馬車郎の私邸

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絶好調のニトリHD決算説明会に行ってきました。

アナリストの見習いとして、企業の決算説明会に参加する機会が多くなりました。特に営業マン時代にお世話になった会社では、さる3/28にニトリHDの決算説明会に行ってきました。昨年の急な円高局面では抵抗力があり、とても役に立つ銘柄でした。というのも、ニトリは製造物流小売業を標榜しており、海外で生産した家具や日用品を輸入しているため、むしろ円安がデメリットだからです。

ニトリの株価は現在でも、米利上げ後の出尽くしや北朝鮮情勢の緊迫化、米国の通商政策への不透明感で円高進行と株価の下落が進む中、値持ち良く高値圏で推移しております。備忘用メモを作ってたのがもったいないので、日頃ニトリをご利用されている方や、そうでない方にも、そして投資にご関心のある方にシェアしたく思います。
jp


白井社長コメントでは、足元の業績と来期の見通しはいずれも2桁増収増益で絶好調です。今回の決算で、30期連続増収増益達成となります。
17/2決算実績と18/2予想(単位:百万円)
nitori


新規出店は順調です。合計471店舗←前年比+51店舗増 (国内計45店舗増、国内の店舗数は428店舗。海外の出店は台湾・中国で各3店舗を出店し、台湾27店舗、米国5店舗、中国11店舗と合わせて海外43店舗に)。買い上げ客数は7007万人(前年6050万人)にも及びました。17/2期の儲けの方はというと、営業CF 779億円(+206億円)、フリーキャッシュフロー 359億円(+144億円)、 現金660億円(+293億円)と手元のお金もリッチになっています。

既存店前年比では、売上高105.5% 客数105.5% 単価100.0% (家具105.5%、ホームファッション101.1%)となっている模様。家具の割合が下がり、ホームファッションの割合が増えた。このことにより、製品ミックスの変化による単価の変化が起こったが、客数増が寄与した。売上構成比の変化は、家具38.9%←40.2%(前年)、ホームファッション60.8%←59.7%、その他0.3%←0.1%となった。

Nクール、Nウォーム、Nスリープが好調、さらに多彩な色・サイズ・デザインから組み合わせを選べる「NITORI STUDIO」のベッドフレームやソファが好調でした。

粗利益高(+14.3%)、粗利益率+1.0%(平均決済レート108円12銭から6円42銭円安により-2%、商品入替など原価対策で+3%)もしっかりです。

また経営の効率性を表す指標も改善が更に進んでいます。
ROE16.6%←14.7%(前年)
損益分岐点比率65%←65.6%
売場販売効率98.1万円←93.8万人 都心寄与による
労働生産性1900万円←1843万円 人員+111%だが

トピックスを列挙していきます。
・季節性の高いトレンド重視のコーディネートがSNS上の反響で新顧客呼び込でいます。
・高機能商品 Nウォーム、Nクールは値上げせず品質向上、品種拡大を今後も継続する予定です。
・「NITORI STUDIO」の生地、デザインを増やす他、、さらに圧倒的低価格の壁面収納ポルテを投入します。
・Nスリープはラグジュアリータイプ、ハードタイプもラインナップに追加します。
・16/9より投入の低価格ブランドの「DAY VALUE」はカラーコーディネートをお手頃価格で楽しめます。カーテンなどが好評ですが、今後は食器や家電にも拡大を図ります。
・16/7よりニトリネットの商品を店舗で受取も可能にします、
・デジタルカタログにより、小型店舗品揃えを補完します。
・16/4/20オープンの関西旗艦店舗であるニトリモール枚方(ひらかた)は好調です。モールタイプの店舗は3つ目、18000坪、駐車台数1800台、56テナント入居を誇ります。
・法人事業も展開しており、映画館、医療機関、ホテル、オフィスにも納品(特に医療機関、ホテルに注力)しています。

都心部出店については、オープン間もない新宿タカシマヤタイムズスクエア店がすでに都内でも1、2を争う売上と好調な出だしです。付随して、高島屋の来店数は10~15%増えており、レストランも満員だそうです。。車持ってない方、特に20~30才台のお客様の来店が非常に多いとのことです。また、アトレ中目黒店は、アトレ初の出店、女性チームが店舗開発、おしゃれが売り。

小商圏にも取り組んでおり、イオン名寄(なよろ)店(北海道)、西友長浜楽市店(滋賀)などを出店。来店頻度増を図っています。日用品中心のデコホームの出店も順調です。51店舗←39店(前年)。社員については、14年連続ベアを実施、ホワイト500に選ばれました。


18/2期の主要施策は以下のとおりです。
・大規模な既存店改装(郊外店舗)を行います。都心店のノウハウを導入。80億円を投じて、約1割の60店舗を改装します。
・プライスブランド「DAY VALUE」、クオリティブランド「&STYLE」の育成
・3/15 3店同時オープン
東武池袋店 1023坪 現在の都心最大の旗艦店舗
マロニエゲート銀座店 903坪 旧プランタン銀座を2倍に増床
アトレ目黒店 659坪 JR駅ビルアトレ初の店舗
・渋谷大規模店 シダックスの旗艦カラオケ店だった『渋谷シダックスビレッジクラブ』の跡地を改修。地上9階建て、1800坪、6月オープンを企図しています。
・シャープの旧本社ビル(大阪市阿倍野区)の解体工事もスタート
・18/12期は61店舗新規出店で計532店舗体制へ
・為替前提は104円/ドルを想定して会社予想計画を策定します。

