馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

ブックレビュー

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第2巻、伏見つかさ、電撃文庫

第1巻での桐乃の窮地は、あまりにも献身的すぎる兄貴の尊い犠牲によって救われた。しかし、第2巻では、桐乃の友人の新垣あやせに、桐乃の趣味がばれてしまう。前回はあくまで家庭内で発覚だが、今回は友人への発覚。無碍にするというのではなく、心底桐乃の…

「モンテ・クリスト伯」第1巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫

恋敵と出世を妬んだ同僚に陥れられ、結婚式の最中に無実の罪で逮捕される!かくも衝撃的な出だしの小説はなかなか他にない。1巻はエドモン・ダンテスの壮大な復讐劇の序章。真の理由もわからずに、幸福から絶望のどん底にたたき落とされた男の心が、デュマの…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第1巻、伏見つかさ、電撃文庫

半年以上前、一緒に本屋を回っていた友人が「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」ってすごいタイトルだよね、と言ったことがあった。この反語的否認のレトリックは、見た者に興味関心を抱かせずにはいられない。AIDMAの法則といって、消費者がある商品を知っ…

「三銃士〈下〉」 (岩波文庫) アレクサンドル・デュマ

「三銃士〈上〉」 (岩波文庫) アレクサンドル・デュマ 上巻でのイギリス行で、ダルタニャンと、アトス、ポルトス、アラミスの三銃士たちの絆はますます深まる。 4人の従者たち、プランシェ、グリモー、ムースクトン、バザンの描写も心なしか増え、脇役とし…

「とらドラ!」第4巻、竹宮ゆゆこ著、電撃文庫

前巻の流れを受けて亜美の別荘に行くことになった竜児と大河、実乃梨と北村たち。大河は、竜児の実乃梨への片恋をサポートするため、幽霊怖がらせ作戦を実行する。もちろん、そんな合宿のドタバタ劇もいいのだが、この巻の白眉はなんといっても竜児と実乃梨…

「ゼロの使い魔 19 始祖の円鏡 」ヤマグチノボル、MF文庫

長編小説をいきなり19巻からレビューを始めるのも恐縮だけれども、読んだばかりなのでせっかくだから紹介しておこう。新章突入の第19巻は、この作品にしては珍しく、冒頭から激しい戦いが始まる。ルイズとも再会を果たした才人の幸せもつかの間。愛剣デルフ…

「エジプト神イシスとオシリスの伝説について」プルタルコス (著), 柳沼 重剛 (訳) ,岩波文庫

岩波文庫2010年夏の一括重版で平積みになっていたので購入。英雄伝以外の岩波文庫でのプルタルコスの著作はこれだけ持ってなかったのでちょうど良かった。膨大なプルタルコスのエッセイから、「エジプト神オシリスとイシスの伝説について」だけが単品で文庫…

「とらドラ!」第3巻、竹宮ゆゆこ、電撃文庫

2巻の最後では、ちょっとした修羅場があり、大河と竜児の仲は微妙なものに。大河と竜児の間には信頼が芽生えていても、それを素直に出せるはずもなく、ことあるごとに衝突と逡巡を繰り返す。互いに気持ちを言葉でうまく伝えられず対立しても、二人は行動で相…

「とらドラ!」第2巻、竹宮ゆゆこ、電撃文庫

少女漫画の新展開として、新たな登場人物が介入するというのは常套手段だ。第1巻において、竜児と大河、北村と実乃梨の関係はひとまずの区切り。竜児と実乃梨は竜児の片思いが続き、親しくなりつつも、想いは口に出せないままだ。大河は北村に告白するも、大…

「とらドラ!」第1巻、竹宮ゆゆこ著、電撃文庫

―この世界の誰一人見たことのないものがある。 それは優しくて、とても甘い。 たぶん、見ることができたなら、誰もがそれを欲しがるはずだ。 だからこそ、誰もそれを見たことがない。 そう簡単には手に入らないように、世界はそれを隠したのだ。 だけどいつ…

「手作り弁当を食べてる場合ですよ」日垣隆、角川oneテーマ21

手作り弁当を食べてる場合である。外食をするサラリーマンは、昼食代だけでなく、外に出て店で料理が出てくる時間さえも無駄にしている。手作りの弁当を持っていけば、お金ばかりか時間も節約できるのだ。このような日常にできることをやることが、どうにも…

「とらドラ!」読了-名作少女漫画の読後感-

「りぼん」の感想を書かなくなって久しい(いつも検索で来てくれる皆さん、ごめんなさい)。だがしかし、何の偶然か最近、素晴らしい少女漫画に出会ったので、一筆書いて紹介したく思う。お勧めしたい作品の名は「とらドラ!」(竹宮ゆゆこ、電撃文庫全10巻、※…

三沢光晴「ドンマイドンマイッ!」ミシマ社

ドンマイ ドンマイッ! ―プロレスラー三沢からのメッセージ」は、NOAHの携帯サイトに、2005年から2009年にかけて連載された交換日記形式のコラムの総集編だ。奥付にある発行日は奇しくも命日の1年後、つまり2010年の6月13日である。肩肘張らない明るい文体で…

モンテーニュ「エセー」 1巻第14章「幸、不幸の味は大部分、われわれの考え方によること」要約

要約です。 人間は、事物自体ではなく、事物について抱く考え方によって苦しめられている。もしも、われわれがこの命題をあらゆる場合に真実であると証明できるならば、人間の悲惨な状態を軽減するのに大いに役立つであろう。というのは、もしも不幸がわれわ…

