馬車郎の私邸

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、将棋、プロレス観戦記など「趣味に係るエッセイ・感想・レビュー記事」をお届けします!ある市場関係者のWeb上の私邸

ブックレビュー

「2009年6月13日からの三沢光晴」長谷川 晶一著、主婦の友社

2009年6月13日からの人生を生きる人の心の中に三沢光晴は生き続けている。「2009年6月13日からの三沢光晴」を読んであらためて実感した。15年6月7、8の土日で妻と広島旅行に行った時、私は心のなかで三沢光晴に哀悼を捧げた。 2009年6月13日当時の私は大学4…

「初恋とゲーテ」

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「消費税増税について」

現行5%の消費税率を2014年4月に8%、2015年4月に10%に引き上げる法案は成立の見通しということだけれども、オウムの犯人やら、小沢さんの問題やら、原発再稼働やら、それに何より、いちいち蒸し返される欧州問題ということで、今ひとつ注目されていないように…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第8巻、伏見つかさ、電撃文庫

小説が巻数を積み重ね、人間関係が出来上がってきた時、構築された人間関係を揺らがす出来事があると、俄然面白くなってくる。これが長編の小説の醍醐味でもある。昨日9巻が出たのだが、それよりも先にまず8巻について一筆書いておこうと思う、これまでの感…

「とらドラ!」第7巻、竹宮ゆゆこ、電撃文庫

高須竜児と櫛枝実乃梨の関係は前進しつつも、共通の友人である逢坂大河のために、展開は一直線に進んできたわけではない。様々な紆余曲折を経て、満を持して竜児と実乃梨をくっつけるための一手を、大河は実行しようという。 その一方で、川嶋亜美は、竜児、…

「バシレイオス2世について」

ビザンツ帝国のバシレイオス2世といっても、よっぽど高校時代に世界史が好きだった人以外は知らないだろう。上位大学に時たま出題される程度なので、この人のことを覚えるよりは、他の重要事項を覚えたほうが良い。 しかし、だからといってこのような歴史上…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第1巻―第7巻感想まとめ

今日は第8巻の発売日なので、その前に第7巻までのレビュー記事をどうぞ。 「モンテ・クリスト伯」全7巻もよろしく! 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第1巻、伏見つかさ、電撃文庫 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第2巻、伏見つかさ、電撃文庫 「…

ネロ帝の生涯について(前)

ネロ帝はもっとも有名なローマ皇帝である。他のローマ皇帝の偉業よりも、ネロの悪行の数々は一般的に良く知られる。首都ローマに火を放った、キリスト教徒に弾圧を加えたといった所業はかつてローマ帝国だった場所だけでなく、極東の島国まで知れ渡っている…

古代ローマ帝国の街道について

前3世紀から、紀元後2世紀までの間にローマ人が敷設した道の全長は、幹線のものに限っても8万キロ(地球2周分!)、支線まで加えると15万キロに達した。前5世紀には、ペルシア帝国には地中海からペルシア湾に抜ける舗装道路があった。だが、それは街道…

属州ガリア(今日のフランス地域)のローマ化について

「ガリアは全部で三つの部分に分かれており、その一つにはベルガエ人が、もう一つにはアクィーターニア人が、三つ目には彼ら自身の言葉でケルト人、我々がガリア人と呼ぶ連中が住んでいる。これらは皆、言語、制度、法律において異なっていた。ガリア人は、…

古代ローマ人は、キリスト教をどのように見ていたか

懐かしい文章が色々と出てきたので、その一部を紹介しよう。今回は、大学1年の時に発表で作ったレジュメだ。たしかこれは、「キリスト教の拡大」について班で発表したときに、自分は「ローマ帝国における」キリスト教の拡大について述べた。 ここで問題にす…

「とらドラ!」第6巻、竹宮ゆゆこ、電撃文庫

竜児の親友にして、品行方正な北村が突如髪を金髪にし、グレた。かなりインパクトのある出だしだ。しかしながら、それ以上に北村を励ましに行く途中の、竜児と実乃梨の甘酸っぱい青春の一幕こそが、この巻一番の白眉だと思う。 「ふ、と笑みに細められた実乃…

「釘宮病とは何か―日本を襲う新たな病理」 日野聡 著、エア新書

釘宮病は不治の病とされており、患者数は日本国内だけでも100万人いると言われ、加速度的に増加している。本書は、いまや日本4大疾病の1つになった感がある釘宮病について、釘宮病に造形の深い声優である日野聡氏が書いた話題作である。 日野聡氏は、釘宮…

『「それはどうかな?」と言えるデュエル哲学』 エド・フェニックス著、エア新書

「それはどうかな?」とは、相手の企む思惑にたいして自身が懐疑的であることを示し、動揺を誘う言葉であり、この言葉を発することにより、心理的に優位に立つことができる。また、この言葉を発する状況とは、相手の思惑の裏をかく対策を行う事ができる状況…

江戸時代の重農主義者、重商主義者

江戸の三大改革といえば、徳川吉宗による享保の改革、松平定信による寛政の改革、水野忠邦による天保の改革である。いずれの改革も、幕府財政の安定のために、とりわけ米に大きな関心を寄せていることに共通点がみられる。たしかに、武士の収入も幕府の財政…

