馬車郎の私邸

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【観戦記】プロレスリング・ノアGLOBAL Jr LEAGUE 2020 サイバーエージェント傘下入り初の大会は大盛況!20/1/30

サイバーエージェントによるノア完全子会社化の翌30日は、GLOBAL Jr LEAGUE 2020決勝戦の大会。観衆は998人。1番安い後楽園ホール南側B席の外周部がやや埋まらない平日の大会の典型的な動員。しかし、最近ではYoutube無料生配信を並行して行う、将来に向けた種蒔きを行っている。そのことを考えれば間口は広がりつつあるし、生配信があっても平日夜に後楽園ホールに駆けつけるコア顧客は約1000人いることになる。ここがしっかり固まってきた点は大きい。

この日は早速DDT UNIVERSEを活用して配信を行ったのだが、想定以上の負荷がかかったのか、配信トラブルに見舞われた。しかし、迅速な対応でスマホ生配信でカバーしたのは良かった。この期に、サーバー増強をサイバーエージェントに要請する口実ができたかも(?)。だが、映像は資産でありメインコンテンツ、それを届けることで団体は収益を得る事ができるし、生観戦という"コト消費"の価値が高まろうというものだ。真剣に再構築する必要がある。
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第3試合
ヨネ、○ストームvs×井上雅央、齋藤彰俊
11分35秒 ファンキーバスターボム → 片エビ固め

契約満了に伴い、ひとまずストームのラストマッチ。初めて見たのは難波の支店に勤めてた時に行った梅田ナスキーホール大会。良いレスラーだなと思ってたらNOAHにきたので驚いた。上背がないのに50cmもの腕周りに鍛え上げ、チョップ、ラリアット、フェースバスターとかだけで試合を組み立てているのはすごいと思う。

この日はこの試合から見たのだが、席につくとちょうど齋藤さんの超滞空式ブレーンバスターから。最初のファンキーバスターボムは齋藤さんのニールキックなどの妨害で未遂に終わるも、2回めで決め、有終の美を飾った!去就は気になるところだが、また上がってほしいし、DDTや他の団体に上がるのだとしてもうまくいくと思う。ありがとう、ストーム。

第4試合
○原田大輔vs×大原はじめ
15分45秒 片山ジャーマンスープレックスホールド
※原田大輔が優勝決定戦に進出

ノアジュニアを象徴する濃密な戦い。立ち技、グラウンド、ロープワークも交えた攻防、あらゆるところで互いの動きを知り尽くして先を読むハイレベルな攻防が展開された。ペースを掴んだ大原が7色のバックブリーカー。風車式などに加え、ボディスラムからの旋回式、弓矢固め風にカナディアンの体勢から担ぎ上げたところからなど多種多様なバックブリーカーが炸裂。

かなり腰を痛めた原田だったが、やはりニーアッパーがえげつなく随所で決まり、片山ジャーマンで大原を紙一重で振り切った。かつての金丸のような安定感を今の原田には感じるが、大原も実力者だけにどこかで栄冠がほしいところだ。川崎での活動も併せて、さらに花開いてほしい。入場曲を「Flower」に戻してくれて嬉しいから、もっと勝ち名乗りの際に聞きたいんだ。

第5試合
ディック東郷vs小川良成
8分31秒 クロスフェースロック
※ディック東郷が優勝決定戦に進出

名人芸の対決。ほぼグラウンドの展開で小川がコントロールしていた。 クロックヘッドシザースからキーロックにダブルリストロック、首・足4の字固めに、何でも出てくる小川空間。しかも、東郷もそのテクニックを駆使して、あらゆる脱出法を試みるが、その上を行く小川…ととにかくやり取りが見ていて飽きない。いつまでも見ていたかったが、クロスフェースロックに対してはあっさりギブアップ。肩のコンディションもあるのだろうが、少しもったいなかったかも。
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第6試合
金剛軍VSNOAH育ち&田中稔混合軍
(○拳王 ×宮脇)19分14秒 P.F.S → 片エビ固め

覇王、仁王を加え陣容を強化した金剛に対して、宮脇、熊野、清宮らが生き生きと応戦。丸藤を狙う覇王はややまだ間合いがつかめていないものの、挑みかかる構図は良かった。田中稔もとても元気で、かつてのパートナーHi69あらため仁王と戦いを繰り広げる。仁王は肉体改造してからやはり動きにキレがある。あらたなフィニッシュホールドもそろそろ欲しいところだ。

