馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

りぼん2009年11月号―2010年12月号感想

タイトルを見て、突っ込みたくなる気持は良くわかりますw
おい!2年分もりぼん感想書いてないのかよ!サボってたのかよ!とおっしゃるのでしょう。そうですそのとおりです今の「りぼん」の発行部数と、私の「りぼん」購読史【ブログ3周年記念記事】という記事を書いた以外はからきし書いてませんでした。本誌感想は、りぼん2009年9月号10月号感想その2以来です。ごめんなさい。

というわけで、空白期間を埋めるために、まずは1年分の感想を”ざっくり”といきたいと思います。(←ざっくりってレベルじゃねえぞw)

雪丸もえ「ひよ恋」
種村有菜「桜姫華伝」
コミックスのほうで感想を書いているので、レビューした漫画一覧を御覧ください。


春田なな「スターダスト・ウィンク」
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「りぼん」のいいところは扉絵の次のページの下4分の1を使って、人物紹介とあらすじを毎回書いてくれることだ。これのおかげで、「えっと前回は…」といった具合に思い出すのに助かる。春田先生の試みはこれをもっと極端なもので、1コマで前回まであらすじを説明してしまうという荒業を何度か披露している。(画像は2010年2月号)
杏菜が好きな日向は、今ひとつ何を考えているかわからない奴だ。だからこそ、日向の気持ちがどのようなものか、その人間関係がどのようなものかあれこれ思案しては、杏菜は悩む。その悩み具合というのを延々と(ギャグを交えつつ)描写していて、ある意味昔ながらの「りぼん」の学園ものの漫画だな、と安堵する。こういう作品の比率が昔よりもはるかに少ないだけに貴重だ。

中学卒業で終わるかなと思いきや、杏菜と颯が日向と離れ離れになりながらもまさかの高校生編、そして写真部入部というのは完全に意表をつかれた。デジカメが浸透しきってる現在、写真部という発想はなかった。りぼんの漫画でも写真部に主人公が入ったのは、水沢めぐみ先生の「チャイム」
くらいじゃないのか。それはともかく、長編の新展開は、新しい登場人物、人間関係の変化。前作の「チョコレート・コスモス」にはなかったことだ。5巻を超える長編がなかっただけに、春田先生にとっては新境地だ。

酒井まゆ「MOMO」
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星を破壊せんとするMOMOの暗黒面と、夢と接している時の明るい面は、人間の心を象徴していて、この漫画に内在するテーマなのだろうと感じた。人間の嫌なところも美しいところも見つめなくては人は生きていけない。どちらか一方のみを見続けることはできないのだ。

えばんふみ「ブルーフレンド」
「りぼん」でまさかの百合だと…!とはいえ、女友達や好きな人に、中高時代それぞれ元彼女がいたという事例が実際あったので、ほんとうはよくあることなのだろう(←そうか?)ならば、女同士で好きになるという気持ちを、少女漫画誌で描くのは何らおかしなことではないはずだ。

だがしかし、主人公のヤンデレぶりに、相手が受け入れることに逡巡しながらも最終的には屈服するストーリー展開というのは、たとえ男女に置き換えたとしても尋常な話ではない。主人公が好きな女の子が、ボーイッシュながらも女らしさも兼ね備えて魅力的なだけに、なんだかすごい複雑な思いだ。

前の連載の時よりも絵も上手くなってて、チャレンジングな話だったから、こういう意欲作が連載陣に紛れ込んでいるのも良いと思う。ラインナップは多様性が大事だ。

新條まゆ「ハートのダイヤ」
以前書いたように、描きたい漫画を思い切り描けば案外成功するのではなかろうかという甘い予想をしていた。だが、やはり新條まゆ先生には、エロというレトリックがなければ、その力をあますところなく発揮することはできないのかもしれない。それが描きたくなかったものだったとしても、新條まゆ先生のスキルそのものになっていた以上、それ抜きの新條まゆはありえなかったのかもしれない。「世界中の男から体と心を狙われる」と初っ端にぶちあげたものの、結局どうにも思いきりの良い展開は見受けられず、1年経たずにあえなく打ち切りに…色んな雑誌を掛け持ちしている新條まゆ先生の馬力には恐れ入るけれども、その実描きたい漫画は描けているのだろうか?

