馬車郎の私邸

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坂本真綾「逆光」の歌詞で読み解く日銀・金融政策決定会合を控えた市場関係者の心境

明日の日銀・金融政策決定会合を控えて、イールドカーブコントロールおよびETF年間6兆円買入の見直し観測にマーケットが戦々恐々としている様子が、坂本真綾「逆光」の歌詞にフィットしているかのような錯覚さえ覚える。

通常、中央銀行は短期金利、政策金利の上げ下げをすることで金融政策を行う。長年、日本はいわゆるゼロ金利政策を続けてきたが、そのような"質的"な金融政策では、"俗にいう"デフレを脱却することは出来なかった。日本は市場から国債を買い入れる"量的"金融緩和に先鞭をつけ、リーマンショック後の金融危機でFRB(連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)をこれを真似するようになった(ただし、今は正常化に向かっているところだ)。

それどころか、長期金利、市場で取引されている10年国債利回りを0%程度(曖昧な文言だ)に誘導する異例の金融政策を日銀は行っている。長い金利(10年債)、短い金利(政策金利)を共に押し下げて、これを日銀はイールドカーブコントロールと称している。

日銀はそれに飽き足らず、ETF(特定の指数、例えば日経平均株価や東証株価指数TOPIX等の動きに連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託)を年間6兆円(元は3兆円、更にたどると昔はもっと少なかった)も買い入れるという世界でも類を見ない金融政策を採っている(スイス中銀が多少似たような手段をとったこともあるらしいが、少なくとも規模感は段違いであろう)。

注視しておきたい米10年・2年国債利回りの逆イールドカーブ化で書いたように、グローバルに投資家は金利情勢に敏感になっている。低金利、低変動率、程よい企業業績及び景気拡大のそろった2017年のぬるま湯相場、すなわちゴルディロックス相場に慣れきった投資家は、1、2月相場の米国長期金利やVIX指数(S&P500種の予想変動率)の急騰で不意を突かれたばかりだ。

前週から報道(あるいはリーク?)からか、イールドカーブコントロールの誘導目標の見直し、ETFの購入配分の見直しなどが思惑しされるようになり、にわかに警戒感が高まっている。

30日の日本の債券市場では、長期金利が一時0.110%と前週末比0.010%上昇(債券価格は低下)し、2017年2月3日以来の高い水準となった。23日と27日に続き、日銀は午後2時、0.100%の利回りで無制限に国債を買う「指し値オペ」を実施すると発表した。

このように、30-31日の日銀・金融政策決定会合を前に、株式・債券、為替市場の関係者は戦々恐々としている。第2部「Fate/Grand Order -Cosmos in the Lostbelt-」の主題歌、坂本真綾「逆光」の歌詞が市場関係者の気分を表現しているように思えるので以下に連々と書いていこう。

憂鬱だった いつも目覚めると 同じ天井があって
(天井?の長期金利0.1%を超えてくると指し値オペで日銀が指定した利回りで無制限に買入、干上がる国債市場債券トレーダーの憂鬱

現実だって思い知らされる ここには出口がない
(上を買うわけでないけど仕手の本尊は中央銀行、国債は満期が来れば償還するが、時価ベースで20兆円を超えて積み上がるETFはどうすんの!、嗚呼、もはやホテル・カリフォルニア!!!)

どうやって終わらせるの 完成も崩壊も 永遠に訪れない物語
(米欧が金融緩和正常化に向かうなか、どうするつもりなんだ…日本以外前例のない異次元緩和)

もう運命が決まってるなら 選べなかった未来は 想像しないと誓ったはずなのに
(国債買入だけならともかく、マイナス金利は必要だったか?ブレクジット騒動のあとの2016年7月会合で年間3兆円から6兆円へETFの年間買い入れ額を増やす必要はあったのか?)

微睡(まどろ)みの淵で 私は優しい夢を見る 幻と知りながら
目標である物価上昇率2%

あなたに駆け寄って もうすぐ指が触れる そして微笑みながら目覚めるの
「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」by黒田日銀総裁

参考記事:1.29.日銀のマイナス金利付・量的質的3次元金融緩和の一日
英国EU離脱・狂乱相場を巡るツイッター上の反応まとめ



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