馬車郎の私邸

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プロレスリング・ノア「Spring Navig.'10」最終戦 2010/5/2日本武道館 観戦記

朝からマーケティングの授業のチームで、ミーティング。
その後昼飯はカレー。ナンうまい。
で、久々の日本武道館。
感想まだ書いてないけど、2/28に見に行って以来なので、2ヶ月ぶり。

1. 田上、○井上 - 小川、●ジェイソン
  ※ 9分31秒、アルゼンチン式背骨折り
2010050215330000
小川さんは色んな工夫を見せてくるので面白いなぁ。
もっと第一線に絡んできてほしい。

2. [ グローパル・リーグ'10公式戦 ] ●齋藤彰俊 - ○川田利明
  ※ 16分13秒、顔面への廻し蹴り→片エビ固め

グローバル・リーグ戦の最終戦だけあって、第2試合なのにすごい好カード。
三沢さんの最後の対戦相手と、三沢さんの高校時代の一年後輩にして、好敵手。そしてともにキックの使い手。そんな二人が相まみえるとあらば、ともに思うところもあろう。

キックの打ち合いは二人とも意地でも引かない。5分ごろになって齋藤のバックドロップがずばりと決まった。ところがエプロンサイドで倒れたまま、川田はピクリとも動かない。レフェリーがチェックするが全く反応しない。困ったように、齋藤が川田を場外に落とし、ストンピングを打ち込むが、それでも全く動かない。明らかに異常事態だ。観客に三沢さんの時の悪夢がよみがえる。

齋藤は倒れたままの川田をリングに引きずり上げ、バックドロップの態勢へうつるが、川田は必死に堪える。意識を取り戻してはいるが、ロープに振られる際にガクリと崩れ落ち、試合続行さえ危ぶまれる状態だった。プロレスラーのここまで痛ましい姿は見たことがない。

齋藤はハイキックからとどめとばかりバックドロップを決めるも、川田はこれを返した。半死半生の状態でもフォールを返すのは、かつての四天王の本能がそうさせるのか。延髄斬りもまともに決まったがそれでも返す。意識を徐々に取り戻し始めた川田はエルボーで反撃を開始、あびせ蹴りを決めるも、齋藤も再び延髄斬りを放ち、両者ダウンとなる。齋藤はカウント8で立ち上がったが、なぜかカウントは停止。カウントが続いていたら川田の負けだった。

齋藤は川田を引き起こし至近距離からのラリアットを狙うも、川田が腕でガードに成功。あびせ蹴りへ。川田は顔面へのハイキック4連発からバックドロップ2連発、ジャンピングハイキックと怒涛の反撃。エルボーの打ち合いが続く。いつのころからか、川田はワンツー式のエルボー連発。20セット以上も打ち込んで、ひざをついた齋藤の顔面に強烈な回し蹴りを炸裂させ辛くも勝利。

川田は試合後もなかなか立ち上がれず、凄惨な試合の余韻が残っていた。二人は互いに手を取り合ったが、思うところはやはり三沢さんだっただろう。無理やり試合を成立させていたようなものだったが、しかしそれでも両人の思いが表れていたと思える。それにしても、川田はほぼ気絶状態でよく最後まで試合を続けたものだ…受け身がいかに上手いとはいえ、そもそも往年の激闘で満身創痍のはず。大丈夫なのかとても心配だ。


3. [ グローパル・リーグ'10公式戦] ●力皇猛 - ○佐々木健介
  ※ 13分27秒、北斗ボム→体固め

第二試合のムードを吹き飛ばす、陽性のぶつかり合いが繰り広げられた。力皇はスリーパーホールドやキャメルクラッチを使っていたが、この後目に見えて健介の動きが弱弱しくなった。パワーで押すより、グラウンドの展開を入れたほうが、案外力皇の戦い方の幅が広がるんじゃないか。

健介はしゃにむにラリアットを打ちまくる。この試合で力皇が喰らったラリアットは20発以上はいくだろう。最後は、エグい角度のノーザンライトボムで健介が勝利。とはいえ、力皇が優勢に進める場面が多く、必殺の無双が一発も出ていなかった。タイトル戦でこの2人のぶつかり合いをまた見てみたいものだ。

