馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

近況報告もかねて、これからの"幸福"について考える-モンテーニュ・ラッセル・デュマを手掛かりに-

会社に入社して3年目の冬が来た。このブログは入社以来2年間ほとんど更新していなかったのですが、ともあれ私は元気です。これから随時また、エッセイなり、本のレビューなり、ぼちぼち更新していこうかと思っております。

さて、私ごとではございますが、去る6月10日ドイツのホーエンツォレルン城で結婚式を挙げてきました。新婚旅行と観光もかねて1週間行ってきまして、その顛末と旅行記はいずれまた書きたいと思います。
相手は大学1年生のころからの長年の友人で、いわば親友が家内になったようなもんです。友情に愛情が組み合わさって、結婚という人生の新たなスタート地点を通過し、今のところ順調に過ごしています。また、新婚早々初めての異動で難波から秋葉原に転勤と相成りました。

そんな中で、私の周囲の人、主に会社の方々からは、「幸せ?」と問いかけられることがとても多くなりました。既婚者の方は自分の結婚生活を踏まえて、未婚者はまだ見ぬ結婚生活を見据えて、問いかけるのです。都度私は「幸せです。」と答えるのことにはしているものの、本当に自分は幸せなのか?と深く自問自答したことはありませんでした。Wikipedeiaの定義を見るだけでも、幸せ、ないし幸福という言葉についての考え方はまさしく十人十色です。そこで、私の好きな作家たちの本から、幸せについての言葉をひっぱり出してきて、それらを手掛かりにして、ちょっぴり幸せについて一考してみようかと思います。

1つ目は、モンテーニュ「エセー」 1巻第14章「幸、不幸の味は大部分、われわれの考え方によること」から。
「運命はわれわれに幸福も不幸も与えない。運命はただその素材と種子を提供するだけだ。われわれの心がそれを幸福にも、不幸にもする唯一の原因であり、支配者なのだ。単にものを見るだけではなく、いかに見るかということが大事である。」先日大江キャスターと結婚したマネックス証券の松本大社長が9月の22日のモーニングサテライトで座右の書として、モンテーニュ「エセー」のこのまったく同じ部分を取り上げていました。

私と家内に限ったことではないだろうけれども、結婚する夫婦というのは、あまりにも色々な偶然によって結ばれ、ともに人生を歩むことになったわけです。それは恐ろしいまでに偶然が重なっており、運命性を帯びているとさえいえる。まずはそもそも同じ大学に通うことになったことが前提であり、ある人物と同じ授業になって、そのある人物に別の人物が言い寄っていることに困っていると相談を受け、そのある人物が所属しているサークルのリーダーに第三者として告発するときに、そのサークルのリーダーが大変面白く不思議な魅力をもっていたためになぜか恋をしてしまって居つくことにならなければ、たまたまそのサークルにいた今の家内と出会い、仲良しになることさえもなく………………(中略)………………今こうして結婚生活を営んでいることもないのだ!これを運命といわずして、何と言おうか。

しかし、そのような運命それ自体は、モンテーニュが言うとおり、幸福も不幸も与えない。単にものを見るだけではなく、いかに見るかということが大事であるならば、これだけの偶然の重なりによって出会い、長い時間をかけて絆を深めていき、そして結ばれたことを前向きに素晴らしいものだととらえて、未来を見据えて二人で支えあっていくことが肝要だろう。ものを見るだけではなく、いかに見るかという知恵は、今後の結婚生活にあたっても、役に立つ考え方のように思える。

2つ目は、バートランド・ラッセルの「幸福論」から。
「幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、できるかぎり友好的なものにせよ。」
「人間、関心を寄せるものが多ければ多いほど、ますます幸福になるチャンスが多くなり、また、ますます運命に左右されることが少なくなる。かりに、一つを失っても、もう一つに頼ることができるからである。」

幅広い興味は幸福の秘訣という言葉はとてもわかりやすく腑に落ちる。そのため、ラッセルのこの言葉を私は人生の指針にしてきた。それだから、大量の本と漫画を読んできた。それゆえ、我が家の本棚からはあふれかえり、図書館に勤務していたこともある家内に分類コードにより仕分けられ、今なお整理・処分を迫られている。このような状況を前向きにとらえて、断・捨・離すると同時に、このブログで本のレビューをして皆様にご紹介するなり、ビジネスや生活の助けにしたりしていきたいと考えています。

人間、関心を寄せるものが多ければ多いほど、ますます幸福になるチャンスが多くなるということで、思い出したのは「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!!!」という言葉。経験上、相手の好きなものを好きになることはとても大切だと実感している。

3つ目は、「モンテ・クリスト伯」第7巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫から。

マクシミリヤンさん、わたしはあなたに、わたしのあなたへの行動の真諦をお知らせしましょう。それは、この世には、幸福もあり不幸もあり、ただ在るものは、一つの状態と他の状態との比較に過ぎないということなのです。きわめて大きな不幸を経験したもののみ、きわめて大きな幸福を感じることができるのです。マクシミリヤンさん、生きることのいかに楽しいかを知るためには、1度、死を思ってみることが大切です。では、なつかしいお二方、どうか幸福にお暮らしください。そして、主が、人間に将来のことまでわかるようにさせてくださるであろうその日まで、人間の叡智はすべて次の言葉に尽きることをお忘れにならずに。

待て、しかして希望せよ!
                      あなたとの友なる、
                      エドモン・ダンテス
                      モンテ・クリスト伯爵


きわめて大きな不幸を経験したもののみ、きわめて大きな幸福を感じることができるというなら、正直言って今まで特にそれほど幸福でもなかっただけに、むしろアップサイドが大きいと思える。悪材料出尽くしの株は上がる他ないはずだから、私という銘柄に投資してくれた投資家の期待を裏切らないように日々頑張ること。それしかない。

そういうわけで、今のこの状態をますます良い方向へと向けていきたいと考えています。更新は不定期ではございますが、再開していきたいと思いますので、これからもどうぞ当ブログをよろしくお願い致します。<(_ _)>