妻と一緒に観るためマス席をとったがとても快適。だが、それ以上に6,285人超満員の観衆のなかでの観戦とあって、最近は専ら後楽園ばかりだったので、大箱で大盛り上がりの会場というものを久々に体感させてくれたのがなんとも印象的な興行だった。そのうえ、今見てる人も、昔から見てる(た)人にも嬉しいマッチメイクで、これを実現させた丸藤選手の行動力と意志の力に脱帽である。

【第1試合】○モハメド・ヨネ、宮脇純太vs×菊地毅、百田光雄
4分45秒 キン肉バスター→片エビ固め
ヨネ、宮脇がゴング前に仕掛けてスタート。百田はこの歳で宮脇のスリーパーホールドやヨネの首四の字固めを自力で逃れていて凄い。菊地さんというと久々に見れただけで出来て嬉しい。NOAHを契約満了になってからはインディ団体からオファーが次々と殺到し八面六臂の活躍をしていたことがあったが、週刊プロレスでバラモン兄弟の汚水攻撃を飲み干したとか、菊地無双のニュースが報じられるたび、また試合を見たいと思っていた。菊地は、膝の具合は悪そうだった一方で、胸板の厚みは相変わらずでコンディションを仕上げてきたようだった。ちなみに丸藤の自伝によると、ファン時代に入場する菊地に触ろうとして、肘打ちを食らったことがあるらしい(笑)

宮脇は大舞台に萎縮せずベテランに向かっていったのが素晴らしい。ヨネはいつもどおりだが、この人がケガで欠場したところを見たことがない。無事これ名馬という言葉があるが、これがヨネの本当に凄いところなのだろう。最後はきっちり、キン肉バスターできっちり菊地さんからフォールを奪ってみせた。

【第2試合】 齋藤彰俊、×井上雅央、川畑輝鎮 vs佐野巧真&本田多聞&○越中詩郎
5分34秒ダイビング・ヒップアタック→片エビ固め
これまた往年のファンには懐かしい組み合わせ。川畑さんが、佐野のソバット、本田の回転地獄五輪、越中のヒップアタックと得意技を受け、一方、彰俊がスイクルデスを放ち、マサオワールドはほぼなしだがラリアット連発。前座の試合として程よい味付けでした。

【第3試合】
クワイエット・ストーム、×タダスケvs○大森隆男、コーディ・ホール
5分55秒アックスボンバー→片エビ固め

TMNの「Get Wild」で入場の大森、デカい!コーディと並んでもあんまり違和感がないので、びっくりした。対してストームとタダスケという対照的に背が低いが分厚い体格の二人で、試合単品としてみても面白いマッチメイク。ストームとタダスケが体格差を逆用しながら、巧みに立ち回り、そのパワーを発揮してみせたが、コーディの援護から、大森が豪快なフルネルソンバスターから、アックスボンバーで仕留めた。

【第4試合】 HAYATA、×YO‐HEY VS○近藤修司、黒潮“イケメン”二郎
9分50秒キングコングラリアット→片エビ固め
黒潮“イケメン”二郎は初見だったが、福山雅治の「HELLO」に乗って、カズ・ハヤシたっぷり賑やかしてくれた。YO-HEYとのマッチアップは絵面だけ見るとこの上なくチャラい(笑)しかし、4人共動きがしっかりしているので、意外に試合は締めるべきところが締まっていて、意外な見ごたえがあった。近藤も、大阪での石森とのGHC戦以来だが、またノアジュニアとも絡んでほしい。なんといってもHAYATA、YO‐HEY のリーグ戦2連覇コンビに勝ったのだから。

【第5試合】 Hi69、田中稔、○鈴木鼓太郎 VS大原はじめ、×熊野準、諸橋晴也
試合前に脳震盪で欠場の小川良成と、鼓太郎が握手していたのが印象的。一番の注目点は、鼓太郎と熊野。伝え聞くところによると、たしか熊野がデビュー前に、特に指導していたのは鼓太郎だったという話だ。デビュー時から心身ともにたくましくなった熊野が鼓太郎と戦うだけでも、感慨深いものがある。鼓太郎の動きは昔と同じく華麗で、見覚えも見応えも見慣れたもので懐かしいが、熊野がパワーで圧倒してみせる場面が多く、成長を実感させるものだった。鼓太郎が得意の流れから、ブルーデスティニーで3カウントを奪ったものの、シングルであればまた違った展開になったかもしれない。

