馬車郎の私邸

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嫁がどてらを突如プレゼントしてくれたので、時代を先取りしすぎたときメモ2ヒロイン水無月琴子について語る。

家に帰ると、嫁が”どてら”をプレゼントしてくれた。体と心をいたわってくれる嫁の気遣いに感謝感激だ。ありがとう。おかげでこの冬を乗り切れそうだ。そんな嫁はこの記事を書いている私の隣で同人誌の原稿を描いている。

どてらのプレゼントということで思い出したのは、古典的なゲーム「ときめきメモリアル2」のヒロイン水無月琴子だ(以下水無月さん)。なんとこのヒロイン、誕生日プレゼントにどてらをあげると喜ばれるのである。くしくも今日は12月2日。なんと水無月さんの設定上の誕生日と同日ではないか。どういうことなの・・・
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さて、水無月さんというキャラクターに与えられた属性はざっくりと大別すると①和風美人、②ツンデレ、③メインヒロインの親友の3つである。

①和風美人については、基礎的な属性から見ると、以下のとおり一目瞭然だ。
・趣味 :お茶を飲みながら読書 、俳句、川柳
・部活:茶道部
・好きな物 :日本茶と和菓子 、わびさび、風流
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②ツンデレについて、当時この言葉は存在していなかったけれども、このキャラクターの一面を表している。最初はつれない態度ばかりである一方、時間をかけて距離を詰めていくと違った側面が見えてくる。小菅真美さんの演技と相まって、ゲームという表現媒体の奥行が行かされた良い事例と言えよう。( 小菅真美さんとはD-Quintetのmixiでのファンコミュニティ結成の許可を頂いたやり取りもいい思い出だ)

ツンについては、親友思いのあまり激情家になってしまい、一見和風美人の物腰なのにもかかわらずどぎつい罵詈雑言の数々を放つという点があげられる。この逆説的な特性こそ水無月さんを特徴づける重要なファクターであろう。初対面からして印象が悪く、主人公を評して「ぱっとしない男」と冷たくにべもない。平日のコマンドで失敗続くと嫌味を言ったり、会話の選択肢を間違うと怒るし、声をかければ冷たい態度。さらにはドラマシリーズをはじめとして、主人公を容赦なくひっぱたくイベントすらある。これでは、第一印象で嫌いになってしまう人も少なからずいるだろう。おかげで当時公式人気投票でぶっちぎりの最下位だったとか。

それも無理からぬことでときメモ2の発売は1999年。戦闘システムは(このゲームは意外にも戦闘せざるを得ない状況に陥ることがある)ファイナルファンタジーⅧのそれに酷似しており、また、今をときめく17歳たる田村ゆかり御大の出世作ともなったことからわかるように、けっこう昔のゲームである。落ち武者風オールバックの口の悪いツンデレ和風美人というキャラクターは、当時はちょっぴり斬新過ぎたのかもしれない。2000年代半ばの釘宮理恵の台頭によるツンデレという言葉の成立と定着以後であれば、水無月さんというキャラクターは幾分受け入れられたであろう。
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しかしながら、あえて大袈裟に言うならば、他の誰がなんと言おうと貫き通す思いこそ恋であり愛なのだ。最初のつれない態度から、徐々に打ち解けて心を許せる間柄になることで、水無月さんの真の魅力は明らかになる。現実の人間関係と同じで、意外な一面の発見が好きになるきっかけとなることもあるのだから。かつてツンツントゲトゲチクチクしたやり取りをしたこともある相手と、後に穏やかな会話のやり取りの中で、共に時間を過ごしていくことは実に感慨深いものだ。

③メインヒロインの親友という属性は、三角関係という苦い味わいをこのゲームに添える。水無月さんは最初は主人公と陽ノ下光との仲をとりもとうとしており、品定めのような気持ちで近づいてきている。しかし次第に主人公にと仲良くなり惹かれていくと、親友である光を応援したいという想いと、自らの気持ちとの間で板挟みとなり葛藤するようになる。水無月さんの存在はときメモ2をラブストーリーたらしめる大切な要素である。

以上で水無月さんに関する私の思いを徒然になるままに語ってきた。ここまで読んでくださった諸兄にさらに勝手を言うとぜひともときメモ2をプレイしてみてほしい。初代のプレステを引っ張りだすもよし、PSVITAをお持ちの方は600円程度でダウンロードできるし、今の時代ニコニコ動画で実況動画も視聴できる。そんな時間ないよという方は水無月さんの7つのキャラソンを聴いてもらえたら幸甚だ。最後に簡単にご紹介させていただこう。蛇足を言うと歌詞は水無月さんの人物像のとおり、一つたりとも片仮名言葉は使われていない点にも注目だ。

①春のゆき (歌詞
親友と同じ人を好きになってしまった悲哀を、そっと降る春の雪になぞらえて。


②見えない小石 (歌詞
人間関係という池に、心に抱く見えない小石を投じて波紋を起こしてしまったら……。


③風のてがみ (歌詞
ひとりごちたこの思い、風の手紙に託す。


④夕顔憧歌 (歌詞
恋の自覚を夕顔のたおやかな夏のまなざしに投影する。



⑤好きと云えなくて (歌詞
好きと云えない私の曇る笑顔があなたに見えていますか……



⑥たったひとつ (歌詞
たったひとつついた嘘に眠れなくなる夜。


⑦透明な心 (歌詞
凛と佇むあやめのごとく今、曇りも迷いも消えて透明な心に!