ミクロ経済学と恋愛のアナロジー

ミクロ経済学の知見に、恋愛とのアナロジーを見出すことが本稿の目的である。まずは、サンクコストと機会費用について考えてみよう。 埋没費用ないしサンクコスト(sunk cost)とは、「事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収でき…

「シュリーマン旅行記 清国・日本 」講談社学術文庫、ハインリッヒ・シュリーマン

シュリーマンが幕末の日本に来ていたとは驚いた。ビジネスの成功譚や語学の学習法が面白い「古代への情熱」は良く読まれていると思うが、こちらの旅行記は意外と知られてないのではなかろうか。興味深い記述を抜粋しながら紹介しようと思う。 江戸上陸編: …

国債に疎い首相と、マックス・ヴェーバー「職業としての政治」

マスコミによるネタ作りのための粗さがしや揚げ足取りではない、本格派の失言が菅直人首相の口から飛び出した。それは、国債格下げの件についてである。 菅直人首相は27日夕、首相官邸で記者団から、米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が日本の国…

「モンテ・クリスト伯」第7巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫

約3000ページにわたる壮大な復讐の物語がついに完結!作者の筆力も熱を帯びているが、復讐劇の最終章は緩急がついた描写で、復讐を強靭な意志でやり遂げるモンテ・クリスト伯爵が見せた心の迷いを含めてバランス良く描いている。第1巻から読んでいると、積み…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第7巻、伏見つかさ、電撃文庫

小説の展開というのは、たとえ予想通りであるとしても、期待と同等かそれ以上であれば十分に許容されるものでもある。6巻の最後で彼氏になってよという桐乃の言葉はやはり、彼氏のふりをしてよという意味合いであり、表紙の通り、京介は桐乃の彼氏役を演じる…

「モンテ・クリスト伯」第6巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫

ついに6巻目にして、モンテ・クリスト伯爵ことエドモン・ダンテスの復讐が本格化。最初の復讐の相手は、伯爵が若かかりし頃無実の罪で投獄されたときに、積極的に関与したとまでは言わないまでも一枚かんでいたカドルッスである。とはいえ、モンテ・クリスト…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第6巻、伏見つかさ、電撃文庫

妹の帰還とあって、第6巻は仕切り直しと人間関係の変化の再確認の意味合いのある巻だったように思える。あやせと麻奈実に堅固な交友関係が出来上がりつつあり、京介はあやせと麻奈実との関係だけではなく、学校では黒猫や瀬菜にゲーム研究会の面々といった京…

「モンテ・クリスト伯」第5巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫

第4巻では、ヴィルフォールとダングラール男爵夫人が不倫の結果生まれた赤ん坊を屋敷の庭に埋めたことが、モンテ・クリスト伯爵にはばれているのではないかと気が気でない二人の密談から5巻は始まる。そしてその赤ん坊を貴族に仕立て上げて、もう一人の仇敵…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第5巻、伏見つかさ、電撃文庫

妹がいなくなった「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」というタイトルの小説はどうなってしまうのか!?結論から言えば、それは杞憂で面白かったです。第5巻のあらすじはこんな感じ↓(※公式です “先の読めない”ドラマチックコメディ、第5弾! 「じゃあね、兄…

「とらドラ!」第5巻、竹宮ゆゆこ、電撃文庫

「とらドラ!」第5巻は青春小説である。衝突と和解を描いたこの巻は、大河の父親をめぐって、竜児と実乃梨が極めて険悪な雰囲気になってしまう様子が衝撃的だ。母子家庭という境遇に生まれ育ち、風貌についてのコンプレックスから、内面は温厚で決して怒らな…

「モンテ・クリスト伯」第4巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫

第3巻でいよいよパリに進出したモンテ・クリスト伯爵は仇敵たちとの再会を果たす。着実に復讐の準備をしながらも自分を陥れた復讐相手と親交を深めていくさまが面白い。ヴィルフォール家の縁談と、ダングラール家の縁談が、第3巻での伏線から大変なことにな…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第4巻、伏見つかさ、電撃文庫

第7巻も発売していることだし、感想を急がねば(笑) さて、第4巻は桐乃以外のキャラの存在感が増し始めている。冒頭の2巻から登場したあやせとの会話は、以前の経緯を知っているとなかなか面白い。また、他にも面白い会話の応酬が多い。京介が麻奈実を家に…

「モンテ・クリスト伯」第3巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫

1巻と2巻からの流れを引き継ぎ、舞台はイタリアのローマから、フランスのパリへ。パリの社交界にさっそうと現れたモンテ・クリスト伯爵こと、エドモン・ダンテスはついに復讐の相手たちに再会する。エドモンを陥れて、エドモンが結婚するはずだったメルセデ…

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第3巻、伏見つかさ、電撃文庫

1,2巻の感想には書かなかったが、この本のタイトルは「俺の幼馴染がこんなに可愛いわけがない」でも良いと思う。というのも、主人公の幼馴染、通称"地味子"こと田村麻奈実は、傍若無人な妹の桐乃よりも、主観的にははるかに可愛いと思えるからだ。アニメ…

「モンテ・クリスト伯」第2巻、アレクサンドル・デュマ、岩波文庫

第1巻の冒頭で、マルセイユの船乗り、主人公エドモン・ダンテスは幸せの絶頂で逮捕される。そしてシャトー・ディフの牢獄に収容されたまま数年が過ぎ、1巻の終盤ではファリア司祭との運命的な出会いを果たす。これはそのまま読者にとっても、僥倖というもの…