馬車郎の私邸

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「妄想少女オタク系」第5巻、紺條夏生、双葉社

「妄想少女オタク系」第4巻 感想

前回の帯はハチマルワン(801)ダイバーでしたが、今回は…
ジな話
ラスでは
に出来ない
ペシャル
ujoshi!!!!!

マクロスFで、しかも表紙はキラッ☆でした。
簡単な人物相関図↓

  浅井留美(腐)  ←友情→  松井曜子(腐)
 好き↑↓好き?          ↑両思い↓  
  阿部隆弘(腐女子に恋した哀れな男) × 千葉俊介(イケメソ)  
好き?↑↓協力を要請            ↑好き
  百瀬つぐみ(隠れ腐女子、阿部の旧友)  塚本主将(ガチホモ)

奇をてらった部分もないではないが、マンガとして普通に良作。
今回も楽しく読めました。
1巻からずっとそうなんですが、阿部の涙ぐましい暗中模索ぶりは、滑稽でありながらもなんとも哀れである。
本当に可哀想だ…だが私は、腐女子に恋するとはそういう宿命になることを知っている。

浅井と松井の二人は、オンリーに行ったり、同人誌を描いたり、ホームページを立ち上げたり、ますます趣味に邁進。
阿部は浅井(つまり腐女子)の思考回路と常識をいまだ理解するにいたらず、BL研究(?)をし理解に努める。
そこで、阿部が協力を要請したのが、中学時代からの友達で、隠れ腐女子の百瀬つぐみ。
BLについて教示を受ける中、阿部は腐女子の常識は分からないと漏らす…
だったら、やめたらいーじゃん、フツーじゃない相手を解かるわけない、進展すると本気で思ってるのかと、つぐみは言い、どさくさにまぎれてキスをしてしまった。

千葉に相談する阿部だが、千葉にもなんとキスされる。(しかも舌も…)
さらに悪いことに、千葉×阿部、阿部×千葉のカップリングに萌える、浅井と松井に目撃される。
その次の話はまるごと妄想話。
千葉の襲い受けということで、1話分全てBLという超展開(笑)

最後、浅井と話す百瀬つぐみだが、なぜか結局、阿部千葉BL語りになってしまう…


とまあ、前の巻から出てきた百瀬つぐみがいいキャラしてます。
阿部はもう踏んだり蹴ったりですf^^;
浅井・松井の腐女子街道一直線コンビに対する、百瀬の立ち位置がいいですね。
BLも好きだけど、しかし自分は完全腐女子ではなく一般人の範疇であると思っている。
BL方面に片足を突っ込んでるけどそれが全てではないというスタンス。
ゆえに、内面の葛藤に苦しむ。
浅井のことを二重の意味で嫉妬している。
・阿部が好きな相手である(自分が気になっている阿部が好きな相手)
・自分の趣味に完全に没頭している(自分にはそれが出来ない)

結果として、陰湿な行動も辞さないわけですが、感情の流れは妙に生々しい感じがする。
現実には、浅井留美に松井曜子のような人々は増えていてしかもその存在感は増している。
だがしかし、浅井・松井よりも、百瀬つぐみのような人が現実には多いのではないか。
腐女子的なものが好き、あるいはオタク的なものが好き、けれどもそれを素直に肯定できない。
百瀬のように、単純な自分についての認識においても、周りの人々との兼ね合いや世間の常識つまり"フツーの感覚とやら"とも葛藤する人は多いのではないか。

百瀬が浅井のような特にぶっとんだ言動はしていないにも関わらず、(腹黒ではあるが)
異様な存在感として物語の中から立ち出るのは、
このキャラクターがある種の生々しさと現実的背景をもって登場しているからかもしれない。

一方、阿部はなんだか大変なことになっちゃってる。
マンガとしては面白いし、愉快だよf^^;
けど、彼の悲喜劇は笑い事ではない部分もあろう。
そもそも濃い腐女子に恋をしたという時点で、
本来彼の命運はほぼ定まっている。
それでもなお、この上好きな相手のために効果の疑わしい努力を続けるなら、その道は茨の道。
阿部よ、これからもその覚悟はあるのか。
無数の茨の棘によって、自らの血の海の中で息絶えるのだぞ。
君はマンガの中にいるからいい、希望がある。
だが、……………


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