4. [ グローパル・リーグ'10公式戦 ] ●森嶋猛 - ○?山善廣
  ※ 14分56秒、エベレストジャーマンスープレックスホールド

身長2メートル近い大男同士の対決。昨年森嶋が怪我をした腕を攻めているとき以外は、全身凶器の森嶋の巨体の前に、高山がほとんど守勢に立たされていた。ここまでボコボコにされている高山なんてなかなか見たことがない。森嶋のラリアットは160キロの巨体ごとぶつかっていく感じで、こちらも巨体を誇る高山が何度も何度も吹っ飛ばされる様に、悲哀が感じられた。高山ももう43歳。脳梗塞から復帰したとはいえ、衰えは否めない。

とはいえ、高山が一方的に押し切られて終わるとは思えない。森嶋のトップロープからの圧殺ボディプレス(飛距離がすごかった)とギロチンドロップを受けても粘り、得意のヒザで反撃。なりふり構わず、ヒザを使ったあらゆるニーリフトを連発。そして満を持してエベレストジャーマンを炸裂させた。しかし、森嶋は2カウントで返す。バックドロップに奥の手のフルネルソンスープレックスで追撃し、再びエベレストジャーマンを決めて今度は3カウントを取った。

1試合にこれだけのスープレックスを放ち、必殺のエベレストジャーマンを2発使うとは、ここまでしないと森嶋は倒せないということだ。森嶋はバックドロップを出していないが、逆に言えば一発でも喰らっていたらどうなっていたかわからない。試合後の高山はヨロヨロのフラフラで花道を下がっていった。力を使い果たしたように見えた。だが、Bブロックを勝ち抜いた高山は、第9試合にもう1回戦うのだ。その相手は、秋山ー杉浦戦の勝者だというからなおさら恐ろしい。過酷なリーグ戦の死闘とはまさにこのことだ。


5. [ グローパル・リーグ'10公式戦] ●杉浦貴 - ○秋山準
  ※ 21分49秒、変型スターネスダスト→体固め

ここまでリーグ戦無敗のGHC王者杉浦に、秋山が対峙するこれまた好カード。
秋山は、去年ベルトを取りながらも椎間板ヘルニアが悪化し、ベルトを返上。昨年12月には、体調悪化で精密検査を受け、タッグタイトル戦を欠場。このリーグ戦でも、角膜損傷のため眼帯をつけて試合をしていたほどだ。まさしく満身創痍。ボロボロになりながらもAブロックを勝ち進んできた秋山の入場に、割れんばかりの大声援が送られる。

試合はゴングすぐに出し惜しみなしの打撃戦が展開。エルボーにハイキックやニーが乱れ飛ぶ。5分ごろ、杉浦が秋山にジャーマンスープレックス、その後コーナーポストに向けてもう一発ジャーマン。場外戦でもトップロープを利用した首へのドラゴンスクリューなどで、秋山は大ダメージを負う。

なんとかリングに戻った秋山に、杉浦は容赦のない攻勢。秋山はジャンピングニーの連発から反撃するも、アンクルホールドに捕らえられる。1回目のアンクルホールドを逃れるも再びアンクルホードががっちり決まり、ギブアップ寸前まで追い詰められた。ここで、すさまじい大秋山コールが巻き起こり、なんとかロープエスケープ。

秋山のエクスプロイダー3連発に対して、杉浦もジャーマン2連発。ダウンする両者は、ものすごい張り手の打ち合いへ移行。秋山が途中から押され始め、強烈な往復の張り手を1ダース以上も喰らって崩れ落ちる。勝機と見た杉浦は、フルネルソンスープレックス。さらに、得意のオリンピック予選スラムを炸裂。しかし、秋山はなおも粘る。逆にフロントネックロックで逆襲し、杉浦がぐったりしたところでエクスプロイダー!

各種ヒザ蹴りを織り交ぜながら、秋山が反撃。しかし、リストクラッチ式のエクスプロイダーをも杉浦は返す。ならばと、健介からベルトを奪取したときの変型スターネスダストを強烈な角度で決め、杉浦から勝利をもぎ取った。

タイトルマッチ級の死闘に、すさまじい盛り上がり。どちらかというとクールで知将のイメージがあった秋山準が、感情をむき出しにしてなりふり構わず戦う様に心打たれたファンは多いだろう。ここまでの試合で十分満足したが、そういえばこれはAブロックの決勝戦だった。この後秋山と高山の決勝戦があるのだった。

