「エース」で連載中の「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」はなかなかに面白く、
原作第10巻が2年半たってもまだでない、この憂鬱の慰めとなっている。
その作者が「ヤングエース」で描いているのが、本作だ。
小説第4巻に相当する、2月6日の劇場公開の「涼宮ハルヒの消失」のパロディなのだが、これがなかなか良い。
とはいえ、あくまで感覚的に良いというもので、格別の面白さはない。
なんとなく、「これもありだな…」と思える。
曖昧で緩い気分でページを繰るには良いのではないか。
元々この作者や長門・朝倉のタッグが好きなようだが、
一歩進めて小説第4巻の長門と朝倉をパロって新たな世界を作っている。
情報統合思念体のヒューマノイド・インターフェースではなく、
大人しい文芸部員の眼鏡っ子としての長門有希。
そんな彼女と、純情なキョンのラブコメ。
(「君に届け」?)
二人の仲を取り持とうとする世話焼きでおせっかい(ゆえに微妙にKY)な朝倉さん。
コミックスの裏表紙。
雪が舞い散る
今日この頃、
コタツを囲んで、
おでんを食べる
3人の様子を見、
どことなく安堵の念
を抱く日本人は
私だけではあるまい…
なぜかほっとしてしまう。
バグでおかしくなった長門が望んだのは
こういうほのぼのした世界かもしれない。
確かに長門も朝倉もキョンも、
誰だお前?という感じではある。
だが、こんなのもいいよねと言える何かもある。
それはひとえに、原作の極度の変型であるにもかかわらず
なんとはなしの、ほのぼの感に落ち着いている点に由来する。
中身は無いが、空間はある。
そんな印象を受けた。
小説4巻でキョンは、「こんな長門は長門じゃねぇっ!」
「ハルヒ、お前に会いたいんだ!」
「なぜ、お前がここにいる!?朝倉涼子………!」
等々言っていたような気がするけれども、
それはそれ、これはこれ。
10巻が出ない苛立ちには、手慰みに、
あるいは明後日に迫った劇場版の前に、
ちょっとした戯れ気分で
手にとってみるのも一興かと。
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