と思った矢先、この美味しい獲物をプロレス巧者の大原が見逃すはずがない。すかさず「鈴木鼓太郎さん、初めまして。大原はじめです。鼓太郎さん、今日だけじゃないですよね?」とやけに丁寧にジュニアシングルリーグ戦への参戦を婉曲的に要求。鼓太郎もかつての丸藤の言葉をもじって「いいのか?俺を参加させて?今のノアジュニアは最弱だ」と発言。これには、5人がかりで袋叩きというのは必然の展開で、その後も乱闘は続き、荒ぶる5人に「お前ら落ち着けよ」。ジュニア戦線の多様性を考えると、どの組み合わせでもリーグ戦が面白くなることは間違いない。もちろんタッグも。

【第6試合】 中嶋勝彦、マサ北宮、太陽ケア×潮﨑豪、清宮海斗、KAZMA SAKAMOTO
11分33秒サイトースープレックス→エビ固め
中嶋、潮崎は全日本参戦歴があるので、太陽ケアとの関わりも多少あったのかもしれない。潮崎との戦いぶりにコンディションの良さを覗かせていた。潮崎と中嶋は相変わらず打撃戦で、両国国技館に逆水平チョップとミドルキックを爆音を轟かせ、場内を沸かせていた。翌日にGHC挑戦を控えた北宮が潮﨑、清宮をスピアーでなぎ倒し、KAZMAは延髄斬り、トラースキックなどで応戦するが、スピアーからのサイトースープレックスの前に3カウントを聞いた。

【第7試合】 拳王、×小峠篤司&マイバッハ谷口 (15:51 蒼魔刀) 高木三四郎、○HARASHIMA、男色ディーノ
異色の6人タッグマッチが実現。布袋寅泰の「スリル」に乗って、男色ディーノが国技館の男性客の唇を次々に奪い、放送席の小橋建太にまで狙いを定める!さすがにこれは小橋の豪腕の前に阻まれ、しかも逆水平チョップまで食らう。高木社長とHARASHIMAは平謝り。ちなみに、私はDDTは一度だけ見に行ったことがあるが、それは男色ディーノの王座挑戦がきっかけで、ムーンサルト3連弾に驚いた記憶がある。

注目の試合は、ロープブレイクで小峠が高木社長を革命ポージングさせたところ、高木社長が気にいいってしまい(?)、ことあるごとに自然な流れで革命ポーズが。序盤はむしろDDTの世界を小峠ワールドが飲み込んでおり、男色ディーノが小峠に男色クローを見舞うが、全く通じず、ディーノが小峠のイチモツが革命的であることをジェスチャーで示唆。

一方、ディーノはマイバッハ谷口にリップロックを仕掛けるが、これまた全く効かず。それというのも昔、丸藤のセコンドとしてディーノの前に立ちふさがったことがあり、しかも「ディーノさんの唇はマシュマロみたい」との後日の発言が波紋をよんだことがあったはずだ。つまり、耐性がある。拳王は期待通り、HARASHIMAとの蹴り合いで国技館を沸かせた。

拳王は、コーナーに設置された地獄門は辛くも逃れた一方、小峠は勝勢から得意のキルスイッチに行こうとしたところをHARASHIMAに切り返され、地獄門に激突…!続く蒼魔刀で逆転負け。NOAHの3人の対応力とDDTの3人のエンタメ力がうまく噛み合ってとても楽しい試合だった。

試合後は拳王が「客席に見覚えのあるやつがいる」と森嶋にマイクを渡す。よくわかわらないハイテンションでモリシらしいというかなんというか。決して表現は上手くないし、復帰の経緯も週刊プロレスの記事以上のことはよくわからないが、とにかく心身ともに元気そうでよかった。「おい、中栄!これを杉浦に渡せ!」となぜか本名呼びで復帰興行のTシャツを託した。復帰にあたって筋を通すべきだとかいろんな意見はあるだろうし、そうすべきだが、結論としては潮崎がそうだったように、最終的には試合でそれを表現するしかないのだろう。

