馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

2016年、今年の漫画・アニメの話

ここはウェブ上の私邸ということで、普段会社の人とは話さないサブカルチャーの話ができるので、連々と今年読んだ漫画や、観たアニメの話をしながら振り返ってみたいと思います。

まず、ジャンプから。ジャンプ+のアプリで購読していますが、今年は色んな大きな作品が終わってしまったのでやはり誌面が寂しく思います。単行本は集めていませんでしたが、「こち亀」「BLEACH」のような長い付き合いの作品が終わってしまったのは大きいです。「暗殺教室」は松井先生がその構想力と精緻な作品作りで、メディアミックスを絡めても上手くまとめた稀有な作品でした。早く次回作が見たいです。

「ニセコイ」はジャンプ最長のラブコメ連載作品にはなれましたが、メインヒロイン千棘が魅力的すぎる小野寺を超えて主人公一条楽との関係を発展させていく過程が思うように描けず、不完全燃焼な終盤になってしまったのが惜しいです。楽と小野寺が自然と睦み合い惹かれ合うように作中で動いていたので、タイトルと当初のコンセプトを堅持して千棘と結ばれるENDは、放っておけば結ばれるはずの楽と小野寺が"見えざる手"により引き裂かれていく悲恋の恋物語へと変質してしまいました。当初の構想と動いていくキャラのバランスをどう調和させて物語を終えるかという難しい課題にはまりこんでしまった作品ではあったかもしれませんが、それでも好きな作品です。

様々な作品が終わったジャンプですが、次は「銀魂」がまとめの方向で最終章を進めています。今のジャンプでワンピースの次に長いご長寿作品ですが、映画と新アニメもやることですし、納得のいく形で物語を完結させてほしいものです。「僕のヒーローアカデミア」はジャンプの未来として頑張って欲しいところ。

一方で「りぼん」は春田、酒井の2枚看板に、復活した槙よう子と長期連載の次回作の雪丸もえが脇を固め、そこにさらに、村田真優、柚原瑞香、黒崎みのり、いしかわえみといった新進気鋭が連載中。重厚な誌面となっており非常に読み応えがあります。春田なな「つばさとホタル」、酒井まゆ「キミとだけは恋に堕ちない」はいずれも手堅い作品作りで、ふたりともベテランの格となり、いよいよ円熟の感があります。

Cookieでは、高須賀由枝「グッドモーニング・キス」が相変わらず、「グッドモーニング・コール」のドラマ版もなかなかおもしろかったです。椎名あゆみ「三日月と流れ星」で久々の連載となり、柔らかいタッチで懐かしい私好みの作品です。種村有菜「31☆アイドリーム」「悪魔にChic×Hack」は今までとはまた違った作風で若干戸惑いました。
(・春田なな先生&酒井まゆ先生サイン会
酒井まゆ&春田なな 作品紹介&レビュー
椎名あゆみ&高須賀由枝 作品紹介&レビュー、そして2003年前後のりぼんについて

他に少女漫画(?)「月刊少女野崎くん」は安定の面白さ、「私がモテてどうすんだ」は六見先輩の器量の大きさに妻ともども惚れてしまいました。結婚したい。アニメも画伯こと小林ゆうの怪演が光ります。「逃げるは恥だが役に立つ」は社会派的な読み方もできる一方、奥手な2人の可愛い少女漫画として読めます。

「3月のライオン」は将棋棋士と周りの人々の生々しい心の内面をえぐり出す出色の作品です。「ReLIFE」もまた明るい話ではないですが、人間の内面に深く迫る作品です。「昭和元禄落語心中」もまた怪しい魅力を備えています。

男女問わず気楽に読めるということでは、高津カリノ3作品が挙げられるでしょう。アニメがちょうど終わったところですが、「www.WORKING」の5巻は物語のその後のラブラブぶりが楽しめますし、「WORKING!」のほうの佐藤くんや八千代さんに山田、相馬さんが絡んでくるのでこれがなかなか楽しいで「SERVANT×SERVICE」もあらためて漫画とアニメの両方を見ましたが、茅野愛衣が演じるルーシーが思いの外可愛らしく、辛口な妻が意外と高評価でした。新連載の「ダストボックス2.5」は変な人達しかいない声優事務所の話とあって作者の持ち味が期待できそうです。

「ご注文はうさぎですか?」はあらためて虚心坦懐に観ると、漫画アニメともに非常に丁寧な作り込みが感じられる癒やしの作品。特に街の雰囲気と色彩感覚のバランスが良いです。勢いのある若手声優陣の演技も聞きどころです。

「信長のシェフ」はもはや1ジャンルとなった"信長もの"の作品でも随一のおすすめです。繊細な料理描写と歴史上のイベントを絡めた作品作りは非常にレベルが高いです。池波正太郎の剣客商売が好きな人とか特にハマると思います。

「冴えない彼女の育て方」は小説、アニメ、漫画いずれの媒体も味わいがいのある骨太の作品です。キャラにはあまり入れ込まない私ですが、霞ヶ丘詩羽先輩にはすっかり参ってしまいました。

「盤上の詰みと罰」はあまり知られていない作品かもしれませんが、隠れた名作で要注目でしょう。1ヶ月ごとに記憶を無くしてしまう将棋棋士の旅を描くという一風かわった話で、多角的な読み方ができる深淵な漫画です。

「ソードガイ ー装刀凱ー 」は私が一番大好きな特撮「ジェットマン」の監督雨宮慶太と脚本井上敏樹の名タッグに、サークルの大先輩木根ヲサム先生が描いており、台詞回しもキャラクターもとんでもなくかっこよいです。今年アニメ化もされた田中ストライク先生「SERVAMP」は、若い女性にも人気のようで、アニメも濃厚に凝縮されたいいまとめ方でした。前にも書いたとおり、心情描写がとても丁寧な一方、少年漫画的な要素もふんだんにある作品なので男性にも是非読んでほしいです。
(田中ストライク先生「SERVAMP」アニメ化を祝してWSMK35周年記念パーティーを振り返る。

末筆ながら、今年も当ブログにお越しいただきありがとうございました。
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