馬車郎の私邸

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【観戦記】プロレスリング・ノア 2016年3月19日(土)後楽園ホール大会

GHC4大タイトルマッチが後楽園で行われるのは珍しく楽しみなカードが多く駆けつけました。心配の雨も昼には上がり快晴の空模様。B/C席は売り切れのため、この日は南側入場通路の近くA席からの観戦でした。

第1試合 ◯小川・齋藤vsストーム・☓清宮 (6分29秒バックドロップ→片エビ固め)

小川がストームを上手くいなし、清宮は前方回転エビ固めなど新人離れした身のこなし、ストームはコーナーを背にした小川と齋藤に往復ラリアット、齋藤のキレのあるカウンタースイクルデス、小川のバックドロップ。短い時間ながらも四者四様堪能しました。

第2試合 熊野・スパイダーマン平柳・◯キャプテンノアvs☓デスペラード・TAKAみちのく・タイチ組
(9分27秒サムソンクラッチ)

第2試合の空気あたたまる前座試合といった趣で、皆でタイチいじり。タイチがpageantを2番で歌い終わるやアンコールの声援。鈴木軍ジュニアは臨戦態勢と思いきや全員が下がり、「タイチが見たい」コールで大歓声と拍手。実に暖かく和やかなムード。なかなか組み合わないタイチがコスチュームを一つずつ脱いでいくとこれまた大歓声でタイチを煽る。鈴木軍ジュニアは調子よくアックスボンバー(アックスボンバーとは限らない)3連発や平柳へのチョップ・張り手での玄蕃太鼓。しかし、急所攻撃からサムソンクラッチの妙技でキャプテンがデスペを丸め込む。先日は熊野にフォールを許し、今日も失態を演じたデスペが股間を押さえつつ錯乱状態に陥り、TAKA・タイチがドン引き。デスペの明日はどっちだ?
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第3試合 丸藤・ヨネ・北宮vsみのる・飯塚・ベンジャミン
(11分56秒不知火→片エビ固め)
場外ラフファイト中心の荒れ模様の序盤戦からヨネがローンバトル。北宮が軽快な動きでベンジャミンの攻撃をかわす。トラースキックを受け止めてのチンクラッシャーなど新しい動きも見せて北宮の今後に期待が高まる。

丸藤とみのるが練り上げた凝縮された攻防は良い意味でいつもどおり。不知火に行くところをみのるに抱え上げられて捕まるも、飯塚がアイアンフィンガーをめぐり西永レフェリーともみ合う中(写真の通り飯塚さんの右腕の筋肉の盛り上がりがすごい!)、虎王、トラースキック、不知火で鮮やかに逆転勝利。試合後は鈴木軍興行のメインイベントでの杉浦・みのる組との戦いに名乗りを上げる。タイトル戦線やタッグリーグでの活躍をぜひまた見たい。

第4試合 GHCジュニアタッグ
☓原田・小峠vs拳王・◯大原
(19分12秒ムイ・ビエンクラッチ)
久々のノア戦士同士のタッグ選手権。いつでもノアジュニアは面白い。金丸・鼓太郎・KENTA・青木・石森・マルビンとか大好きだった。今回は様々な団体から集い方舟の乗員となった4人ともがインディーからの叩き上げ。現在進行形の未来を創る彼らに期待している。

序盤から乱戦模様、桃の青春が合体ドロップキックを披露も、原田はプランチャを竹刀で撃墜され、拳王のトップロープから場外へのフットスタンプ(!)で大ダメージ。大原が前方へ落としながらのバックブリーカー、拳王が背中へのフットスタンプ、蹴り、逆エビ固め。5分を経過もなお原田がローンバトルに捕まる展開が続く。

原田はエルボーで散発的な反撃もなかなか脱出できず。しかしフロントスープレックスを拳王、大原に食らわして小峠にタッチ。元気いっぱいの小峠が縦横無尽に駆け回り2人を相手に飛び蹴りやフェイスクラッシャーで躍動。しかしキルスイッチの仕掛けは早く拳王のオーバーヘッドキックを被弾してしまう。
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大原はコブラツイストの態勢からの持ち上げてのバックブリーカーで小峠を攻め立てると、代わった原田とエルボー、ダッシュエルボーの応酬。原田が珍しくラリアットを振り抜き2人を宙に舞わせる。 丸め込み、竹刀を交えためまぐるしい攻防が続き、息をつかせぬ展開に目が釘付け。

