馬車郎の私邸

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中村光「聖☆おにいさん」第4巻、講談社

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先々週だったかな。
「社長島耕作」を読もうと「モーニング」を手に取ったら、
始まったのは「聖☆おにいさん」でびっくり。
コミックス4巻発売で出張版が掲載されてました。

ブッダとイエスの同居話も、もう4巻か早いなと思ったら、128ページ。薄い。
が、小粒でもぴりりと辛いギャグは健在。
ちょいとばかし仏教とキリスト教をかじったことある人には、
思わずにやりとするギャグが満載です。

バレンタインをめぐる話では、物をもらってもぴんとこないについて二人が語る。
イエスは、荒野で修行していたとき「昔サタンさんに、世界をやろうって言われても全然ぐっと来なかったし」と、聖人基準(?)でものを言うのが面白い。
本命は「エロスチョコ」、それ以外は「アガペーチョコ」という提案は、ギリシア語で愛を表す言葉が複数あるのをついた点でユニーク。
これに「フィリアチョコ」を付け加えれば、家族間でのチョコや友チョコも明快に区別できそうだ。

ジーンズショップでの二人の会話も実に愉快だ。
イエス「これなんて何年着たのかなぁ。ものすごい色の落ちよう」
ブッダ「ハハハ たぶんそれ滝修行のしすぎだよ
    ボロボロなやつほど高僧がはいてたものなのか 
    値段がすごいんだよね。」
イエス「本当だ…相当なお布施を要求してくるね…
    こっちもこの穴のあき方…まさか迫害!?
    おや名前が縫いこまれている… せめてこの二人のために祈ろうか」
イエス ブッダ「LeeさんとEDWINさんが永遠の安らぎに憩わんことを…」

ジーンズ・イエス・ブッダの三題噺として、秀逸すぎる…!

聖人向け雑誌「R2000」の締め切りがせまり、修羅場から阿修羅へ話が続くのも笑った。
腕がたくさんあるからってアシスタントに使おうなんて…
阿修羅展を全国ツアー中に、阿修羅像をフィギュアに言い換えるのも笑える。
2009110219370000
2009110219360000

漫画喫茶に行くイエスとブッダ。
ネットゲームをめぐる掛け合いが、これまた面白い。
職業に僧侶を選ぶブッダに、イエスは「オフの日まで癒し役にまわって、一体何が楽しいんだい?」といえば、
ブッダはイエスに「デーモンハンターオンラインなんてゲームで、オフの日まで悪魔退治している君のほうがワーカホリックだと思うよ。」

結局のところ三題噺なのである。
「ブッダ」×「イエス」×「□」
↑の空欄に何かを入れて掛け算すれば、毎回の話が出来るわけだ。
だから、彼らの時代に無かったあれやこれやを二人に体験させて、
一体どんなコメントをするのだろうかという夢想を具現化するのが、
「聖☆おにいさん」
の魅力だと私は思う。

普通に読んでも面白い、元ネタ知ってるともっと面白い。
聖人を主人公にするとはいささか不謹慎ではあるが、
宗教にいい加減な八百万の国日本なればこそ、
我々はこの作品を楽しめるのである。