馬車郎の私邸

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「テルマエ・ロマエ Ⅲ」 ビームコミックス、ヤマザキマリ

待望の第3巻です。表紙は何と、シャンプーハットとラオコーン。髪を洗うのにそんなに悶えなくても(笑)この第3巻は、連載になったせいか、1話完結ではなく、続き物の話が多いです。

風呂好き民族日本人とローマ人ー「テルマエ・ロマエ」第1巻、ヤマザキマリ、エンターブレイン
「テルマエ・ロマエ II」 ビームコミックス、ヤマザキマリ
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陰謀によって、山賊に取り囲まれて大ピンチなルシウス。しかし、風呂に入ってない山賊たちを説き伏せて、風呂づくりに協力させてしまうとは、恐るべしルシウス。そして、毎度恒例、平たい顔族の地へ…今回はなんと温泉街。浴衣と下駄を颯爽と身に付け散策を始めるルシウスは、我々平たい顔族の文化にずいぶん慣れてきたものだ。

ついにローマの銀貨と引換に、平たい顔族の通貨をGetしたルシウスは、ラーメン屋に。ラーメンの味と紙幣に驚愕を禁じ得ない様子が相変わらず可笑しくも面白い。野口英世を平たい顔族の皇帝と勘違いする様子がなんだか楽しい。温泉街という発想を導入して、大団円の結末がなんだか良かったです。

次期皇帝と目されるアエリウス・カエサルの求めに応じて、結果的には組立式の五右衛門風呂を輸送させるというアイデアも驚いた。風呂・ローマ・日本という三題噺には無限の可能性があるのだろうか。映画化も決まり、これからも連載が続くはずだが、ネタが尽きないところが実にすごい。

最後の話は、成金趣味について。ここでも、やはり日本での宿の改装にヒントを得るルシウス。金ピカというのはいやらしさが鼻につくが、それに対して、黒を背景にして金を使うのは、たとえば蒔絵のように、嫌味にならない美しさがある。月やチラリズム(?)といった日本流の風情で、成金趣味を上手い具合に修正して、独特の美を生み出したルシウス。直球ストレートよりも、側面から間接的かつ婉曲的に表現することもまた、美の真髄。日本の美は派手さはなくとも、奥ゆかしさや侘び寂びといった独自の表現が美徳となっている。そうした、日本の古式ゆかしさというものを再発見した気がした。