拳王は原田にトップロープからダイビングフットスタンプを狙うも、突進の小峠をなんとロープ上の側転で回避!大原がボディスラムで原田に小峠を叩きつけ2人まとめてダイビングフットスタンプ炸裂!!両足ロック式バックブリーカーからムイビエンで大原が原田を捉えるも小峠が救出に入る。

大原のフォアアームは原田のダブルニーに撃墜され、小峠のキルスイッチ。拳王のドラゴンスープレックスも乱れ飛び、4者ダウン。後楽園ホールは重低音ストンピングの渦に。
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ニーアッパー、カナディアンバックブリーカーの態勢からのニーアッパー、カニばさみからの顔面ニーアッパー、立て続けに原田の猛攻を受け続ける。デスバレーボムまで喰らい万事休す。拳王は小峠に捕まり救出に行けず、自力で返し続けた大原がジャーマンを切り返しついにムイビエンクラッチで大逆転!

大原のテーマ曲「FLOWER」が流れる中、場内大歓声も大原のダメージは深くなかなか立ち上がることはできない。拳王は「背筋がゾクゾクするような刺激的なリングにしてやるからな!俺たちについて来い。」と宣言。大原は「拳王にホワイトデーに約束した『ベルトを取る』っていう約束。叶えられたこと、正直良かったなと思ってます。」と心和むマイク。観客の支持を集めたタッグチャンピオンがここに誕生!

原田と小峠ももちろん見事。鈴木軍の絡まないノア同士のタイトルマッチとあって期待値は高かったのですが、しっかり期待に応える試合内容を見せてくれました。この4人と石森、成長著しい熊野、新人清宮、鈴木軍ジュニア3人、そして金丸を加えたジュニア戦線の充実は未来のノアの可能性を予感させてくれます。

第5試合GHCジュニア ◯金丸vs☓石森
(18分07秒タッチアウト→片エビ固め)
金丸と石森の対戦というだけで安心感がある顔合わせ。無用な介入さえなければ試合内容は必然的に高いはず。序盤はかつて見慣れたハイスピードな極上の攻防。金丸は、クレバーなTAKAと連携でラフファイトも交えて石森を苦しめるも、アクロバティックな動きで石森も反撃!山本レフェリーを飛び越えてのノータッチトペコンヒーロが炸裂する!

空中戦に手を焼く金丸は、スーパースターエルボーにいった石丸に、膝裏への低空ドロップキックからドラゴンスクリュー、足4の字固めの流れるようなコンボ!足を痛めた石森はならばと ラリアットで局面を打開。ここで椅子を抱えたTAKAがエプロンサイドに上がるが、勢いのついた倒立かかと蹴りがTAKAにヒット!あまりのダメージにTAKAは熊野と清宮に抱えられ退場。

450度スプラッシュは金丸が自力で返し、石森が乱入したタイチにアサイDDTでKO!金丸は飛びつきスイングDDTを繰り出し応戦。 石森はサイファーウタキから、背中への450度スプラッシュをを決める。しかし正調450度スプラッシュは回避され、金丸は石森得意のサイファーウタキをやり返し、勝機と見るやすかさずディープインパクトからのタッチアウト!金丸が自力勝利!
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タイチの介入は勝敗を決定づけなかったため、金丸が知略を駆使して石森を退けた良いタイトルマッチでした。内容は良かったです。ただしさすがにタイチと一緒にかつて6度も戴冠し慣れ親しんだGHCジュニアのベルトを笑顔で踏みつけるのはいかがなものかと思いましたけれども……仕事としてそれをやらざるを得ないのか、本心でそうしているのか計り知れませんが私にとってはリング上で展開される戦いそのものが重要だと考えることにしています。

