馬車郎の私邸

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【観戦記】プロレスリング・ノア「DESTINY2015」12月23日(祝・水)大田区総合体育館大会

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【ライブレポ】プチミレディ(竹達彩奈・悠木碧) 2nd LIVE2015.120.06有明コロシアムに行ってきました。

我が世の春を謳歌する新日本プロレス。きっと明日の1・4東京ドームもいい大会になるだろう。(支店長も1・4を毎年見に行くそうだから明日の大発会は定時の17:10で終わることを期待したい。ダークマッチのバトルロイヤルで永田さんの白目は見られないだろうけど……)

その一方で、プロレスリング・ノアは苦境のまっただ中。10年前のノア・ドーム大会は大盛況、かたや新日本プロレスは暗黒期……平家物語ではないが、この世の理は盛者必衰、浮沈は世の常。新日本プロレスもあの時の暗黒期を乗り越えたからこそ今がある。

鈴木軍の侵攻はノアにとって大きな試練だ。ベルト全ての流出を1年近く続けて興行を行った団体はまずないだろう。苦難と屈辱という点で、プロレス団体でこれほどの辛酸を味わった団体は他に考えつかない。しかし、それを乗り越えた先にあるものが新しいのノアの姿だろうと思う。

鈴木軍の8人のレスラーたちは稚拙な反則介入さえ除けばいずれ劣らぬいいレスラーたちだ。外敵でありながら、1年間ツアーに帯同、フル参戦したのだから、もはやレギュラーメンバーと化している。経済学の命題は資源の有効活用だ。感情を抜きにして考えると新日本プロレスで力を持て余している彼らに選手層の薄いノアが戦場を提供したことは結果としては良かったのだと思う。第三世代やライガーのノアでの戦いぶりの元気さを観るときもそう思う。そんな彼らが1年間ノアのレスラーと練り上げて洗練された戦い、1年の総決算を見に行くことはやぶさかでない。

大田区総合体育館はとても綺麗な会場で見やすかった。満員の会場というのはやはりいい。中途半端に埋まった寒い冬の有明コロシアムよりは遥かに盛り上がる。千里の道も一歩からということで、また日本武道館でGHCのタイトルマッチを見たいものだ。順に試合の感想を振り返っていこう。

第1試合
小川&◯熊野vs高山&☓清宮
7分26秒フィッシャーマンズスープレックスホールド

期待の新人清宮のビッグマッチのお披露目。熊野、友寄に続いて団体の未来を担う新人がいることはいいことだ。棚橋は著書で新日本プロレスの今日の成功の要因は「世代交代に成功した」からとまとめている。ノアは世代交代すべきヘビー級の生え抜き新人が潮崎と谷口しかいなかった。その意味でどんどん未来への希望を養成してほしいものだ。

さて試合の内容は小川良成、高山善廣は一歩引いて、熊野と清宮の攻防が中心。清宮は熊野のフィッシャーマンズスープレックスに沈むが、グラウンドや投げ技の受け身、綺麗な4発のドロップキックなど基本がしっかりしている。小川良成が指導しているというが、ぜひともその技術の粋を伝授してほしいものだ。

第2試合
◯ヨネ&彰俊&北宮vsストーム&玄藩&☓キャプテン
9分12秒
キン肉バスター → 片エビ固め

大田区とあって、うまい肉と麺の店ヨネ家を営むヨネの営業がこの大会の盛り上がりにきっと寄与したことだろう。無事これ名馬でヘビー級の頑丈に肉体を持つヨネが奮起することがノアのタイトル戦線の活性化につながることだろう。クワイエット・ストームと北宮はノアの新しい力だ。彼らのベルト挑戦の日を心待ちにしている。

