馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

観戦記:プロレスリング・ノア WinterNavigation最終戦-ジョー樋口追悼興行-2010/12/5日本武道館

1. 田上、●志賀 - ○谷口、石森
  ※ 7分32秒、原爆固め

スリーパーからジャーマンにつながる流れはいいね。

2. ○青木篤志 - ●デリリアス
  ※ 10分18秒、アサルトポイント

序盤は完全デリリアスペース。
奇声と奇矯な振る舞いで、謎の会場人気w
とはいえ、最後は青木がスパイラル・ポセイドンから、必殺のアサルトポイントにつないでピン。

3. 齋藤、●井上、マルビン - ○佐々木、中嶋、宮原
  ※ 13分19秒、北斗ボム → 体固め

完全なるマサオワールド。大マサオコールがすごかった。
中嶋もだいぶマサオワールドに順応してきたな。ロープにふってから伏せかわしで、延々とマサオを走らせ続ける様には、場内大爆笑。
マルビンはヘビーに近い宮原を投げまくるなど、意外なパワーを見せつける。復帰した齋藤さんも動きがシャープで、調子がよさそうだ。最後は、齋藤さんの攻撃が誤爆、マルビンがマサオの上に落下、そしてノーザンライトボムでシメ。会場で見たからこそ面白さが分かるいい試合でした。

4. ●潮崎、小川 - ○ヨネ、平柳
  ※ 8分16秒、反則 (レフェリー暴行)

奇襲をかける潮崎だが逆に返り討ちにあい、分断されローンバトル。潮崎は右肩にテーピングをしており、2対1の状況がほとんどで、剛腕の威力は発揮されず、平柳にさえいいようにやられる始末。

はさみを平柳持ち出して、潮崎の髪をバッサリ。すると、潮崎が大暴走。レフェリーの制止を振り切ってダウンしたヨネにストンピングの雨あられ。いや、ヨネは悪くないだろwwwその様子に止めに入る小川にさえも攻撃を加え、あらに都合3度レフェリーを吹っ飛ばしたので反則裁定。潮崎乱心の一言だな。どうしちまったんだ!?

5. ●丸藤正道 - ○KENTA
  ※ 19分09秒、go 2 sleep → 片エビ固め

昨年の12月も同じ武道館で復帰戦だった丸藤選手。復帰後早々に、スーパーJカップ優勝、IWGPジュニア奪取して、新日本のトップ陣を二周するほど勝ちまくっていた様子は、生き急いでいるように見えた。試合中に完全に右腕が動かなくなり、それでも試合を続けてしかも勝利してしまうのも、がんばりすぎだったように思える。

変形性頚椎症性神経根症(骨棘が神経根を圧迫し右肩が動かせない状態)という事態になってからまだ4カ月。もっとゆっくり静養してもいいと思うんだけど、でも止めても無駄なんでしょう、この人は。しかも相手はKENTA。お手柔らかに…なるはずもなく、丸藤ムーブをことごとく読み切って、激しい打撃ラッシュでKENTAがほぼ一方的に主導権を握る。

そのうえKENTAは、幾度もトップロープの鉄柱に肩をぶつけて攻撃するエゲツなさ。容赦ねえ。しかも、雪崩式のタイガースープレックスまで繰り出すにいたっては、KENTAはとんでもない奴である。対して、丸藤もとんでもない奴で、ロープに飛び乗ってから場外へのムーサルトアタックを敢行!

様々な反撃を随所で行った丸藤だが、KENTAは後頭部へのダイビングフットスタンプからタイガースープレックスで攻め立てる。さらにブサイクへのヒザ蹴り、側頭部へのキック3連打からランニンング顔面蹴りを放つと、go2sleepの必殺フルコースで、丸藤を沈める。そこまでやるんかという感じだが、復帰戦とか関係なしに、KENTAも丸藤も全力なのだなぁと感じた試合でした。試合後は、青木がベルト奪回のために、再び丸藤と組むことを宣言。KENTAは何も答えず。どうなる!?

6. [ GHCヘビー次期挑戦者決定戦 ]
  ○バイソン・スミス - ●吉江豊
  ※ 13分18秒、ラリアット → 片エビ固め

バイソン大苦戦。160キロの質量に圧殺されることがしばしば。それでもなんとか、強烈なラリアットで勝機を見出し、パワーボムから改めてラリアットを決めてピン。すごい肉弾戦でした。

7. [ GHC Jr.ヘビー級選手権試合 ]
  ●金丸義信 - ○鈴木鼓太郎
  ※ 14分49秒、タイガードライバー → エビ固め

金丸、鼓太郎組といえば、去年は無敵のジュニアタッグ。結局負けることなく、ベルトを手放すことになってしまったが、こうして反対のコーナーに立ち向かい合うのは感慨深い。また、ジョー樋口さんの追悼興行ということで、試合前には故人を偲ぶVTRが流され、レフェリーは和田京平さんだった。

6連覇中のチャンピオンは、丸藤もKENTAも撃破しており、肉体改造により絶好調。開幕早々、垂直落下式ブレーンバスターからディープインパクトで金丸が主導権を握る。鼓太郎は首から背中にかけてテーピングをしており、当然狙われる。動きも技もすべて読まれており、完全に金丸ペースの試合。

