馬車郎の私邸

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「テルマエ・ロマエ」 第4巻、ヤマザキマリ、エンターブレイン

あれは大学4年生の12月だったか、早稲田のあおい書店に何気なくおいてあった1巻を手に取ったのが懐かしい。まさか「テルマエ・ロマエ」 がこんなに有名になるとは思わなんだ…(映画化もね)そして、昨日高田馬場で友人と飲み、まさかの学生会館突入…!本屋の品揃えも堪能してきました。何やってんだって話ですが、さて4巻目の感想いきます。

風呂好き民族日本人とローマ人ー「テルマエ・ロマエ」第1巻、ヤマザキマリ、エンターブレイン
「テルマエ・ロマエ 」 第2巻、ヤマザキマリ、エンターブレイン
「テルマエ・ロマエ」 第3巻、ヤマザキマリ、エンターブレイン

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ハドリアヌス帝は老い、次期皇帝と目されたアエリウス・カエサルが亡くなったことで、ルシウスも取り巻く状況も変化。ハドリアヌス帝と風呂に入りながら政談、浴場建設について話しあっていると…例によって、今度は旅館の浴場へ。しかもそこで出会った女性は、なんとラテン語で会話ができるほどの古代ローマの研究者!長期連載ということで、1話完結ではなくなったので、続き物としてこの女性との交流が始まります。

たしかに、今もアルファベットが使われているのだから、ルシウスがローマ字読み=ラテン語読みをするシーンがどこかであっても、おかしくはなかったように思える。ちなみに余談ですが、古代ローマ時代は、大文字のみで(小文字は中世入ってから)、しかもスペース開けずに詰めて書いてました。ルシウスがTOYOTAとか、SONYとかを見てこれは一体…?といぶかしがるシーンがあったら面白いなと思ってたので、ラテン語での会話を通じて、我ら平たい顔族の文化や道具についての理解を深める趣向は面白いと思います。
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さて、その古代ローマ研究者の小達さつきですが、古代ローマ好きエピソードが、好きな芸能人=カエサル、SPQRのアップリケなど、笑わせてくれます。いかにラテン語が通じているとはいえ、まさか本物の古代ローマ人とは思っていないさつきと、ルシウスの会話の食い違い方もなんとも面白い。その後、旅館で働くことで、さらに平たい顔族の習俗に触れることになったルシウスですが、今回は肝心のお風呂ネタが影を潜めていて、足湯くらいのもの。ただし、足湯の入り方を明らかに間違えていてそこは愉快でした。
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テレビについて驚きを隠せないルシウスに、いったいどうやって電気のことを説明したものか…雷の力を集めてそれを分配しいろんなモノを動かすとの説明に、雷と聞いてルシウスが、当然古代ローマ人の反応としてユピテルを真っ先に思い浮かべ、まさに落雷の如き衝撃を受ける一幕がこの間のハイライトでしょう。ここで、プリニウス「博物誌」の電気に関する考察がチラリと出てくるあたりも心憎い。コラムで動力について、あれだけ浴場でお湯を沸かしていたローマ人のこと、蒸気機関を発明するのも時間の問題だっただろうという推論を作者がしていて、面白い。パクス・ロマーナがもう少し長ければ、まんざらありえない話でもなかっただろう。

この漫画を読むと、月刊連載だけに次の巻をいつ読めるやらとやきもきするのだが、4月28日に阿部寛主演で映画公開ということらしいので、こちらも楽しみにしたい。公式サイトを見てみると、古代ローマ時代のシーンのみならず、肝心の銭湯のシーンも充実しているようで、驚いた。すべての風呂はローマに通ず。期待できそうな映画だ。