馬車郎の私邸

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「ちとせetc.」第3巻、吉住渉、集英社

早いものでもう3巻目。コーラスでいろいろ連載していたときよりも吉住先生の筆致は生き生きとしているように思える。2巻での未遂事件から、3巻冒頭ではついに刃傷沙汰となり、ストーリー展開がいよいよ激しくなっているさまが伺える。やはり、漫画というのはハラハラドキドキがあってナンボだと思う。
第1巻のあらすじ
3巻目ともなると、複雑怪奇な人間関係がずいぶんと構築されてくるもので、あらためて整理しておこう。6行でまとめると、
主人公のちとせは、幸翔(ゆきと)との一夏の恋から、彼を追い、小説家の兄を頼り沖縄から上京。しかし、幸翔には清綾という長年付き合っている彼女がいた。とはいえ幸翔をはじめとする祭り部の面々は、わざわざ上京してきたちとせが楽しい学校生活を送れるよう取り計らう。彼氏として赤石駿があてがわれ、それなりに楽しい日々を送れるようにはなったものの、幸翔は駿と付き合うのはやめろと言い出す。

と、こんなところか。
2巻では、驚いたことに「りぼん」的にはアウトだが、「マーガレット」的にはOK(?)なエロいシーンが突如展開し、非常に驚いたものだ。
3巻ではいきなり、カッターナイフででちとせが切りつけられるという衝撃的なシーンから始まる。幸い、幸翔がかばい事なきを得た。しかし、切りつけた人物は、なんと駿の元セフレ(!)。この言葉が出てくること自体驚きだが、登場人物たちよ、作中内で連呼するな…(笑)2010112921560000

幸翔と付き合っているはずの清綾が、駿に涙ながらに迫る様子にもおどいたが、駿の対応は「こっちは必至で忘れようとしているのに思わせぶりな態度をとるな」とにべもない。さらに、清綾と幸翔の多少の浮気をお互いは公認と言うやり方は「おまえらは良くても、巻き込まれて傷つくやつもいるってことは覚えとけよ」と苦言を呈す。2巻と打って変わって別人だなf^^;

ちとせに対してマジな様子の駿だが、今度は幸翔が心変わり。清綾にもはや恋愛感情はない、好きだとちとせに迫る。沖縄での一夏の思い出は遊びではなかったようだ。そのうえ、「他の男のものになるのを黙って見ていられない、嫉妬でおかしくなりそうだ」「おまえを取り戻す!」とまで言う始末。戸惑うちとせ。とはいえ、ここまで言われたらさすがに、ぐらつくよな…
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二人の男が不可逆的にコミットしている、つまり後戻りできない関係になっているということは、どちらを選んでも血を見ることになりそうだf^^収拾がつかない事態は必至…!

清綾とサシで話すちとせだが、またしても重い過去が明かされる。難病で入院していた時に清綾は幸翔は出会ったのだという。いつまで生きられるかわからない清綾と幸翔は互いに惹かれあい…そして、その深夜の病室での密会現場を、岬という同じく入院しており清綾に思いを寄せていた子に見られてしまう。そして、岬はその後の手術で帰らぬ人に。

これは重い…!本気で好きな人は駿だが、幸翔との関係が大事であり、恋ではないけど愛してるから、駿のことはきらめたのだと、清綾はたたみかける。たとえ身を引いても、幸翔との絆は変わらない、自分よりもっと彼とわかり合っている女がいて、ちとせは耐えられるの!とダメ押し。そして、この一言。「お願い 幸翔を奪らないで…!」

一人の人間の死をも背景にして、並々ならぬ関係が清綾と幸翔にはある。清綾と幸翔は本気で好きな人がいても、互いの関係を崩すことはできないジレンマにあるというのはまさに悲劇的である。

修羅場になりかねない(すでに修羅場か?)展開に対して、主人公のちとせが一体どんな答えを出すのか気になります。漫喫でマーガレットを読みに行きたいくらいだ。面白くなってきたね!
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