質疑応答では次のようなコメントがなされました。
・「2022年 中経1000店舗目標は変わらないか?」
変更なし。国内デコホーム更に加速。 現在11店舗の中国を今期10店舗新規出店、来期20店、来来期30店と増やしたい。

・「中国事業概況はどうでしょうか?」
既存店の伸び130%(前年比)と堅調。価格設定はユニクロなどは日本の1.6~1.7倍の売価だが、ニトリは日本と同じ売価で展開している。理由は日用品だから。現状の粗利は45%だが、いずれ日本と同様の水準にしたいとのこと。物流については、中国は元々ニトリの産地であるから問題なく機能している。

・「30期連続の増収増益となりましたが?」
仁鳥会長談:
「感無量だ。為替や景気のこともあるので増収増益は難しいので当初は考えていなかった。増収増益はもとは単なる社内目標だった。次は40期を目指したい。」

・「この30年で消費者の購買行動はどう変わりましたか?」
仁鳥会長談:
 食べることが第一という時代から豊かになり着飾っていくニーズにシフト。「1に安さ、2に安さ、3に安さ、4に品質、5にコーディネートと言ってきたが、今はちょっと違う」
「どの価格帯でもお、ねだん以上は大前提。2極化でモノがほしい人もいるが、おしゃれなものが欲しいという人も一方では増えている。安さや品質は他社もまねしやすいが、コーディネートはまねしにくい。急成長に人材は不可欠、スカウトは50人/年、今年の新卒は520人。研修費は上場企業の平均の4倍以上、米国研修を今年は1200人に。社員教育のお金には糸目をつけない。」

・「為替どうですか?」
仁鳥会長談:
「がっちりマンデーの年初経営者予想で3年連続で近い数値だった。
17年末日経平均16000円~17000円予想、夏から米国の政権運営難しくなる、秋冬はドル安円高へ。レンジは95~105円くらい。年後半のタイミングで為替予約したい。現状と同じく103~4円くらいが良い。景気サイクルは5年周期が多い中、米国はもう8年目。来年以降日米中欧は下降線へ。オリンピック後は、建物の値段は3割下がる。不景気でも増収増益できるよう今年と来年はしっかり備えて、不景気は投資のチャンスにしたい。」

・「アパレルやるんですか?」
検討しているだけ、取材に答えたのが独り歩きと釘を刺した。発表するときはしますとのこと。ホームファッションというフォーマットは現行はOK。ただし、国内店舗500店、ホームファッション500店で一度飽和するだろう、新事業やM&Aは考えていないが、繊維など応用きく分野は検討。

・「為替を円高に見ているにしては粗利上昇少ないのでは?」
分解して総合的に考えてのこの会社計画。 物流など経費増見込んでいるが、パッケージを小さくするなどして経費率を下げるなどの施策を実行中であり、今後も続けるとのこと。

・「都心部ニトリ」と「都市部ニトリ」ってどう違うの?
都心部:東京と大阪のいわゆる都心
都市部:首都圏、大阪、名古屋、政令指定都市
都心部ニトリの収益性は平均値は地方店と変わらない、ただし売り場効率の関係で店ごとの凸凹はある
デコホームの経常利益率はニトリよりも4~5%ほど低い模様
いずれは、ニトリとデコホームが同じモールに出店できるよう両立させていきたい。

・新商品のお勧めどうですか
武田商品開発部長談:
「フラミンゴ柄など春のコーディネート商品を多数ご用意。Nスリープのマットレスはポケットコイルの硬さ、数を調整し、少し硬めがお好きな方には特に好評を頂いている。Nクールは色、アイテム増、さらにひんやり感を改善しています。」とのこと。

以上、連々と備忘メモを整理してみました。懇親会では、似鳥会長に名刺交換と握手する機会をいただき、貴重な経験になりました。足元は不透明な環境下で円高株安になっていますが、4月現在、日本の内需企業は堅調な決算を発表した後、全体に逆行して高値圏で推移する銘柄が少なくありません。ニトリの他にもサイゼリヤ、良品計画、しまむら、セリアなどが好調です。

日本のマクロ経済統計を分析してみると明るい面は少ないですが、一方で厳しい外部環境と世界一厳しい目線の日本の消費者を相手に健闘している企業はたくさんあるのです。ニトリはそんな企業の一例です。

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※ご紹介した銘柄はあくまで決算内容のメモであり、筆者が購入を推奨する銘柄というわけではありません。投資は自己責任であり、本ブログの個別銘柄情報を根拠とした売買で読者様が損失を被った場合、その責任は読者様に帰属します。そうした損失に関して一切の責任を負いかねますことをどうかご了解の上、本ブログを利用していただければと思います。