反撃のきっかけは一瞬の隙をついてのバックドロップ。ツームストンパイルドライバーとブルーデスティニーで追い打ちをかけ、タイガードライバーの体勢に。しかし、7月に丸藤が食らったタイガーフロウジョン返しで、脳天から真っ逆さまに突き刺さる。大森隆男のアックス・ギロチン・ドライバーを思い浮かべればわかりやすいだろうか。

再び形勢は金丸に傾き、雪崩式垂直落下式ブレーンバスターに、ラリアットなどの攻撃が続き、正調の垂直落下式ブレーンバスター。互いの決め技をめぐるあまりにもめまぐるしい攻防のあと、鼓太郎が再びブルーデスティニーとツームストンパイルドライバーを決め、恩師直伝のタイガードライバーをズバリ炸裂させ、3カウント。無敵のチャンピオンにしてかつてのパートナー金丸を破ってのシングル初戴冠。感無量でしょうね…。15分なんて信じられないスピード感のある熱戦でした。

8. [ GHCタッグ選手権試合 ]
  ○高山善廣、佐野巧真 - クリス・ヒーロー、●クラウディオ・カスタニョーリ
  ※ 14分22秒、エベレストジャーマンスープレックスホールド
佐野さん以外、全員190センチ以上という巨人たちの饗宴。ROHの奇襲で始まり、10分くらいまでずっと佐野さんのローンバトル。

ROH組は、動きがとにかくすごい。クラウディオはジャイアントスイングのパワーもすごいが、ロープに飛び乗ってからのかちあげエルボースマッシュなど形容しがたい動きが続出。極めつけは、場外の佐野、高山に向かってヒーローが、助走をつけてトップロープ越えのノータッチムーンサルトアタック。すごすぎて言葉にならない。

華麗な動きで2対1で7割方攻め続けたROH勢だが、佐野の粘りに高山が答える。フルネルソンスープレックスからエベレストジャーマンにつなげて辛くも勝利。これまた15分とは思えない濃密な闘い。最近のGHCタッグでは出色の試合でした。ROHタッグにはぜひ来年も日本に来てほしい。

9. [ GHCヘビー級選手権試合 ]
  ○杉浦貴 - ●森嶋猛
  ※ 22分12秒、オリンピック予選スラム → 片エビ固め

後楽園の復帰戦では、杉浦を99秒の秒殺というインパクトを残した森嶋。30キロ減量してもパワーは衰えず、むしろキレも増した森嶋を杉浦はどう迎え撃つのか。身長差、体格差があるだけに、いかに6連覇中の杉浦とはいえどうなるかはわからない。

試合は杉浦の急襲から始まるが森嶋はラリアットで迎撃。テーズ・プレス(空中胴絞め落とし)から、バックドロップを狙うが杉浦は脱出。いきなりの展開に緊張がはしる。花道上では、森嶋がラリアット、タックルを受け止めてから叩きつけて、杉浦は大の字。リング上でも、豪快な森嶋のパワー殺法に押され、序盤は完全にいいとこ無し。この試合は常に大ピンチでした。

形勢に少し変化が出始めたのは10分ごろの場外戦。場外マットをはずした床の上にパワーボムを狙った森嶋を、杉浦が頭を痛打しながらもウラカンラナで切り返したシーン。あの秋山をも苦しめた、エプロンサイドからのネックスクリュー。

反撃の好機と見た杉浦はタックルから、、ジャーマンスープレックス2連発、フルネルソン・ドラゴンスープレックスも狙うが逆にこれを喰らってしまい、場内からは悲鳴。さらに恐ろしいことに、杉浦は雪崩式フランケンシュタイナーに失敗して、コーナートップから垂直落下。そこへ森嶋がダイビングボディプレスで追い打ちをかけるが杉浦はなんとか返す。

続く攻防は、杉浦はジャーマン、森嶋は裏投げを互いに2発ずつ投げ合う。森嶋はたびたびラリアットを決めて杉浦を吹っ飛ばし、恐怖のバックドロップ。フォールを返す杉浦に大歓声。勝勢の森嶋はまさかのムーンサルトを繰り出すが、杉浦にかわされて自爆。これが勝負の分かれ目だった。

死力を振り絞る杉浦はフルネルソンスープレックスからオリンピック予選スラムを決めるも、森嶋が立ち上がって再び強烈なラリアット。なおもジャーマンで追撃し、2発目のバックドロップを狙おうとしたところへ杉浦が顔面へヒザ蹴り!鬼気迫る張り手連打から再度顔面へのヒザ蹴りで倒すと、オリンピック予選スラム。しかし、森嶋は返す。なりふり構わず、杉浦は顔面膝蹴り3連発、そして思いっきり助走をつけての後頭部へ蹴りを叩きこむ。そしてダメ押しの予選スラムで勝利を収めた。

凄惨を極めた死闘だった。いつ試合が終わってもおかしくない事態が続き、決して満員にはなってない武道館だがとんでもなくすさまじい大歓声だった。地鳴りがした。防衛回数2位の三沢さんの7回に並ぶ偉業にふさわしい勝利。いくら体重が減ったとはいえ森嶋はそれでも130キロある。大ダメージを受けた状態で、投げまくる力はすごすぎる。すごすぎるよ、チャンピオン。

恐るべし杉浦、恐るべしGHC王者、恐るべしNOAH。
素晴らしい戦いでした。