「ザ・スニーカー」6月号「涼宮ハルヒの驚愕」先行掲載70枚 感想

9巻「涼宮ハルヒの分裂」の最後は、危機に瀕した(と思われる)長門のもとへ、SOS団が向かうところであった。先行掲載はその続きから始まる。長門を看病しようとするハルヒの料理の腕についてふと思いをめぐらすキョンには、微笑を禁じ得ない。そして席をはず…

桑田真澄、平田竹男「野球を学問する」新潮社

前回書いたとおり、自分と同日に、私の憧れのピッチャーが卒業した。 桑田真澄さんである。 小学生当時、軟式野球チームでピッチャーをしていた私は、桑田ファンで「桑田真澄 ピッチャーズバイブルは何度も読み込んだ。 セットポジションのフォームは真似た…

「ゲーテの言葉」ナガオカ文庫

いまだゲーテと遭遇したことの無い人は読むべし! これで500円は安い。 ゲーテの名言を集めた本としては、すでに 新潮文庫の「ゲーテ格言集」、光文社新書の「座右のゲーテ」がある。 前者はひたすらに羅列、後者は斉藤孝さんの目を通した抜粋・解説集だ。 …

奥田英朗「空中ブランコ」文春文庫

にほんブログ村 友人が貸してくれたシリーズ1冊目「イン・ザ・プール」は、 なんとも不可解であった。 もう1冊貸してくれた「散るぞ悲しき」は評判にたがわず良かった。 栗林中将の硫黄島での悲壮な奮戦をクールに描いたルポルタージュは 胸にジーンとくるも…

「三銃士〈上〉」 (岩波文庫) アレクサンドル・デュマ

9月半ばに「ゼロの使い魔」シリーズを濫読した件については以前に書いたとおりだ。 ところで、この人気ライトノベルはデュマの「三銃士」から、起きる出来事や脇役の名前などを借用している。 元々「三銃士」を読んだことのある人にとっては、思わずにやり…

『魍魎の匣』(もうりょうのはこ) 京極夏彦、講談社文庫

にほんブログ村 関連記事:『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)』 京極夏彦 事件は人と人ー多くの現実ーから生まれる物語だ。 ならば、物語の筋書き―事件の真相もまた、関わった人の数だけあるのだ。 真実はひとつというのはまやかしにすぎぬ。 事件の真相など、そ…

『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)』 京極夏彦

京極夏彦の処女作を久々に読んだ。 この本を読んだときの衝撃は今でも忘れられない。 自分は、元々あまり小説を読まず、小説と言うと岩波文庫の海外の古典や戦前の文学を読むことが多かった。 戦後の小説と言えば、塩野七生や星新一、池波正太郎と司馬遼太郎…

三沢光晴「理想主義者」:第1章「才能とは何か」要約

<はじめに> お互いが極限の力を振り絞り、何度倒されてもくじけない精神力と肉体的な強さをぶつけあう。 いつの時代もプロレスは人々を熱狂と興奮の渦に巻き込んできた。 しかし、長い歴史の中でプロレスという競技がいまだ確固たる完成形を見せていないと…

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) 山田 昌弘 , 白河 桃子 (著)

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書) 山田 昌弘 , 白河 桃子 (著) これが…現実...。 “女性たちよ、狩に出でよ。男性たちよ、自分を磨け” 山田昌弘氏、白河桃子氏による共著。 山田氏は家族社会学者、白河氏はビジネス誌に少子化などの記事を書いている方だ。 …

「もし浅井長政がマキャベリの『君主論』を読んだら……?」―「浅井長政の決断ー賢愚の岐路」笹沢左保、角川文庫

* 「君主たるものは、政体を保持するために、時に応じて信義に、慈悲心に、人間性に、宗教に背いて行動することが必要なのであり、人間を善良な存在と呼ぶための事項を何もかも守るわけにはいかない」(君主論) * 「人間は邪悪な存在であり、あなたへの信義…

 「新史太閤記」 司馬遼太郎、新潮文庫

「新史太閤記」上下巻 司馬遼太郎、新潮文庫 オススメ度:☆☆☆☆☆ まずは、「苦々しさ」というものについて話をしよう。 取りたくない行動を取らねばならない、そういうときに感ぜられるのがこの苦々しさというやつである。 渋々という言葉に意味も語呂も似て…

 あと一つ…

先週でテストとレポートのほとんどは片付きました。 睡眠時間は大いに削ったけど、自分にしては早めの対策をしていたほう。 本を読んでテスト対策や、レポート作成するとき、どうしても他の本も読みたくなっちゃうんだよね。 忙しくなればなるほど、実は能率…

今日の4冊

3935円使ってから、まだ3日。 また4冊本を買ってしまった... 忙しくなっても本を読む時間は確保するぞ! それが自分のなけなしの情熱の唯一の行き先だから。 親しい友人たちは情熱に満ち溢れてる人も多いわけだが、自分の情熱というのはすこぶる少ない。 た…

「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」塩野七生、新潮文庫

300ページに、野望に燃えた若き男の一生が濃密に詰まった一冊。 「君主論」を書いたフィレンツェの外交官マキアヴェッリが、理想とした君主、チェーザレ・ボルジア。 1500年頃のイタリアというと、ルネサンスのイメージがあるが、権謀術策の限りを尽くして中…