試合後には先程のタッグマッチで激闘を繰り広げた4人が挑戦をアピール。トップロープに悠然と座る強豪金丸に4人が挑む構図はいいですね。タッグ2人同士で戦い挑戦するよう支持を下す金丸。世代闘争の面でも金丸ほど超えなくてはならない壁としてふさわしい人材は他にいないでしょう。タイチに「挑戦しろ!」の声もありそれはそれで見てみたいと思いました。

第6試合アーチャー・◯スミスjr vs潮崎・☓谷口
(18分32秒キラーボム→エビ固め)
全員ちゃんと100kg越えの純正ヘビー級によるタッグマッチはやはり迫力があります。潮崎とアーチャーが打撃と肉弾の応酬で開戦。連携においても挑戦者組が先制。谷口のラリアットを喰らいアーチャー劣勢もハイアングルチョークスラムで状況を打開し、場外戦に活路を見いだす。そしてシャラップ!で観客とコミュニケーション!

翌日の後楽園でみのるを相手に奥さんの引退試合に臨む谷口は、谷口コールをバックに力比べでスミスに逆転。しかし、潮崎が場外戦のダメージで復帰できないなか、ローンバトルへ再び移行。アーチャーはショートレンジラリアット、豪快なギロチンドロップで追撃し、谷口危うし!

その後もアーチャーのパワー攻撃を受け続けるも、谷口はカウンターラリアットで脱出。代わった潮崎は連携技を受けながらもチョップを上手く交えて2人を相手どり応戦して良い動きを見せる。アーチャーにハイアングルボディスラム、場外へトペ!しかし、トップロープからの攻撃はエルボーで迎撃されてしまう。

合体ラリアットの連携技を互いに繰り出しあい、潮崎のゴーフラッシャーは決まるも浅く、谷口のマイバッハプレスは、まともに決まるも、スミスが中山レフェリーの足を引っ張り阻止。アーチャーのブラックアウトは逃れ、谷口は反撃のチョークスラム!しかしスミスがコーナーターンバックルへのパワーボム、パワーボムからジャックナイフ固め!まさかの小橋ムーブにニヤリ。

耐えに耐える谷口だがさすがにスタミナ切れで打撃の威力が落ちると、とうとうキラーボムを喰らってしまう。救援の潮崎もキラーボムを被弾。フォールを谷口は自力で返すも、さらに駄目押しのキラーボムを喰らうとさすがにこれは返せず3カウントを聞く。KESはV7に成功。たしかにレフェリーの足を引っ張っての3カウント阻止はあれどもセコンド介入はさせずで今回も横綱相撲。良い戦いぶりでした。グローバルタッグリーグ戦で当然決勝に出て来ることになるでしょうし、次回は三沢・小川のV7がかかったV8戦になるわけですから注目です。

潮崎・谷口の動きは決して悪くはなかっただけに惜しい。潮崎が途中からあまり救援にいけず結果的には谷口を見殺しにしまったのは残念。もう少し全面に出ても良かったのにと思いました。

谷口はほとんど一方的に防戦に回る展開になってしまったのは、マイバッハ谷口となってスタイルがパワー・ラフファイト方面に寄りすぎてしまったからだと思います。パワーが相手のほうが上である以上はパワーだけで挑んたら、体格にまさるKESにパワー負けして押さえさえこまれてしまうというわけです。流れを変える技はラリアットやパワースラムくらい。谷口周平が得意としていたスープレックスが出せればあるいは違った結果になっていたかもしれません。もちろんマイバッハ谷口としての日々は無駄ではありません。ハイブリッドな存在"マイバッハ谷口周平"になれるかどうかがベルトを巻けるかどうかを左右することでしょう。

第7試合 GHCジュニア ◯杉浦vs☓中嶋
(29分40秒雪崩式オリンピック予選スラム→体固め)

丸藤・齋藤・ヨネをセコンドに従え中嶋は精悍な顔つきで入場。一方王者杉浦はこの日はGWDではなく重低音の曲で鬼気迫る殺気を漂わせ入場。向かいあう勝彦・杉浦双方に盛大なコールが送られる。

緊張感漂うロックアップ。互いに蹴りを放ちあるいはかわし、途中から勝彦が胸板へのキック連発で優勢に。しかし場外戦で勝彦を杉浦は痛めつけ、リングでも非情のストンピング連発、強烈なエルボーバット!やはりこの男、全身これ凶器。椅子など不要なのではないか。