第3試合は注目のカード、◯拳王vs☓大原はじめ。
10分50秒羅喉 → 体固め

タッグパートナー同士の好勝負。前哨戦の数も多く、手の内も知り尽くした2人の先の先を読み合うめまぐるしい攻防が観客を魅了する。大原が7色のバックブリーカーと創意工夫、ムイビエンで拳王を追い詰める。ドラゴンスープレックス、みちのくドライバー、ダイビングフットスタンプからの蹴暴を返すも、奥の手羅喉に轟沈。濃密で良かった!ノアのジュニアの試合がつまらなかった試しはない。途中入団であってもノアの現在も未来もきっと彼らが作り続ける事ができるだろうと確信できる試合だった。



第4試合 ☓マイバッハ谷口VS◯潮崎豪
11分01秒豪腕ラリアット→体固め
潮崎の入場曲Enfoncer(アンフォンセ)は聞き慣れたテーマ。前の入場曲「Keep on going」も好きだった。ノアの未来を嘱望される彼の戦いぶりを私は好きだったし、特に杉浦とのタイトルマッチが歴代GHCでも指折りの好きな試合だ。動画職人でもある私は↓のとおり、2009年の総集編として潮崎のPVを作ったこともある。


そういうわけで、彼に対して、一筋縄ではいかない感情を持っているのも事実だ。苦しい時期の退団から突然の出戻りについてはあれこれ推測して書くことは出来るけれども、一観客としては彼らの試合を見つめるだけ。リング上がすべてと私は考えたい。その意味で、潮崎豪の参戦を歓迎しない理由はない。

迎え撃つのはかつてのパートナー谷口周平ではない谷口、マイバッハ谷口。いきなりさすまたデッドリードライブで開戦!!しかし、これ以降谷口はさすまたを使わず。ヘビー級の小細工無しの激突に3年のブランクも関係なく、濃密な好試合。ゴーフラッシャーをキックアウトした谷口だが、潮崎の渾身のラリアットが炸裂!潮崎が3カウント奪取。谷口もこのままでは収まらないだろう。今後の展開が楽しみだ。

第五試合 ☓飯塚高史VS◯杉浦貴
11分06秒オリンピック予選スラム → 片エビ固め

いつ見ても飯塚さんはいいガタイしている。たくましい背中に惚れ惚れする。みのるのデビュー戦の相手だしもう50歳くらいなのに、いいコンディションを保っていて立派だと思う。ヒールとしての動きはまるで昭和の悪役レスラーなんだけど、それが個性、差別化になってて良い。放送席のマイクとコードで絞首刑とか、タイガーマスクの漫画で見たけど、生で見たの初めてかもしれない。試合は杉浦が飯塚のラフファイトをしのぎきり、強力なエルボー乱れ打ち、ジャーマン2発から高角度のオリンピック予選スラムで杉浦が飯塚から勝利した。デビュー15周年の杉浦はアイアンフィンガーを掲げて 勝ち名乗り。これが伏線だとはこの時は知る由もなかったのだった……

第6試合は◯中嶋勝彦vs☓シェルトン・X・ベンジャミン。
16分56秒垂直落下式ブレーンバスター → 体固め

グローバル・リーグ戦の決勝戦で丸藤相手にその怪物ぶりを遺憾なく発揮したベンジャミン。勝彦はすでに2回負けており、試練の雪辱戦。しかしベンジャミンは一筋縄ではいかない相手だ。プランチャーをキャッチしたベンジャミン、鉄柱に背骨折り→エプロンにパワーボム!雪崩式フロント・スープレックスで大ダメージ。しかし決め技のペイダートを担いでデスバレーボムから中島が反撃に転じ、各種キックを食らわせて垂直落下式ブレーンバスターでベンジャミンに勝利!試合後コメントではノア入団を直訴。もう何年も参戦しているのでノアの乗組員同然と思っていたけれども、名実ともにということで嬉しい限りだ。