槙ようこ「勝利の悪魔」
唐突な打ち切りに愕然。
男の娘、もとい女装少年というのは、りぼんっ子には刺激が強すぎたのか…?

持田あき「晴れて今夜」(2010年3月号読み切り)
読み切りは話のディテールはともかく、がっちりキャラクター作りすると、筋が通ってとても読みやすい(連載でもだろうけど)。手堅く外れのない持田先生の作品を連載でぜひ読みたいものだ。

牧野あおい「君がいた」(2010年6月号読み切り)
増刊から注目してきたが、本誌の読み切りでは意外と王道できたことがやや意外ではあった。いじめられっ子の主人公がほとんど言葉を発することができないにもかかわらず、「言葉」なしで話を成立させてしまったのは話の構成ゆえか。読後感もとても爽やかだった。
「キラふわkiss」(2010年9月号読み切り)
この方はアクの強さがあったほうが面白い。小奇麗にまとめると毒にも薬にもならないようだ。

津山ちなみ「HIGH SCORE」
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2年前のクリスマス…ゴンちゃんさすがです。
オヤジ女子高生モコも相変わらずの切れ味…
このカオスな6ページ分がなきゃ、「りぼん」じゃない!!!


連載15周年を2010年4月号で迎えたわけだが、以前にも書いたように、「HIGH SORE」の連載が終わらない限り「りぼん」は毎号買い続けます(笑)。
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香純裕子、秋元康(原作)「まりもの花~最強武闘派小学生伝説~」
もう相当前から、何かとAKB48とコラボしたコーナーが多かったけど、まさか秋元さんの原作の漫画とは…描いてる人は、増刊でハートフルなラブストーリーを描いてただけに、作風が急激に転換。りぼんで番長漫画が始まった件という記事で書いたように、まさしく、今時の少年漫画にないほどの男気にあふれた番長漫画なのだが、これはりぼんっ子に受け入れられるのか…?

込由野しほ「姫ちゃんのリボン カラフル」
リメイクの具合はどのようなものかについては、以前書いたとおり→込由野しほ「姫ちゃんのリボン カラフル」リメイク新連載第1話  -りぼん2009年10月号感想-1
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ポコ太ではなく、エリカの使い魔たるネコになっている設定の変更は残念だけど、その他リメイクはおおむね妥当なものだろう。特に日比野さんとか(笑) 6歳か、7歳ぐらいにアニメで見てた時、心底忌々しく思ったけど、後で原作を読んでみると、意外と憎めない面があると感じた。そして、このリメイクの日比野さんは、どういうことだ…セリフ回しは変わっていないのに、ビジュアルとリアクションを変えると、ずいぶん可愛く見える。これでは恋敵として憎めない!

藤原ゆか「CRASH!」
活動休止発表後残った4人がソロでライブに参加→侑吾復活でCRASH復活!と、解散危機を乗り越えて第1部完!の流れはよかった。こんなに長く続くとは全然予想してなかった(株式会社ラブコットンのほうが続きそうだと思ってた)だけでなく、まさか第2部があるとは…2部の主人公のコミカルに頑張る様子はけっこう好きかもしれない。CCF20111221_00001

いしかわえみ「絶叫学級」
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絵は整っていて、可愛らしい少女漫画の絵柄なのに、とんでもない表情にさせたり、どんでん返しにショッキングな1コマをばっちり決めるのは、様式美だ。これも長期連載になるとは予想していなかった。毎回の話も、小学生の心理や、学校の状況を織り込んだ上でホラーを構築しているので、描写の何処かには思い当たるフシがチラとあり、時々ヒヤッとする。
まず、2009年12月号の、処刑の椅子の話は印象的だった。椅子の呪いそのものではなく、それを取り巻く人間たちこそ、なんとも恐ろしい。また、2010年3月号のバスケットボールが生首に見えてしまう話も衝撃的。「現代用語の基礎知識」の中に“マミる”が載る1年以上も前に、こんな話があったとは…。しかも「絶叫学級」にしては珍しく、よりにもよってこの話ハッピーエンドなのだ。