馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

「三銃士〈上〉」 (岩波文庫) アレクサンドル・デュマ

9月半ばに「ゼロの使い魔」シリーズを濫読した件については以前に書いたとおりだ。
ところで、この人気ライトノベルはデュマの「三銃士」から、起きる出来事や脇役の名前などを借用している。
元々「三銃士」を読んだことのある人にとっては、思わずにやりとするシーンも少なくないだろう。

久々に「三銃士」を読んでみると、上巻だけで450ページの大著なのに、どんどん先を読みたくなってページを繰る手が早まる。
文学ではなく、大衆娯楽小説。
いかめしい岩波文庫が苦手な人は、小説ならこの「三銃士」から試してはどうだろう。
池波正太郎の「剣客商売」が好きな人にも案外(?)お勧めかも。

本編は、まず主人公ダルタニャンと三銃士との出会いが面白い。
アトス、ポルトス、アラミスの三銃士に次々と、
決闘する羽目になってしまうのである。
いざ決闘する段になって、4人とも鉢合わせ。
と、そこに銃士隊と中の悪い、リシュリュー枢機卿の護衛士たちがやってきて、ダルタニャンと三銃士は手を組みそのまま乱闘に…

かくしてダルタニャンと三銃士の友情物語は始まるのだが、
勢いよく読ませる筆運びがなんとも心地よく読ませてくれる。

寡黙で冷静、高潔だが大酒呑みの武人アトス、豪放磊落で見栄っ張りな豪傑ポルトス、信仰心に篤いが女性との噂が絶えないアラミス、勇気一筋向こう見ずで大胆なダルタニャンが繰り広げる活劇には、男のロマンが詰まっている。

上巻のハイライトは、王妃アンヌ・ドートリッシュから依頼され、バッキンガム公爵からダイヤの飾り紐を返してもらうため、ダルタニャンと三銃士たちがイギリスへ向かうくだりだ。
(実話を一部元にしている。以下の引用参照。)
枢機卿リシュリューの刺客、追手を食い止めるために三銃士たちが一人ずつ離脱して防戦し、ダルタニャンをイギリスへたどり着かせるのは熱い展開だ。
王道で、コテコテだが、そこがいい。

この頃にイングランド王チャールズ1世の寵臣バッキンガム公ジョージ・ヴィリアーズとのかりそめの恋愛が起こったとされる[8][9]。チャールズ1世とともにお忍びでフランスを訪ねたバッキンガム公はリュクサンブール宮でのバレエを観劇し、そこに女神役で出演した王妃アンヌに一目惚れし、1625年に王妹でイングランド王妃のヘンリエッタ・マリアをイングランドへ連れ帰るためにフランスを再び訪れたバッキンガム公と王妃アンヌが恋に落ちたというものである[10]。王妃がバッキンガム公へ贈ったダイヤの胸飾りがリシュリューの手の者に盗まれたが、バッキンガム公が港湾を封鎖させ代わりに精巧な模造品を王妃に送り返したという事件がラ・ロシュフコーの回想録に記述されている[11]。バッキンガム公はラ・ロシェル包囲戦でリシュリュー枢機卿が率いるフランス軍と戦って惨敗を喫してしまい、1628年に敗戦を恨んだ水兵によって暗殺された[12]。これらの話はアレクサンドル・デュマ・ペールの小説『三銃士』の題材になっている。


しかし、さらに面白いのは、むしろ三銃士たちとの再会のシーン。
ポルトス、アラミス、アトスそれぞれ味があっていいが、
刺客との乱闘のあと、宿屋の酒蔵に篭城していたアトスとの再会が一番面白かった。

テンポのよい会話は読んでて実に愉快。
すらすらと心に伝わってくるのが、作品世界にいるかのようだ。

こんな時代だからこそ、男たちは『三銃士』を読み、
彼らの勇気と武勇を分けてもらうといい。
少なくとも面白い読み物であることは間違いない。

概要とあらすじは以下の通り。
『三銃士』(さんじゅうし、原題:les Trois Mousquetaires)はアレクサンドル・デュマ・ペールによる小説。1844年新聞『世紀』に連載。フランスの片田舎ガスコーニュ出身の若者ダルタニャンが、立身出世を夢見て、銃士になるべく都会パリに出てきて、銃士隊で有名なアトス・ポルトス・アラミスの三銃士(ダルタニャンは三銃士でない)と協力しながら、次々と迫りくる困難を解決していく物語。

日本では『三銃士』のみが有名だが、『三銃士』は第一部に過ぎず、全体の分量からも四分の一以下である。続編に第二部『二十年後』と第三部『ブラジュロンヌ子爵』がある。三部作をまとめて『ダルタニャン物語』と呼ぶ。

表題の銃士とは、もともと最新式のマスケット銃を装備した乗馬歩兵で竜騎兵の一種だが、『三銃士』の中では銃戦闘を行うことは少なく、剣での戦闘を主にしている。ダルタニャンを始め、史実の人物も多数存在している。

フランス国王ルイ13世の治下。片田舎ガスコーニュの若者ダルタニャンは、銃士になるべくパリに出てくる。ところがパリへの道中、紹介状を何者かに盗まれる。銃士隊長との会見の後、銃士隊で名を馳せていた三銃士アトス・ポルトス・アラミスと成り行きで決闘することになる。

決闘の最中に、銃士隊の宿敵、枢機卿リシュリューの配下と闘いになってしまう。ダルタニャンは三銃士に助太刀してその闘いに勝利し、そこから三銃士と親交を深める。

ダルタニャンは王妃の下着係コンスタンスに恋し、枢機卿リシュリューの陰謀に陥れられる寸前の王妃アンヌ・ドートリッシュから依頼され、バッキンガム公爵からダイヤの飾り紐を返してもらうため、三銃士とともにイギリスへと出発する。

途中に枢機卿配下のワルド伯爵や謎の女ミレディーから妨害を受けるも、三銃士の助けもあり、ダルタニャンは単身イギリスへと到着し王妃の依頼を果たす。

そして物語はミレディーとの争いになっていく。



にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村