中嶋は首4の字固めを脱出するも、杉浦はエルボー、スピアー!倒れ伏す中嶋を叱咤し、都度立ち上がる中嶋に、杉浦は顔面へのビッグブーツ連発!中嶋はドラゴンスクリューで流れを引き戻しミサイルキック!しかしコーナーへ追い込まれビッグブーツとランニングニーを被弾。

雪崩式ブレーンバスターから逆エビ固めで絞り上げる杉浦。勝彦コールの中なかなか抜け出せず長い長い拘束の末ロープに逃れるもグロッキー。エルボー合戦は押されるもカウンターキック!互いの顔面にフロントハイキックの打ち合い!

杉浦のスピアーをヒザで迎撃し、バーティカルスパイク(垂直落下式ブレーンバスター)を決めるもこれはニアロープ。コーナーにもたれる杉浦に追い打ちのトラースキック3連発!杉浦はターンバックルジャーマン、ダウンするエルボー連発で反撃も。中嶋カウンタードロップキックで両者ダウン。両軍セコンドが乱闘となりバックステージへ。

杉浦が中嶋にオリンピック予選スラムもフォールへはいけず両者ダウン。ここで遅れて加勢に駆けつけたデスペラードをなんと清宮が排除する。杉浦は晩年のミサワが見せたような後頭部エルボー連発、中嶋はカニばさみで杉浦の顔面をコーナーに打ち付ける。しかし杉浦の左ラリアットがカウンターで炸裂。その後は凄まじいキックとエルボー合戦が終わらない。

おびただしい数の打撃を打ち合い、徐々に押し始めた杉浦が、グロッキーの中嶋をダウンしたままエルボー連発。 椅子を取り出すも西永レフェリーともみ合い、中嶋がドロップキック。巻き込まれて西永レフェリーは場外転落。杉浦は強烈な利き腕の左の張り手連発!さらには左のナックルを鳩尾の急所に一撃!

ここで鈴木みのるが悠々椅子を差し入れ。恐ろしい打撃の数々を放つ肉体に凶器が加わり、鬼に金棒状態。杉浦が椅子を中嶋の背中に振り下ろすこと3度、あまりの衝撃音に場内が凍りつく。そして顔面への椅子フルスイングで中嶋は大流血。フォールは返すも、杉浦は中嶋を無理やり引きずり起こして、かつて秋山や真壁に繰り出した禁断の雪崩式オリンピック予選スラム葬!

中嶋の制裁マッチの様相を呈して、怖い杉浦を見ることができました。打撃の恐ろしさを散々見せつけておいて、ダメ押しトドメのイス攻撃はえげつないの一言。中嶋はよく耐えてタフでしたが、蹴り以外の攻撃に乏しく試合展開の幅が今後の課題でしょう。中嶋は健介と北斗を受け継いでノーザンライトボムを使ってみるのもいいのではないかと思います。みのるからフォールも取ったことも今回の杉浦との抗争も得るところは多く、中嶋は確実に前進しました。

試合後はみのるが丸藤と杉浦を鈴木軍興行での対戦相手に指名。試合後リングに投げつけられた一本のいろはすは入場パフォーマンスにペットボトルに水を使うランス・アーチャーへの差し入れでないことは明らかですが、何であれ後味を悪くする行動は慎むべきでしょう。試合後のやり取りでは言われっぱなしではなくNOAH勢も言い返すところは言い返せば、全然雰囲気は違うのにと思います。

とはいえ今回の興行の試合は、介入や凶器攻撃は勝敗を決定づけたわけではないので内容はしっかりしており、個人的には良かったです。そう思えるのは、GHCのベルトを何度も防衛した杉浦と金丸が王座に君臨しているだけに、鈴木軍に占領されている感じが去年ほどしないのも要因なのでしょう。4月はグローバルタッグリーグ戦。今日は私の29歳の誕生日ですが、思えばノアを初めて観戦したのは21歳の時グローバルタッグリーグ戦の初開催でした。KESに挑むタッグチームがどこになるのか楽しみです。