稲村、北宮、拳王のヘビー級トリオの連携も堂に入っている。粘る宮脇を拳王がプロのフットスタンプで仕留めた。新・親会社のサイバーエージェント云々のセリフを期待していたところ…むしろ、元親会社のリデット・エンターテインメントに関して感謝の意を述べる期待以上の展開に

「もう親会社が変わったとか、そういうニュースはこりごりなんだよ!オレたちプロレスラーはリングの上で結果を出すんだ。フロントなんて関係ねえんだよ!」としつつも、「一言だけ言わせてくれ。ノアのブランド力は去年めちゃくちゃ高くなったよな。しかも、スポンサーとしてもこれからも残ってくれる…だと…!元親会社のリデット・エンターテインメントに言いたいことがあるぞ。ノアのために強烈な努力をいただき、誠にありがとうございます」

これは熱い展開だ。反体制勢力として、ファンの言いたいことやリアクション、不安・不満を先回りして、リング上の戦いへと昇華させていく拳王の動向にこれからも注目だ。そして何よりも、リデット社の熱い支援に対して、今までもこれからも感謝していきたい。事業継続に関する判断はとても適切な決断だったと思うし、営利企業であるにもかかわらず、ここまで尽力してくれることにはとにかく感謝しかないんだ。

第7試合
杉浦貴、○藤田和之、鈴木秀樹vs潮崎豪、中嶋勝彦、×谷口周平
18分55秒 スリーパーホールド →レフェリーストップ

新王者・潮崎が藤田に対して、真っ向勝負を挑む。ロックアップからグラウンドへ緊張感ある攻防が続く。普段はスタンディングでの戦いが主体に見える潮崎が、かなりしっかり対応していて、潮崎にはまだまだ見せていない引き出しがあるなと感じた。藤田も意気に感じたのか、がっちり受け止め、ノアの戦いにどっぷりつかっているように見える。真壁刀義選手の自伝でなんとなく人となりはうかがい知れるが、リング上の不敵な笑みは最近どことなく楽しそうにも見える。

かなりの大ダメージを受けているにもかかわらず、藤田がとにかく粘って、最後は谷口をスリーパーで沈めた。試合後は潮崎がやる気満々な鈴木秀樹をスルーして、次期挑戦者に藤田和之を指名。鈴木秀樹はパートナーに責任を取らせるべく、中嶋勝彦にシングルマッチを要請。さらには、新しい景色をいつもキーワードに掲げる清宮が杉浦のナショナル王座に挑戦を表明。普段は割合甲高い声の杉浦が、最初は清宮を嬉しげに迎えるも突如怖い声色に変わり、「20年だ。良い景色も、悪い景色も、見たくもねぇ景色も見てきたんだよ、全てをな!俺の地元名古屋でやるぞ!」と凄みのある挑戦受諾だった。
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第8試合
○原田大輔vs×ディック東郷
19分43秒 片山ジャーマンスープレックスホールド
※原田大輔がGLOBAL Jr. LEAGUE 2020優勝
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すでにここまでメインイベント級の激闘が続出しており、お腹いっぱいだったのだが、贅沢にもジュニアリーグの決勝戦があった。冒頭の奇襲、大☆中西式、最後は2初連発と合計4発もの片山ジャーマンを放った原田大輔が、老獪な攻め手で散々苦しめたディック東郷を振り切った。

当初このジュニアリーグの決勝戦はメインイベントではなかったのだが、格上げになったのだという。16人ものジュニア戦士たちの力だ。ラーテルズとスティンガーの攻防は円熟の極みに達しており、どんな組み合わせでタッグ・シングルでぶつかっても面白い。

さて、ケチな私だが、横浜文化体育館は妻の分も併せて2枚のチケットを買って、のあのあくじをつい2回分やってしまった(2009年以来NOAHを見てきたので、杉浦と潮崎を選択しているのは自然だろう)。そんな気分にさせてくれたのはNOAHの戦士たちのファイトと、新旧の親会社とDDTまでもが絡む新たなビジネスチャンスなのだ。可能性が広がったことにワクワクしている。シンプルだがそれが全てだ。