第7試合GHCジュニアタッグ
○小峠篤司 原田大輔VS TAKAみちのく ×エル・デスペラード
20分35秒キルスイッチ → エビ固め
小峠がTAKAのジャストフェイスロック地獄とデスペの攻めを受け切り 原田の片山ジャーマンからキルスイッチでフォール勝ち。粘り勝ちとはまさにこのこと。GHCの試合をしっかり見せてくれました。デスペは安静にして休んでください……

第8試合GHCジュニア
タイチvs石森太ニ 17分55秒 450°スプラッシュ→エビ固め
タイチが美女を引き連れて、Moi dix Mois-のPageantをフルコーラスのエアボーカルでたっぷり時間をかけて入場。いつもののらりくらりで試合は始まるも、熱い火花が切って落とされ激しい展開へ。タイチのハイキック地獄を耐え抜き石森が無双からの450度スプラッシュも3カウントはTAKA介入で阻止。しかし、熊野が加勢してTAKAを排除すると、タイチのブラックメフィストが炸裂するが両者ダウン。タイチは師匠の川田ばりのステップキックからの超高角度ライガーボムも!!!だがしかし石森が鮮やかながらもえげつないカナディアンデストロイでタイチの後頭部をしたたか打ち付けると、なんとアサイDDT!背中と正調の450度スプラッシュ連発で悲願のGHCジュニア奪還。石森が大阪で近藤からGHCジュニアを奪還した時の熱狂も脳裏に蘇りました。

↓「北斗の拳」で聖帝サウザーを知っているとタイチと記者のやり取りが面白いです。
※コメントスペースに着くなりぐったりと崩れ落ちるものの…
<タイチ>「……退かぬ、媚びぬ、省みぬ!」

―これまでのノアの選手と何か違うところはあった?
<タイチ>「聖帝の夢はついえた…最後にお前らに聞きたい…あんなベルト持ってたって何にもならねぇ。それなのになぜそれを背負おうと必死でやって来る…なあ?なぜそれを背負おうとする?」

―団体への愛ゆえに…。タイチ選手もベルトのぬくもりを忘れられないのでは?
<タイチ>「ぬ、ぬくもり…もう一度ぬくもりを…(※と言いながらあべみほさんの太ももに顔をうずめて動かなくなる)」


第9試合GHCタッグ

王者[K.E.S]◯ランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.vs挑戦者[BIGinUSA]☓クリス・ヒーロー&コルト"BoomBoom"カバナ
17分49秒 ダブルインパクト式キラーボム → 片エビ固め

ランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJrはGHCタッグ王者としてふさわしい試合を繰り広げてきた。介入があったのは、5月の横浜でベンジャミンの乱入があった杉浦・田中将斗相手の試合だけ。 プロレスにおいて何よりの武器である体格の前に多くのタッグが退けられてきました。ヒーローは強烈なエルボーと二段蹴りで、カバナは脳天エルボーと幻惑する巧みな動きで王者組を圧倒。カバナはなんとこの試合キラーボム2発を喰らうほどの奮戦ぶりだった。ヒーローがキラーボムをなんと自力でキックアウトすると王者組も場内も驚愕。しかし、ダメ押しのダブルインパクト式の合体パワーボムに轟沈。これぞGHCタッグという激しい試合だった。

第10試合GHCヘビー
☓ 鈴木みのるVS◯丸藤正道
34分00秒 変型エメラルドフロウジョン → エビ固め

この試合西永レフェリーの復帰戦でもあり、まずそのことが嬉しい。立会人は小橋建太。テーマ曲を流しての入場は引退したレスラーにふさわしいのか疑問はあれども、「GRAND SWORD」が流れる中小橋コールができること、小橋が生きていることそれ自体は幸せに思う。現役の選手でこれほどのコールを沸き起こせる人がいないのは残念だけれども。

