馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

「SMILE」川口雅代(as片桐彩子):シンガーソングライターとキャラクターの高度な融合!【名曲紹介60】

初代ときめきメモリアルのキャストは、実はほぼ専業の声優はいない。そのなかで、シンガーソングライターの川口雅代(敬称略、以下同)が声を担当したのが、片桐彩子だ。その昔、「ゼロの使い魔」を書いたライトノベルの大家、故・ヤマグチノボル先生はテキストサイト「Hexagon」で「片桐彩子日記」のコーナーを設け、SSを書いていたというのは有名な話だ。片桐彩子なくして、今日のライトノベルの隆盛はなかったのかもしれないのである。

f:id:MrBizSupport:20200928222424j:plain

ソーリー、話がいきなり脇道にそれた。しかし、片桐彩子というキャラクターは、日本文化の歴史においてそれほど重要な人物なのである。縁語や洒落を交えた名前が多いときメモキャラにおいて、片桐彩子とは普通な名前だが、「1」の中では比較的変わった人物だ。それというのも、会話の途中に英語を交えながら話すので、さながらルー大柴といった風情だ()。とはいえ、慣れれば自然と馴染むもので、さばけた性格で付き合いやすいフレンドリーな人物だ。

劇中では、「芸術(美術・音楽)」のパラメータを象徴する人物でもある。H・R・ギーガーをもじったと思われる"ギーガー"の展覧会が好きだったり、カラオケでは最初は恥ずかしがりつつも特殊イベントで「恋はほどほどに」という曲を歌ってくれるのだ。水は苦手で、水泳の授業をエスケープしたり、プラネタリウム、夏合宿の肝試し食中毒などのイベントもある。これらのイベントも印象的だが、片桐さんは下校時に誘いを断ることがほぼない気さくな人物だ。特別な思い出よりも、ふとした帰り道のほうが印象的なことは現実の恋愛にもままあることだ。
そんな片桐さんの人気だが、「ドラマシリーズvol.2 彩のラブソング(あの「メタルギアソリッド」の小島監督の作品でもある)」でもヒロインとして抜擢されている。時を経て「スーパーボンバーマン R」にてなぜか片桐彩子ボンバーとして参戦しているのだから根強い人気ぶりだ。
もちろん、そうした人気を支えるのは川口雅代さんのボーカルの寄与が大きいと言えるだろう。以下のように、経歴があまりにもマルチで只者ではないお人だ。

東京都立日比谷高等学校を卒業。日本大学藝術学部演劇学科在学中の1981年、文化放送のミスDJリクエストパレードでデビューし、シンガーソングライターとして活動。歌手デビューのきっかけは、大学時代及び文学座養成所在籍時代に組んでいたバンドのデモテープがレコード会社のディレクターの手に渡ったことだった。同年TBSのドラマ『2年B組仙八先生』でマドンナ役に抜擢され女優デビュー。大学卒業後は数々のテレビやラジオ番組の司会やパーソナリティとして活躍した。1995年にテレビやラジオの特派員として渡米。米国在住でNHKや毎日放送ラジオ等)のフリーのリポーター、ジャーナリストとして活動しているそうだ。

 そんな川口雅代さんが時に作詞・作曲もする片桐彩子名義のイメージソングは、名曲揃いだ。とりわけ、キャラクター・イメージアルバム「message」は名盤で、ファンク、スウィング・ジャズ、ウォール・オブ・サウンド、シティ・ポップといったアメリカンなサウンドを広く内包する、まさに"彩り"あるアルバムである。
今回紹介する「SMILE」は、「ときめきメモリアルボーカルコレクション」に収録されている。川口雅代さんは自身のアルバムとして、1981年の『SALUTE 〜ご・あ・い・さ・つ〜』に加えて、、1998年発売の『masshy@love.net』 では「SMILE」 はトリを務めている。

「SMILE」の布陣は、以下の通り。
作詞/作曲:上田誠 編曲/演奏:古川もとあき
ドラム:たっぴー ギター:古川もとあき
ベース:白石慶一 コーラス:広谷順子&木戸やすひろ

「SMILE」は、 ゲームのキャラクター"片桐彩子"とシンガーソングライター"川口雅代"が、高度に融合した一曲と言えるだろう。「SMILE」というタイトルと裏腹にどことなく憂いを秘めた旋律に、吐息がにじむ語尾が色っぽく、官能的な雰囲気を漂わせている。片桐さんらしい英語交じりの歌詞とその一方で意外にも落ち着いた曲調は"追憶 "―ときめきメモリアル"というモチーフにふさわしくデザインされていると感じる。リフレインとバックコーラスが心地よく、永遠に聴いていられる名曲と言えるだろう。
ときメモ関連記事の総まとめ・目次
あなたの音楽体験を豊かにする一品!