2014年に結婚後、妻とは一緒によくアニメを見るようになった。とはいえ、供給が多すぎるこの時代、毎クールどのアニメを鑑賞するかは、悩みの種だ。そこで私は、茅野愛衣(敬称略、以下同)とその名パートナーである松岡禎丞が出演しているかどうかをアニメを見る指針にしている。さらに贔屓の声優である日野聡、佐藤聡美、悠木碧も加えると概ね、そのクールに放送される40~50本くらいのアニメを10本くらいに絞る事ができ、最終的には少し削って5~8本くらいを見ることになる。
さて、今日は2013年7月 - 9月に放映されたアニメ「犬とハサミは使いよう」から、
キャラクターソング7「儚き季節に舞う蝶よ」姫萩紅葉(茅野愛衣)、を紹介しよう。はっきり言ってマイナーな曲だが、聴く価値がある曲だ。
「犬とハサミは使いよう」自体なかなかおもしろいアニメで楽しませてもらった。この状態で一体どうやってストーリーを展開できるというのだ!?とワクワクしながら見た作品だった。あらすじをざっくりいうと、強盗犯に殺害されるもなぜかミニチュアダックスフントへ転生した読書バカの主人公と、何かにつけてハサミを持ち出しては主人公を罵倒する人気作家なヒロインを中心に繰り広げげられるドタバタ劇で、非常にユニークで愉快だ。
茅野愛衣演じる姫萩 紅葉(ひめはぎ もみじ)はというと、ほんの数回しかアニメではセリフはない(!)秋山忍や秋月マキシと並び、文壇を賑わせている謎めいた若手人気作家の一人という重要な役割なのだが、いかんせんアニメは1期だけなのだ。アニメでは活躍出来なかったが、キャラソンは絶品の名曲になったのは幸いというべきか。
歌詞の内容は、仕事・趣味双方で書くことをライフワークにしている私にとっても響くものだ。儚き世の中で、言の葉を蝶のように解き放つのだが、どんな人が読んでくれているのだろうと思いを馳せるのは名状しがたい気分だ。それを彩り豊かに言語化しているのが、「儚き季節に舞う蝶よ」だ。アニメ本編でほぼしゃべるシーンがなかったにもかかわらず、見事に歌詞の世界を歌に乗せた茅野愛衣の技量は流石である。上品な声色が実に曲調にもマッチしている。
メロディーも渋さが光る。冒頭サビからAメロ、1番と2番をつなげるブリッジは特にかっこいい。言葉と言葉の間の伴奏も絶妙だ。何度聴いても飽きることのない深みを持っている。噛めば噛むほど味が出るとはこのことで、好きな本を繰り返し読んでしまうのに似ている。「儚き季節に舞う蝶よ」はAmazon Music Unlimitedでも配信されているので、是非一度耳を傾けてほしい。
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