丸藤とみのるの関係については今更あれこれ言う必要はないだろう。2度のタイトルマッチもいい内容だったが、今回も期待に違わぬとにかく充実した攻防の真髄を見せてくれた。序盤はじっくりと腕の取り合いからヘッドロックをめぐる攻防。緊張感あるグラウンドの展開から打撃戦へ。チョップで圧倒した丸藤が場外へプランチャ、ネックツイスト。いつもの動きをしっかりみのるに味あわせて、5分経過。ここまでは丸藤ペースだが‥‥

しかし、タランチュラ式腕固めでペースを取り戻したみのるが場外で丸藤を痛めつける。コードで首絞めを行うみのるに対し西永レフェリーがみのると取っ組み合い、全く怯まない!戦いの舞台は再びリングへ。みのるは強烈な張り手からねちっこい右腕攻め。関節地獄で15分経過。

鋭い蹴りで追い討ちするみのるに、丸藤は幻惑する独創的な動きからペースを取り戻す。側転からのドロップキック、スワンダイブ式ムーンサルトアタック!チョップ、張り手の打撃の応酬からみのるが腕ひしぎ逆十字固め。耐えに耐えた丸藤がロープに逃れてもなおもみのるは離さず、さらに鉄柵腕固めでも西永レフェリーと再三の揉み合い。

20分経過。飛び技からペースを取り戻した丸藤、トラースキック、ラリアット、そしておびただしい数の張り手とチョップの打ち合い。時間差ロープワークのめまぐるしい攻防、丸藤の回し蹴りとトラースキックを食らうもみのるは一本足頭突き、ここ一番で見せるドロップキック炸裂!!

25分経過。スリーパーからの逆落としは着地するも、ここでカウンターの顔面膝蹴りが丸藤を直撃!スリーパーで延々と締めあげ、逆落としからキャメルクラッチ式のスリーパーでなおも締めあげる!ロープに逃れた丸藤を引きずり起こし、張り手ラッシュのコンボから実に念入りなスリーパーで試合を決めにかかるみのる。30分経過。

ゴッチ式をショルダースルーでなんとか回避した丸藤は反撃の虎王(2段式膝蹴り)2連発。KESの介入をノアのセコンド陣が阻止後、ブレーンバスターキャンセルから虎王、不知火。しかし再びみのるがスリーパー!これを耐え抜いた丸藤が掟破りのゴッチ式パイルドライバー!!みのるのゴッチ式パイルドライバーとは食らう側の向きが逆で、膝をつくツームストーン式ではなくシットダウン式で脳天から落としたのでエグい一撃……これで完全に動きが止まったみのるに丸藤は容赦せず、非情にも追撃の虎王5連発!!!合計8発も受けてはさすがのみのるも返す力は残っていない。満を持してトドメのポールシフト式エメラルドフロウジョンが決まり、丸藤が 34分エビ固めでGHCヘビーのベルトを奪還。

この日の試合スリーパーホールドの執拗な攻め同様、苦節9ヶ月を乗り越えた丸藤が勝利者インタビューに晴れやかな笑顔で応える。そこに杉浦が丸藤に笑顔で握手を求める‥‥がなんと急角度のオリンピック予選スラム!!潮崎が救援に駆けつけたが、杉浦は花道に倒れ伏すみのるに手を差しのべ、固い抱擁を交わす。潮崎はノアの力になりたい!と吠える。来年への展望も示唆する熱い展開!!

杉浦とみのるが組んだら誰も止められないだろ、どうすんだこれ!思えばこの2人色んなコメントをみるにつけどことなく認め合っているフシがある……飯塚さんとのWたかしでアイアンフィンガーフロムヘルを杉浦が装着したらなおさら手がつけられない。……こうして、ノアと鈴木軍との抗争は新たなステージへ向かうことになった。潮崎豪だけでなく、その実力は説明不要の金丸義信のツアー参戦も決まり、苦闘を乗り越えた2016年のノアには確実にいい流れの風が吹いているようだ。(全日本の秋山は気の毒に思うが……)TMDKやザック・セイバーJr.ともまた相まみえることがあろう。今年もノアから目が離せない!