【第8試合】 杉浦貴、原田大輔VS秋山準、青木篤志
30分00秒 時間切れ引き分け
この組み合わせは本当に楽しみにしており、それでいて期待以上のものだった。原田と青木のグラウンドの攻防はさすがで、思わず感嘆のため息が漏れるほど。しかし、意外にも原田が、青木よりもむしろ秋山に突っかかっていったのも印象的。異常な量のエルボーを秋山に投入し、エプロンサイドに待機してるのもかまわず攻撃を加えるので、当然ながら、鬼の秋山のエルボー、頭突き、膝蹴り、と容赦のない反撃にさらされる。

杉浦と秋山はプロレスにおけるキャリアではずいぶん違うがリアルの年齢はほぼ近く、退団の経緯もあり、当然ながら筆舌に尽くしがたい激しい攻防。二人とも随一のエルボーの使い手とあって凄まじい量のエルボーを浴びせ合う。そのうえ、ふたりともニーも使うし、スープレックスの名手なのだから、もうこれは止まらない。秋山が杉浦に串刺しランニングニーを2連発すれば、杉浦がスピアーで迎撃し、今度は杉浦が串刺しランニングニー2連発から、互いに得意なフロントネックロック。エクスプロイダーとジャーマンの打ち合いが2度、秋山が切り札のリストクラッチ式エクスプロイダー!しかし、杉浦がキックアウト。左フックで逆襲し、オリンピック予選スラムを繰り出すが、フォールを秋山が返して30分時間切れ引き分けに。

息をもつかせぬ攻防で、30分はあっという間だった。一見すると、杉浦と秋山の因縁の攻防にばかり目に行くが、原田の奮闘と青木のインサイドワークでさらに、緊張感の有る極上の一戦に仕上がった感がある。秋山が衰えていないことにも驚いたし、青木の動きもさすがで、全日本も見に行ってみたくなる。この4人が再び手合わせするような機会はまず限られるだろうし、全く無いという可能性も考えられるから、見られたことは実に貴重な機会だった。

【第9試合】丸藤正道デビュー20周年記念試合
○丸藤正道 VS×ヒデオ・イタミ(WWE)
34分12秒 ポールシフト式エメラルドフロウジョン→体固め

説明不要の実にプレミアムな一戦。序盤はゆっくりとした立ち上がりで、この二人が今一度シングルマッチを戦っているという事実を固唾をのんで見つめることそれ自体が、中終盤戦への期待感が高める。時間は経っても、互いの動きは知り尽くしており、なかなかお互いに技があ当たらない状況が続いた。

鉄柵越えケブラーダ、場外へのダイビングットスタンプというかつての大熱戦を想起させる危険な技を阻止し合い、丸藤が先に大技・不知火改を発射。虎王はヒデオ・イタミがかわして飛びつき三角締めからヘビー参戦からの切り札GAME OVERで絞り上げる。丸藤の逆水平、不知火など得意技が、ヒデオ・イタミの蹴りが交錯し、ブサイクへの膝蹴りやダイビングフットスタンプといった技も炸裂。

1発目のgo 2 sleepは丸藤が返す。側頭部への蹴り3連発…のうち、3発目に対して丸藤がカウンターで虎王!さらに串刺し式で虎王!ヒデオ・イタミ再びGAME OVERに捉え、側頭部への蹴り3連発をさらに決めて追い込み、2発目のgo 2 sleepはあたりが浅いと見て、すぐさま3発目のgo 2 sleepを放つが、丸藤はなんとフォールを返す!

丸藤が虎王とトラースキック、再び虎王、みのるとの戦いで会得した背後からの危険な顔面トラースキック、さらに腕極め式で後頭部にダメ押しの虎王!最後はポールシフト式エメラルド・フロウジョンで勝利!

ヒデオ・イタミはKENTAとして試合をしたわけではないが、WWEの間合いもNOAHでの戦い方も、上手くアジャストしながらの試合運びだった印象。現在進行系の試合をふたりとも見せてくれたのだという実感が唯一無二の試合の形成につながった。この日の試合の数々が、それぞれの歩んできた道が交わった交差点であり、それぞれが歩んでいく明日への道になる。多くを語るつもりはありません。素晴らしい興行だった。
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