「襟なしのシャツに 10月が来ても夏は終わらない」ため、今日はこの曲を紹介しよう。夏といえばサザンやTUBEも好きだが、繊細かつ爽やかでメロディアスな曲ということでは、杉山清貴&オメガトライブも注目できる。
「ガラスのPALM TREE」「サマー・サスピション」「愛を巻き戻して」なども気に入っているが、物悲しいこれらの曲よりも万人向けなのは「ふたりの夏物語」だろう。日本航空「JALPAK'85」CMソングとなったこの曲は、杉山清貴&オメガトライブ最大のヒット曲となり、オリコンチャート上では38万枚を売り上げたそうである。
軽快なキーボードの伴奏、堅実なドラムスが刻むビートに、杉山清貴の伸びやかで清涼感のある歌声が実によく映える。疾走感があり、夜のドライブにも合いそうだ。歯の浮くような歌詞が、逆に思い切っていて、とても良い。フレーズはキャッチーで、音節の区切り方もわかりやすく、しかも情景が目に浮かぶ。
流星に導かれ 出会いは夜のマリーナ
ルームナンバー砂に 書いて誘いをかけた
キールのグラスを頬に当てて
本気?と笑ったマーメイド
ONLY YOU 君に囁く ふたりの夏物語
ONLY YOU 銀のビーチで 濡れた素肌抱きしめ
涙を海にかえすのさ JUST ONLY YOU
驚くべきは、作曲の林哲司によるとこの名曲は3日間で完成させたということだ。当時、林はあらゆるアーティストの楽曲の制作に追われていた中、オメガトライブのJALのTV-CMのタイアップが決まり、、関係者から「Only You 君にささやくふたりの夏物語」という一節だけがキャッチコピーとして渡され、ただちに作詞の康珍化とともに楽曲の制作に入ると、わずか1日で曲を書き上げたという。つまり、作曲・作詞は計2日。
さらに、当時全国ツアー中だったメンバーをツアーの合間を縫って帰京させて即座にレコーディングするという早業で完成させてしまった。杉山清貴によれば「突貫工事的な作業であり、九州から東京の飛行機の中で歌詞を覚えた」そうである。これで合計3日というわけだ。
突貫工事だからこそ、かえって余計な要素がそぎ落とされ、エッセンスが凝縮されてシンプルなものになったのかもしれない。ちなみに、ふわっとしたエフェクトがかかったCD版よりも、ライブやTVの歌番組の歌い方のほうが好きだ。いろいろ聞き比べる楽しみがある、深みのある曲でもある。
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