後頭部を強打するスープレックスを互いにとんでもない数喰らっているだけに、この後に決勝戦に進出する秋山には、もはや余力が残っていないように見えた。それは高山も同じことだが、はたして3試合分の時間でダメージが回復するとも思えない。

そして、欠場しているKENTAが登場。6月6日、後楽園ホールで復帰戦をすることを明らかにした。金丸に対しては「地味なチャンピオン」呼ばわりし、丸藤に対しては「会社を放り出して、ヨソの団体のベルト持ってヘラヘラしてるヤツにもう任せてられない」とさっそく口撃。さっそくノア・ジュニアに波紋を巻き起こすことは必至で、今後が楽しみだ。

…で、ヨソの団体のベルトですが、翌日に丸藤は田口を破りまたしてもIWGPを防衛。4代目タイガーマスクと5月8日(早っ!)に防衛戦が組まれた。

KENTAの言う「ヨソの団体のベルト持ってヘラヘラしている」だが、その「ヘラヘラしている」内容がすごい。

昨年暮れのスーパーJカップでは、獣神サンダー・ライガー、田口、タイガースマスク、プリンス・デヴィットと並み居る強豪を撃破して優勝。その後、かつての兄弟子4代目タイガーマスクを撃破し、ベルト奪取。さらにプリンス・デヴィット、金本浩二、獣神サンダー・ライガー、田口と新日本ジュニアの強豪を片っ端から返り討ち。しかも金本以外はJカップでも勝っているので、相手のリベンジマッチをことごとく退けているわけだから、まさに無敵状態だ。誰がこの勢いを止めるんだ!?

6. 佐野、○石森、マルビン - 起田、宮原、●梶原
  ※ 9分23秒、450°スプラッシュ→片エビ固め

石森、マルビンが身軽に空中戦を展開。触発されたのか、佐野さんも華麗に飛距離のあるミサイルキックを披露。思えば、この人は昔のIWGPジュニアのチャンピオンになった方だった。そういえばそうだった。

7. 丸藤、●青木 - 潮崎、○谷口
  ※ 15分22秒、変型原爆固め

潮崎、谷口が欠場から復帰して嬉しい。彼らがいないとやはりカードが寂しくなる。青木も非常に元気でヘビーの2人に臆せず向かっていく様が印象に残っている。丸藤は試合中、何を思ったか、突如Go2sleepを敢行。これはKENTAへのメッセージか?

青木をトップロープから雪崩式ジャーマンで投げる谷口を、さらにジャーマンで潮崎が投げたのは圧巻だった。とんでもない高さだ。最後は、相手を担ぎ上げて持ち替えてから落とす、変型ジャーマンがばっちり決まり、谷口が勝利。

8. ○バイソン、キース、デリリアス - ヨネ、金丸、●平柳
  ※ 10分54秒、バイソンテニエル→片エビ固め

終始玄藩ワールドでした。うん、がんばった。

9. [ グローバル・リーグ 優勝決定戦 ]
  ●秋山準 - ○?山善廣
  ※ 13分38秒、エベレストジャーマンスープレックスホールド

意外にもシングル対決は実は初めて。もっと若いときに見たかったのが正直なところ。しかし、今しか出来ない戦いもある。二人ともすでに激闘で疲労困憊だが、体に鞭打ち戦っていた。秋山がやや優勢に試合を進めていたが、エクスプロイダーを一発喰らった後、高山はニーリフトから反撃の糸口を見出し、エベレストジャーマンを決める。これを返した秋山に、ひざ蹴りで追い討ちし、もう一度完璧なエベレストジャーマンを決め、見事優勝。試合後高山が秋山と健闘を称えあい、ありがとうと声をかけたのは実にすがすがしかった。

秋山はこの日一体何発大技を喰らっているんだ…高山のほうが1試合分終わるのが早かったから、回復の差もあったかもしれない。この日は、健介、秋山、川田、高山、いずれ40台以上のベテランが意地で戦っていた。インタビューで高山は「40過ぎたオッサンが、今バリバリの奴とやるのはしんどい」と語っていたが、まさしくその通りで、リーグ戦の決勝は別の日でも良かったと思う。

意外にも高山は「武道館の最後を締めるのは実は初めて」だったそうで、感慨深そうだった。最後は、懐かしの「行くぞ、ノーフィアー!」で締めでした。

グローパル・リーグ'10星取表