馬車郎の私邸

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風呂好き民族日本人とローマ人ー「テルマエ・ロマエ」第1巻、ヤマザキマリ、エンターブレイン

古代ローマの男、現代日本の風呂へタイムスリップ!!
そこで目にした日本の風呂文化に驚愕した彼は…?

(帯より)

世界の風呂好き民族の双璧は、古代ローマ人と日本人である。

古代ローマでは公衆浴場をテルマエ(thermae)といい、
市民たちは盛んに入浴していた。
古代人は日の出とともに活動を開始し、日が落ちると眠る。
よって仕事は午前中で終わり。
そして仕事帰りにはひとっ風呂浴びて、社交の時間を楽しむのだ。
(ワークライフバランスいいね)

公衆浴場と言っても、ただの銭湯とは規模が違うし、機能も多彩。
スポーツジムに、各種ボディケア、軽食や飲み物、遊戯室に談話室。
そもそも入浴も、温浴と冷浴の両方があり、サウナ(蒸し風呂)もある。
装飾は噴水や、居並ぶ神々の彫像の肉体美だ。
まさに複合文化センターといった趣である。

さて、気になる入場料は、格安。
パン一つ、またはぶどう酒一杯程度の、4分の1アッシスだったという。
軍人や子供は、無料。
奴隷も入場可能で、公務員であればやはり奴隷でもタダ。
浴場では、身分の別なく裸の付き合いであったようだ。
元々混浴だったが、ハドリアヌスの時代から男女時間別になった。
首都ローマだけでなく、都市ではどこでもあり、
軍団基地にも大規模な浴場があった。

これほどまでの風呂文化を支えるのはやはり、水道だ。
ローマだけでも、巨大な水道橋は11もあり、
今日のローマ市の実に十倍もの水が供給されていた。
もちろん、上下水道は完備。
なにしろ幹線道路だけで地球2週分(8万キロ)も作るような人たちだから、
彼らのインフラ整備にかける情熱は驚嘆に値する。
ローマ人は自らの技術を、人間の生活や現実に役立つものを作ることに傾注したのだ。

だが、このような風呂文化も、帝国が衰退し、
キリスト教の時代になると廃れた。
キリスト教の文化は裸を受容しない。
(アダムとイヴ、聖書の創世記を思い出そう)
神々の彫像、裸体の彫像は破壊され、「裸の付き合い」も出来なくなった。
体を清潔に保つ入浴の習慣はヨーロッパから消えてしまった。20091128152400002009112815250000
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しかし、ローマ帝国からはるか東の極東の島国、
日本に風呂文化は受け継がれていた!?
日本人も相当に風呂好きである。
(そしてローマ人も日本人も温泉好きだ)
ユニットバスの普及は少なくとも高度成長の時代のようだが、
銭湯の起源はなんと鎌倉時代にまでさかのぼることが出来るようであり、江戸時代に盛んになったらしい(参照

さて、前置きが長くなりすぎたf^^;
やっと作品の紹介です。
筋立ては、古代ローマの設計技師ルシウスが、毎回タイムスリップしては、現代の日本に(風呂限定)に来てしまい、そこで得たアイデアをローマで試してみる、というもの。
荒唐無稽だが、そこがいい。
画風が劇画調だけに、ますます笑える。
(画像はクリックするとおおきくなります。)

タイムスリップした場所はいずれも風呂限定。
第1話では銭湯、第2話は温泉、第3話は一般家庭のユニットバス、第4話は水周り関係のショールーム、第5話は湯治場。
ルシウスというローマ人の目を通して、われら日本人(平たい顔族)の風呂文化を体験する様は実に面白い。

銭湯の壁画の富士山を見てはポンペイのヴェスビオス火山と思い、シャンプーハットは族長の冠と勘違い。
見るもの全てがローマ人視点。
風呂桶、扇風機、フルーツ牛乳、のれん、壁面テレビにウォッシュレットなどを次々体験しては驚くルシウスの様子は、滑稽であると同時に、日本の風呂文化を再発見させてくれる。

もちろん、古代ローマネタ、古代ローマギャグ(?)もある。
しょっつるの味をガルム(魚醤)と感じたり、浴衣やバスローブをトーガのように着ている様はなんともほほえましい。

最近読んだ漫画では、一番面白かったので紹介したいと思い、久々に記事を更新しました。
11月はさっぱり更新してませんでしたが、これからはなるべく書くようにします
f^^;

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